はじめに
こんにちは!
最近のプログラミング開発現場では、AIツールの活用が当たり前になってきていますよね。
特にVisual Studio Code(VS Code)向けには、数多くの拡張機能が登場し、コードの自動生成やテストの実行、複数ファイルにまたがる大規模なリファクタリングまで行えるようになりました。
本記事では、その中でも注目度の高い3つのツール「Cline」「Roo Code」「CoolCline」について、機能や特長を整理しつつ比較します。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解して、あなたの開発スタイルに合ったツールを見つけていただければと思います!
3つのツールの関係図
まずは3つのツールの位置づけを、簡単なフローチャートで示します。
それぞれ「Clineファミリー」に属している派生・改良版という関係性です。
- Cline : ベースとなるオープンソースのAIコーディングアシスタント
- Roo Code : Clineを拡張し、独自の追加機能や高速化を行った改良版
- CoolCline : ClineやRoo Code、コミュニティ版(Bao Clineなど)を取り込み総合的に強化した最新版ツール
Cline系AIコーディングアシスタントの開発フローイメージ
Cline / Roo Code / CoolCline がどのように開発フローを支援するかを、簡単なシーケンス図で示します。
使ったことがない人はこの図を見て、開発フローをイメージをして見てください。
- 複数ファイルの同時編集やエラー修正をAIが自動化
- ターミナルでビルド&ユニットテスト
- ブラウザでUIテスト&スクリーンショット
- 承認フローを都度確認 or 自動化で制御
この一連のプロセスを高速に回せる点こそ、Cline系アシスタントの大きな魅力です。
比較表
以下は主要項目のみを簡潔にまとめた比較表です。
短い記述でポイントを把握したい場合にご参照ください。
項目 | Cline | Roo Code | CoolCline |
---|---|---|---|
概要 | VS Code用自律AI オープンソース&無料 |
Clineを拡張 Custom modeやコードアクション対応 |
Cline系を総合強化 自動承認やコスト管理も完備 |
エージェント機能 | コード生成・編集、 ターミナル実行、ブラウザ操作を自動化 |
Cline相当+ 高速化&追加UI機能 |
Cline/Rooの全機能+ 高度な自動化 |
承認フロー | 常に手動承認(安全重視) | 手動承認が基本 モード設定で挙動調整 |
自動承認モードあり カスタマイズ自由 |
カスタムモード | なし(ロール切替は プロンプトで調整) |
QAやPMなど 役割を切替可能 |
複数チャットモード搭載 GUIで即時切替 |
LLM対応 / コスト | OpenAI/Claude等 複数モデルに対応 コスト管理は手動 |
同上特に コスト集計機能はなし |
UIでLLM切替 トークン・料金を自動集計 |
UI / 操作性 | 承認画面あり シンプル操作 |
コードアクション 統合で使いやすい |
設定豊富自動化を 最大限活かす上級向け |
主なメリット | 導入が簡単 無料で自律AIを試せる |
Custom modeやUI強化でClineより利便性アップ | 自動承認・コスト管理など 機能最強効率化重視 |
主なデメリット | API使用量が多い 手動承認で自動化が低速 |
機能はClineとほぼ同じ 差別化が分かりにくい |
設定が複雑 自動承認の乱用リスクあり |
おすすめ用途 | 初めて自律型AIを 使う人向け |
Clineをベースに もう少しUI面で便利にしたい場合 |
大規模プロジェクトや 高度な自動化を求める上級者 |
- Cline : シンプルかつ導入しやすいオープンソースAI
- Roo Code : Clineを拡張し、UIや役割切替が充実
- CoolCline : 機能総合版。自動承認やコスト管理などを備えた最上級仕様
それぞれの特色や目的に合わせ、最適なツールを選んでみてください。
以下では、それぞれの詳細を見ていきます。
(長い割に上部でまとまっているので、以降は興味のある方のみ読んでください。)
1. Cline(クライン)
概要
Clineは、VS Code上で動作するオープンソースのAIコーディングアシスタントです。
VS Code拡張機能としてインストールし、コマンドラインインターフェース(CLI)やブラウザ操作とも連携できます。
GitHub Copilotのようなコード補完とは異なり、プロジェクト全体を理解して複数ファイルにわたる修正やビルド・テスト実行まで自律的に行える点が強みです。
また、オープンソースかつ無料(利用するAIモデルのAPI料金は別途)であり、CursorやWindsurfといった有料AI内蔵IDEの代替として注目されています。
主な機能・特長
-
マルチステップのコード生成と編集
プロジェクト全体を解析し、新規ファイルの作成・既存ファイルの修正を自動化。
編集内容は差分(diff)で提示され、リンターエラーや不足インポートの補完も行います。 -
ターミナルコマンド実行
ビルドやテストなどのコマンドを直接VS Code内から実行。
出力結果を解析して問題があれば自動修正を提案します。 -
ブラウザ操作によるUIテスト
ヘッドレスブラウザを起動し、クリックや入力、スクロールなどをシミュレーション。
スクリーンショットやコンソールログの収集も自動で行い、ランタイムエラーやデザイン崩れの検出を支援します。 -
様々な言語モデルに対応(モデル文脈プロトコル MCP対応)
OpenAIやAnthropicだけでなく、OpenRouter経由の複数モデルやローカルLLM(LM Studio/Ollama等)など、任意のモデルを切り替えて利用可能。モデルの自己拡張(新たなツールの取り込み)も行えます。 -
安全な人間監督の仕組み
すべての操作にユーザーの承認が必要な「human-in-the-loop」設計。
ファイル編集やコマンド実行も逐一確認できるため、誤作動や不要ファイル削除などのリスクを抑えられます。
2. Roo Code(Roo-Cline)
概要
Roo Code(旧称: Roo-Cline) は、Clineをベースに改良・拡張したAIコーディングエージェントです。
基本機能はClineと同等ですが、Roo Code独自の特徴として、Custom Modes と呼ばれる機能があります。
Custom Modesはエージェントの「人格」や振る舞いをモード切替えによって変更できる仕組みで、たとえばQAエンジニアやプロダクトマネージャーのような特定の役割を与えて振る舞わせることが可能です。
ユーザーの目的に応じて、柔軟にアシスタントのスタイルを調整できる点が特徴です。
主な機能・特長
-
Clineと同等の自律エージェント機能
コードの生成・編集、ターミナル実行、ブラウザ操作といったClineの機能をそのまま利用できます。 -
Custom mode(役割)
例えば「QAエンジニア」「プロダクトマネージャー」など、エージェントの人格を切り替える機能。目的に合わせて振る舞いを切り替えられます。 -
マルチモデルサポート&VS Codeネイティブ連携
OpenAIやClaudeなど、多数のLLMプロバイダを切り替え可能。
VS Codeの「電球マーク」(コードアクション)と連携し、リファクタリング提案やコード補完をネイティブUIで呼び出せる機能も追加されています。
3. CoolCline(クールクライン)
概要
CoolClineは、ClineやRoo Code、さらにコミュニティで派生した「Bao Cline」などの優れた点を融合した総合版です。
中国の開発コミュニティ発で、「よりクールなCline」をコンセプトに、複数ファイル編集から自動テスト、承認フローのカスタマイズ、LLMの簡易切替などを実装しています。
自動承認機能の存在が、CoolClineが広く利用されている最大の理由だと考えられます。
主な機能・特長
-
統合された高度なエージェント機能
コード生成・編集、ターミナル実行、ブラウザ操作といったCline系の基本機能をフル装備。複数ファイルにまたがる編集やコンパイルエラー修正など、包括的な開発支援が可能です。 -
自動承認モード
すべての操作をユーザーが都度承認する従来型だけでなく、特定の操作は自動承認してノンストップで処理を進めるといった柔軟な承認フローを設定可能。作業効率を大幅に高めたい場面で有用です。 -
LLMプロバイダの簡易切替 & コストモニタリング
拡張機能のUI上からOpenAI、Anthropic、Google Gemini、ローカルLLM等をワンクリックで切替。さらに消費トークン数やAPI使用料金を自動集計し、コストの見える化を実現しています。 -
チャットモード & MCP拡張
「コードを書いてほしい」「システムアーキテクトの視点でアドバイスが欲しい」など、用途に応じたチャットモードを用意。MCP(モデル文脈プロトコル)にも対応し、「AWSリソース管理ツールを追加」と指示すればプラグインのように自己拡張させることもできます。
まとめ
いかがでしたか?
3つのツールを比較してみると、それぞれに個性的な特徴があることがわかりました。
- Cline: 初心者にもおすすめの定番ツール
- Roo Code: より使いやすさを重視した改良版
-
CoolCline: 上級者向けの高度な機能が魅力
- 自動承認モードやLLM切替&コスト管理機能など、より高度な自動化と柔軟性を実現
私のおすすめは、まずはClineから始めて、使い込んでいく中で必要に応じて他のツールも試してみるというアプローチです。
また、Cursorとの使い分けに悩んでいる方も多いかと思いますが、筆者の使い方としては、Cursor Composerで解決しない場合は、Cline系を使用しています。
Cline系は、いずれもVS Code拡張として手軽に導入できますので、ぜひお試しください!
参考文献
以下のリンク先から詳しいドキュメントやダウンロードページに移動できます。