1. 背景 ― oシリーズ誕生から最新モデルへ
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o1(2024‑12 正式リリース)
長い CoT(Chain‑of‑Thought)により AIME 正答率 83% を達成
ただし計算コスト・応答速度が課題に。 -
mini / pro 派生 → 次世代へ
商標問題で o2 が見送りとなり、o3 / o3‑mini が開発。 -
計画変更(2025‑04‑04)
Sam Altman CEO が X で 「数週間以内に o3 と o4‑mini を先行リリース」 と宣言。
背景には DeepSeek など競合の台頭と GPT‑5 開発ロードマップの調整。 -
2025‑04‑16 同時リリース
- o3 : 大規模・最高精度
- o4‑mini : 小型・高速・低コスト
2. 共通する進化ポイント
- 高度な段階的推論 (CoT) ― さらに深い思考プロセスを内部生成
- マルチツール連携 ― 検索・Python 実行・ファイル解析・画像生成などを自律的に組み合わせ
- マルチモーダル強化 ― 画像内容を読み取って推論に統合(OCR+回転・拡大など画像操作も可)
3. o3 と o4‑mini の主な違い
項目 | o3 | o4‑mini |
---|---|---|
位置づけ | 最高性能フラッグシップ | 小型・高速・高効率 |
推論精度 | 最高レベル | o3 に迫る高精度 |
応答速度 | やや遅い | 大幅に高速 |
API 料金 (1Mトークン) | $10 / $40 | $1.1 / $4.4 |
得意領域 | 複雑な科学計算、戦略立案 | リアルタイム応答、コスト重視 |
結論:精度最優先なら o3、速度とコストなら o4‑mini。
4. ベンチマーク比較
モデル | AIME 2024 正答率 | MMMU | SWE‑Bench |
---|---|---|---|
GPT‑4o (参考) | 13 % | 34.9 % | 33.2 % |
o1 | 83 % | – | – |
o3 | 91.6 % | 82.9 % | 69.1 % |
o4‑mini | 88.9 % | (非公開) | (高水準と推定) |
- o3 / o4‑mini は 数学・マルチモーダル・コード生成すべてで GPT‑4 系を凌駕。
- o4‑mini はサイズを抑えつつ o1 超え・o3 迫る性能=驚異的な効率。
5. 推論スタイルと応答速度
- GPT‑4o : スピード重視。思考ステップが浅く複雑問題はやや不得意。
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o3 / o4‑mini : CoT+ツールで精度優先。応答は遅めだが確度が高い。
- o3 : Precision モード
- o4‑mini : 高速&低コストで実用範囲を拡大
6. API 仕様 ― コンテキスト長・料金
モデル | 入力 / 出力 (USD, 1M tok) | 備考 |
---|---|---|
o3 | $10 / $40 | 最高精度 |
o4‑mini | $1.1 / $4.4 | GPT‑4.1 より安価 |
GPT‑4.1 | $2 / $8 | 参考 |
GPT‑3.5‑Turbo | ≈$0.4 / $0.8 | 参考 |
- Batch API 利用でさらに 半額。
- コンテキスト長は公表なしだが 数十万トークン 規模を維持と推測。
7. 内部アーキテクチャ(推測)
- 「思考時間」強化:計算量を増やすほど性能が伸びる設計。
- 段階的思考の明示学習:CoT を内部生成 → 最終回答を構築。
- ツール使用を RL で最適化:検索・コード実行タイミングを自己判断。
- 安全対策:ガードレール・赤チームテストを継続強化。
8. ユースケース別の使い分け
シーン | 推奨モデル | 理由 |
---|---|---|
高難度コード生成・デバッグ | o3 | 最高精度で複雑仕様を解決 |
日常のコーディング補助 | o4‑mini | リアルタイム応答&低コスト |
学術研究・科学計算 | o3 | 深い論理展開が必要 |
大量データの定型分析 | o4‑mini | 高スループット |
顧客サポート Bot | o4‑mini | 高速応答が命 |
画像×テキストの深い解析 | o3 | マルチモーダル精度重視 |
9. 開発者メリットと留意点
メリット
- ワンストップで検索・推論・コード・画像解析を統合
- プロンプトの手間削減:モデル自身が「考えて」くれる
- o4‑mini の圧倒的コスパ:GPT‑3.5 並み費用で GPT‑4 超級の推論
留意点
- 応答遅延(特に o3)への UI 配慮
- ブラックボックス化:Responses API で思考ログ確認を推奨
- コスト管理:長考でトークン爆増 → Batch API 併用で最適化
- モデル選定:単純タスクは GPT‑3.5 / 4.1 の方が速く安い場合も
10. まとめ
- o3 = 最高精度、o4‑mini = 高速・低コスト。
- 両モデルとも 「考え、調べ、書き、見る」 を一体化したAI エージェントに進化。
- GPT‑5 はこれらの技術を取り込み、さらに飛躍する見込み。
開発者は「精度・速度・コスト」の三軸で最適なモデルを選び、
AI を“思考するパートナー”として活用する時代へ。
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