はじめに

Proxmox VEの管理画面から仮想マシンのコンソールを開く際、デフォルトではブラウザ上からゲスト内へのコピー・ペーストはできません。長いコマンドをちまちま入力する、長いURLをミスタイプにおびえながら入力する、コピペできればそんな思いをしなくていい！
ということで、コンソールでコピペが実装できるように設定します。

そもそもなぜコピペができないか？

コピペができないの理由は、Proxmoxのホストからコンソールを開く方法にあります。
Proxmoxは何種類かのコンソールを開く方法が用意されています。
代表的な3つの接続方法を調べてまとめてみました。

noVNC
- 概要
  - Webブラウザから実行できるVNCクライアント
  - 利点
    - デフォルトで有効
    - ある程度のことは事足りる
  - 欠点
    - 特殊なキーの組み合わせが有効ではない・コピペができない
    - 前のログをさかのぼることができない
SPICE
- 概要
  - Simple Protocol for Independent Computing Environmentsの略
  - 仮想マシンを遠隔からコントロールするためのプロトコル
- 利点
  - コンソールだけではなく、GUIも表示させることができる
  - ゲスト側の音声、ファイル転送、USBなどの周辺機器などもコントロールできる
- 欠点
  - 接続するには、ユーザーのパソコンにSPICEクライアントを、ゲスト内にドライバーをインストールする必要がある
    （つまり、ProxmoxのWEB UIからは操作できない）
xterm.js
- 概要
  - xterm.jsというのは、そもそもJavaScriptでコンソールを描画するライブラリ
    Visual Studio Code・Hyperなどの有名なソフトウェアにも使用されている
  - サーバ上のbashと接続して、ブラウザからサーバ上のコマンドを叩けるようにする
- 利点
  - 前のログをさかのぼることができる
  - コピペができる
- 欠点
  - デフォルトで利用できないので、ゲストマシン上で設定する必要がある

Proxmoxの管理画面から、コピペができるコンソールを使用したいので、xterm.jsを導入することにしました。

環境

ホスト: Proxmox VE 8.2.2
ゲスト: Debian 12（cloud image）

導入方法

シリアルコンソールを追加する

Proxmoxの管理画面から対象のゲストを選び、ハードウェアのタブからシリアルコンソールを追加します。

シリアルポートは0番に設定します。

追加したらゲストを起動します。

ブートローダの設定を書き換える

ブートローダ（GRUB）の設定を書き換えます。
`/etc/default/grubを開いて、下のように書き換えます。

$ sudo vi /etc/default/grub

# If you change this file, run 'update-grub' afterwards to update
# /boot/grub/grub.cfg.
# For full documentation of the options in this file, see:
#    info -f grub -n 'Simple configuration'

GRUB_DEFAULT=0
GRUB_TIMEOUT=5
GRUB_DISTRIBUTOR='lsb_release -i -s 2> /dev/null | | echo Debian'
GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT=""
- GRUB_CMDLINE_LINUX="console=tty0 console=ttyS0, 115200 earlyprintk=ttyS0, 115200 consoleblank=0"
- GRUB_TERMINAL="console serial"
+ GRUB_CMDLINE_LINUX="console=tty0 console=ttyS0,115200 consoleblank=0"
+ GRUB_TERMINAL="serial"
GRUB_SERIAL_COMMAND="serial -- speed=115200"

保存したら、ファイルに書いてあったようにsudo update-grubを実行し、ゲストを停止します。

再度ゲストを起動して、xterm.jsからコンソールを開くとちゃんと表示されます。

参考文献

https://pve.proxmox.com/wiki/Serial_Terminal
https://pve.proxmox.com/wiki/VNC_Client_Access