背景

C/C++ コードを Python からポータブルな形で呼び出したい...
WASI + wasmer-python でやってみます.

malloc/new しなかったり, C++ STL 使わないような場合は Emscripten 利用も検討ください.

wasmer-python と emcc で C/C++ コードを wasm にして python でポータブルに動かすメモ(制約多い)
https://qiita.com/syoyo/items/6f0b74014e55ecf0a02b

制約

main を用意し, main 経由で処理しないといけない
C++例外や thread は使えない
Python 界とは直接はやりとりできず, 画像データを処理したいときなどは, ファイル経由でアクセスしないとだめっぽい(WASI の Rust runtime では stdin/stdout 上書きできるようだが, wasmer-python ではできない)

Emscripten に対しての利点

malloc/new とか, C++ STL(+ libc)関連がある程度使えるので, より汎用な C/C++ コードを動かすことができる

方法

まず, wasi-sdk で C/C++ コードを WASI 形式(?) の WASM にします.

#include <cstdio>
#include <cstdlib>

int main(int argc, char **argv)
{
  printf("argc %d\n", argc);
  for (size_t i = 0; i < argc; i++) {
    printf("argv[%d] = %s\n", i, argv[i]);
  }
  return 0;
}

以下のような感じでコンパイルしておきます.

/home/syoyo/work/wasi-sdk/wasi-sdk-16.0/bin/clang++ --sysroot=/home/syoyo/work/wasi-sdk/wasi-sdk-16.0/share/wasi-sysroot -fno-exceptions -o binding.wasm binding.cc

wasmer-python で実行

そのままだと wasi_snapshot_preview1 の fd_close とかのシンボルが見つからないエラーになります.
WASI 用のランタイムが用意されていますので, それを import するようにします.

手順としては, StateBuilder で main 実行の情報(プログラム名, 引数, 環境変数, アクセスできるフォルダ)を設定します.

StateBuilder の情報と, ランタイムは WASI のバージョンに依存するので, WASI のバージョンから import_object を作り, _start を invoke します!

from wasmer import engine, wasi, ImportObject, Function, Store, Memory, MemoryType, Module, Instance
from wasmer_compiler_cranelift import Compiler

store = Store(engine.Universal(Compiler))

wasm_bytes = open('binding.wasm', 'rb').read()

module = Module(store, wasm_bytes)
print(module)

wasi_version = wasi.get_version(module, strict=True)
print("WASI version", wasi_version)

wasi_env = \
    wasi.StateBuilder('wasi_test_program'). \
        argument('--myargs'). \
        environment('BORA', 'true'). \
        environment('DORA', 'false'). \
        map_directory('the_host_current_dir', '.'). \
        finalize()

import_object = wasi_env.generate_import_object(store, wasi_version)

instance = Instance(module, import_object)

# _start に引数を与えても反映されないので注意
result = instance.exports._start()

argc 2
argv[0] = wasi_test_program
argv[1] = --myargs

データのやりとり

stdin/stdout 使えないので, 小規模なデータであれば環境変数 or 引数で指定, 画像データなどの場合は一度ファイルに落としてやりとり, となるでしょう.
(PIPE とか使えるんじゃろか?)

複数インスタンス起動したい場合はファイル名を変えたり, map_directory で調整でしょうか.

main 返り値

wasmer-python では, 0 以外の場合は例外を出します

RuntimeError: WASI exited with code: 3

返り値取得したいときは以下のような感じになるでしょうか.

try:
    instance.exports._start()
except RuntimeError as e:
    print("err_code", str(e).split()[-1])

よりきちんとエラーメッセージをパースするなら parse https://pypi.org/project/parse/ を使うとよいでしょう.

おまけ. wasmtime で動かす

コマンドラインから動かせました
Python から subprocess で起動とかでもいいかも.