事件
日本のkadokawa社はロシア系のクラッキング集団からランサムウェアにより攻撃をうけ、身代金を要求されているという報道がありました。近年、このような攻撃を受ける例が増加傾向になります。ロシア、中国からの侵入が多いようです。
自己言及
私はふと、ゲーデルの不完全性定理のことを思い出しました。自己言及するとき、その証明は不可能になるというものです。そのことはLispを使うと容易に説明、証明できることはチャイティンさんが述べています。私も以前、記事にして投稿しました。
この性質はクラッキングからの防御に使えないだろうか?
Lispと自己言及
LispはS式という同図像性をその特徴の一つにしています。自分自身を書き換えることさえ可能です。自分自身を書き換えるプログラムがあったとしたら、そしてそれでネットワークの侵入経路を制御するプログラムが書かれていたら? これはクラッカーに対しての最強の防壁にならないだろうか?状態が変わるのです。
そう、変異を繰り返すウイルスのようなものです。それを突破するツールを作った頃にはプログラムは姿を変えています。ツールは何の役にも立ちません。この手のプログラムを作れるプログラム言語は存在するでしょうか? 私が知りうる限り、Lispだけです。
(defun unprovable-p (x) (not (valid-proof-p x)))
上記のコードはチャイティンさんの本にある例です。詳しいことは私の過去記事をご参照ください。
具体的に
もう少し具体的に考えてみましょう。脳は学習することでシナプスの繋がり具合を変更していきます。仮に部分的に脳にダメージがあったとしても、その部分を代替する機能が形成されるとのことです。ネットワークにおいて仮に侵入を許してしまったとしても、その部分を直ちに閉鎖、破壊して、代替機能をプログラムすることができれば侵入から防御することができるでしょう。どのように代替機能が形成されるのかは外部からはまったく予想不可能です。脳自体にも予想がつきません。
空き巣へ対処法を考えてみましょう。防犯対策はさまざまありますが、その形態が固定化されているならば、突破されることもあるでしょう。しかし、状況に応じて対抗策が変化するような防犯システムならどうでしょうか?空き巣には予想不可能が場面を作ることになります。その対抗策が犯人に予測されないこと、これが最大の防御ではないでしょうか?
経済価値
kadokawa社に対する身代金は4億とも10億ともいわれています。アメリカ合衆国においてはこの身代金を支払うケースが多いそうです。保険制度があり支払い可能であり、その方が経済効率がいいというのが理由です。日本にはそのような保険はありません。禁止されています。企業はクラッキングをはねのけなければなりません。もしも、そのような手法が開発されるのなら、莫大な経済価値を生むことでしょう。
AIなど主流な分野でPythonにその座を譲り渡したLispです。しかし、まだまだ活躍の場は残っていると私は信じています。