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社内で3Dプリンタによる大量生産をすることになった話

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気が付くと私は大量の光造形3Dプリンタと液体レジンとUV照射器とさらに大量の出力造形物に取り囲まれていたーー
※この投稿は事実に基づいていますが、一部誇張表現があったりなかったりします。

何が起きたのか

例の上司「弊社が開発したIoT機器が急遽大量に必要になった!!3Dプリンタいっぱい買ってきた!!」
syntan「な、なんだってえ!?」
驚き.png

ということで、
普通のプログラマーが3Dプリンタを業務で使うことになった話
にて作成していた、IoT機器のケースを大量生産することになりました。
※といっても今回は、私自身はほぼ実作業はせず、3Dプリンタの使用方法アドバイザーの立ち位置ですが。

どうして社内生産?

光造形3Dプリンタの出力は、ミスの発生がつきものであったり、プリンタの出力ボタンを押すだけでは完了せず、プリンタ自体のメンテナンス、出力造形物の洗浄、二次硬化が必要であったりといろいろと手間がかかります。
そしてそもそも、弊社はそういう製造会社ではないぞ(それはそう)という内部抗争(人聞きが悪い)があったりなかったりしまして、外部に委託できるところを検討しました。

しかし、社内で使っていた3Dプリンターでの出力可能サイズと、外部で対応できる出力可能サイズが合わなかったり、対応できるモデルフォーマットが異なったり、光造形3Dプリンタにこだわらず切削加工も確認してみるも、元々3Dプリンタ用に制作されているモデルのため形状的に対応不可(主に中空的な構造がアウト、参考:3Dプリンターと切削加工の違い)となり、社外で同じモデルを出力するのは困難という結論に至りました。

いざ大量生産を開始するも様々な問題発生

為せば成る、為さねば成らぬ何事もーー米沢藩 第九代藩主・上杉鷹山

ということで、人員を確保しいざ社内で大量生産!!
となりましたが、うまくいかないのが人の世の常です。

プリンタの初期不良?

大量に3Dプリンタを買うと、一つくらい初期不良が発生してもおかしくないですね。6台あるうち1つが、出力造形物以外の部分が異常に固まるようになってしまいました。UVを遮断する部分が働いていない感じですね。見た目はまったく異常がなかったのですが。
この件は販売元に確認するとのこと。

窓からの光がまぶしい!

3Dプリンターを置く位置は、元々物置状態だった廊下の隅です。その突き当り部分に大きな窓があり、日光が入り放題でした。3Dプリンタのカバーだけでは、日光を防御することはできず、バットの中のレジン表面が固まってしまい、印刷失敗の原因となっているようでした。

解決方法としては、突っ張り棒を突っ張り、遮光カーテンを付けることでなんとか回避しました。
いつもは明るい場所が昼夜問わず真っ暗で、大量の3Dプリンターの液晶モニターがそれぞれ光を放ち、より一層おどろおどろしい雰囲気に…。

出力造形物の取り出し作業で割れる!

出力後は、プラットフォームと呼ばれる金属の板に造形物がぴったり張り付いた状態となり、プラットフォームから造形物を取り外すという作業が後処理の最初の作業です。

いままでは造形物の取り出しやその後の後処理を含め、すべて私の方で行っていたので、今回新しく参加する人は完全に初心者でした。慣れてくると破損率は下がるかと思っていましたが、それでも5割くらい壊れるとのこと…どうして…。

元々モデルの作り方として、

  • 出力時間の短縮、出力後の処理時間短縮、レジン使用量の節約、完成形状の美しさ、などを優先。
  • 取り外しは簡単になるけど、見た目が凸凹してしまう、レジンの使用量が増えてしまうサポート材取り付けを極力行わず作成。
  • 取り外し難易度は私が難なく外せること。

という感じで、結果的にプラットフォームに張り付く面積が大きくなりました。その張り付き面積が大きいことで、張り付いた中心部分がうまくはがれず、割れて穴が開いてしまう、ということが起こっていました。

敗因は、取り外し難易度を私に合わせてしまったという部分だろうなあと思います。サポート材を取り付けて、造形物が直接プラットフォームに張り付く部分を減らし、だれが作業しても外せるようにする方向となりました。

中心部が薄くなる!スケスケ!

一つ目の初期不良プリンタを除いて、残り5台のうち1台が、大量のモデルを出力した劣化なのか、バットのフィルムが伸びてしまったようでした。現象としては通常ピンと張っていて浮かないフィルムが、プラットフォームに付いた硬化済みレジンに引っ張られて浮いてしまい、中心部がはがれず、平たく水平に出るはずの造形物の中心部が凹んで薄くなるというものでした。

対応策としては、フィルムを張り替えるもしくは、「フィルムが伸びてはがれ切らないなら、はがれ切るまでプラットフォームを上げればいいじゃない」ということでリフト高さ(フィルムから硬化したレジンをはがすとき、プラットフォームをどの程度上げるかの長さ)を長くする方法があります。

当初は一旦、リフトの高さを変更することになりました。その後別のモデルの出力もうまくいかないためフィルム貼り替えとなりました。

それでも印刷失敗は発生する

印刷完了したと思ったら、レジンを入れているバットのネジを締め忘れていて、プラットフォームにバットが張り付いて浮いていたなんていう、人為的ミスがあったり。
どこからともなく表れた不純物で、造形物表面が穴あきになるなんていう、回避不可能な失敗があったり。

クリーンルームでもなくどこからでもほこりが入る。空調が完璧でもないため天候によって気温と湿度が変化。元々3Dプリンタは失敗がつきもの…。

印刷失敗は当たり前に起こることとして、失敗を考慮した無理のないスケジュールを立てる必要があることを再認識しました。

まとめ

今回3Dプリンタで大量生産するうえで学んだことは

  • 後処理作業が問題なく行えるか(主にプラットフォームから破損なく外せるか)どうかのテストは、作業担当者自身が行う(もしくは初心者を捕まえてきて行う)ほうが妥当であり、不合格時の調整のためにモデル変更ができる人も必要になる。
  • 出力が安定したと思っても、プリンタの各部品の劣化(今回は特にフィルムの伸びについて)で調整が必要なことがある。

という感じでした。

最後までお読みいただきありがとうございます。
大量生産が上手く完了することを祈るばかりです…。

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