自作Lispにtcl/tk GUIを組み込んだ話

特別休暇

ずっと働き詰めでした。たまには自分にお休みを与えてもいいと思いました。夏季臨時休暇を利用してtcl/tkを、自作Lisp Easy－ISLisp（以下、EISL)にライブラリとして組み込みました。

C言語方式

Common-Lispのtcl/tkライブラリを調べてみますと、wishをプロセス間通信で呼び出す方式と、C言語で直接呼び出す方式があるようです。M.Hiroiさんのtcl/tkのページにはC言語で呼び出す方法が説明されていました。(M.Hiroiさんのページ）http://www.nct9.ne.jp/m_hiroi/tcl_tk_doc/tcltk305.html EISLのCラッパーの機能を利用、C言語を介して呼び出す方式としました。例えばcanvasを呼び出す関数は次のようになっています。

(defun tk::canvas (obj :rest l)
  (let ((opt (tk::option l)))
    (c-lang 
      "strcpy(buff,''canvas .'');
       strcat(buff,str_to_lower(Fgetname(OBJ)));
       strcat(buff,Fgetname(OPT));
       strcat(buff,''\n'');
       Tcl_Eval(interp,buff);")))   

ライブラリは予めコンパイルしておく必要があります。

(compile-file "library/tcltk.lsp")

再帰図形

おおよそ必要な関数が揃いましたので、再帰図形を描かせてテストすることとしました。シェルピンスキーのギャスケットです。

コードは次のようになります。

(import "tcltk")

(defun recur ()
    (tk::init)
    (tk::canvas 'c0 '-width 600 '-height 600)
    (gasket #(300 0) #(0 600) #(600 600) 10)
    (tk::pack 'c0)
    (tk::mainloop))

(defun midpoint (a b)
   (let ((a0 (elt a 0))
         (a1 (elt a 1))
         (b0 (elt b 0))
         (b1 (elt b 1)))
      (vector (+ (min a0 b0) (abs (quotient (- a0 b0) 2)))
              (+ (min a1 b1) (abs (quotient (- a1 b1) 2))))))
      

(defun draw-triang (a b c)
   (let ((a0 (elt a 0))
         (a1 (elt a 1))
         (b0 (elt b 0))
         (b1 (elt b 1))
         (c0 (elt c 0))
         (c1 (elt c 1)))
      (tk::create 'c0 (line a0 a1 b0 b1 c0 c1 a0 a1) '-fill 'green)))

(defun gasket (a b c n)
    (cond ((= n 0) t)
          (t
            (draw-triang a b c)
            (draw-triang (midpoint a b) (midpoint b c) (midpoint c a))
            (gasket a (midpoint a b) (midpoint a c) (- n 1))
            (gasket (midpoint a b) b (midpoint b c) (- n 1))
            (gasket (midpoint a c) (midpoint b c) c (- n 1)) )))

これを読み込んで(recur)関数を実行するとあのシェルピンスキーの再帰図形が現れます。

再帰図形の思い出

初めてこの手の再帰図形を見たのはウインストンのLISP本でした。c-curveを描くものでした。昭和58年ころのことでした。あれから40年ほど経過し世の中も変わりました。当時は記号処理のできる言語というとLispくらいしかありませんでした。今やPythonやら、Rubyやらテンコ盛りです。それにしてもLispで書かれたgasketのコードを眺めてると再帰にもっとも馴染んでる言語は今でもlispではないかと思います。

ドキュメントなど

EISLはOSSです。Githubにて公開しています。ライブラリの使い方についてはdocumentフォルダーの中のTCLTK.mdにあります。追々、記述を充実させていく予定です。