はじめに
税務申告を生業とする町の普通の税理士が、会計業務とPower BIとの親和性に惚れ込み、真剣に取り組んでみました。
ここでは、なぜ税理士がPower BIに取り組んだのか、どうやって勉強したのか、今後の希望について書かせていただきます。
なぜ税理士がBI?
後述する清水優吾さんの書籍に 『BIとは、可視化を通じてビジネスの現況を理解し、ネクストアクションを見いだす経営手法』 という内容の一節があります。
私たち町の税理士は、お客様の税務申告書類を作成するほか、会社の経営成績を経営者に報告する業務を行っており、BIの提供する機能がまさに我々の業務にうってつけだと考えたのが始まりです。
まずは、会計ソフトから出力される資料の補完として売上分析を行ったり、営業や人事データといった非会計情報を取り扱うことを想定して勉強を開始しました。
徐々に業務への適用を工夫する中で、以下の点も私たちと相性の良いところだと感じています。
(1) 守秘義務契約を前提に、会計データを始めとした各種情報を扱える権限を得やすい。
(2) 報告先が最終的な意思決定者である経営層である。
(3) クライアントの事業内容や課題を理解しており、導入までの理解を得やすい。
(4) 視覚化により、私たち自身もクライアントの経営情報をより理解できる。
実際の活用シーンについても、機会があれば記事にしてみたいと思います。
学習方法
(1) 書籍
勉強を開始した当時(2020年)には、まだPower BIについて書かれた書籍が少なく、最初に手に取ったのがこちらの本でした。
カラフルで見やすく、私のような非ITの初学者が操作を覚えるには良い本でした。
ただ改定が行われておらず、ここでご紹介するのをためらいましたが、学習開始の当時は読み倒していたということで掲載いたします。
Microsoft MVP 清水優吾さんによって書かれた書籍。操作を覚えるHow-toというより、Power BIとは何か、可視化とはなにか、という本質を問いかける本。
Power BIによる視覚化を、経営における意思決定という観点から書かれている章もあり、会計業務に従事される方々には共感しやすいと思います。
また、自分自身のレベルアップに合わせて読み返すと「なるほど、そういうことだったのか!」という発見があるスルメ本でもあります。
(2) Udemy
実際の操作を動画で見えるという点で、理解しやすく非常におすすめです。
ご紹介するのは、こちらもMicrosoft MVPである石川陽一さんによるもの。優しい語り口で、ファンになること間違いなし。
(3) コミュニティへの参加
最も衝撃を受けた勉強法。
最初はビクビクしながら参加させていただいたものの、皆さんにとてもとても親切にしていただきました。
これで無料でいいんですか!Power Platform界隈恐るべし!
こちらのコミュニティでは上記2名のMVPに加え、もう一人のMVP 加賀田猛さんが主催されています。
つまり日本にいるPower BI MVPの御三方に直接お話を伺える。至福。
自分は非IT系で大丈夫かな...という方も、Power BIに興味を持たれたら、ぜひ勇気をもって参加してみてください。
(4) Qiitaの記事
ネットでPower BIの調べものをすると、だいたいQiitaの記事にたどり着きます。
いつも記事を書いてくださっている方々に感謝とリスペクトです。
今後
Power BIやPower AppsをはじめとしたPower Platform製品群は、コスト面で制約のある中小零細企業にとっても、実は大きな可能性を秘めたサービスです。
会計業界の中にもこれらのサービス群を学び、少しでも中小零細企業の生産性向上に寄与できる方々が増えてくればいいなと思います。
ただその一方、我々のような非IT系にとってPower BI等の学習にかなりの難易度があるのも事実。
私たち会計業界がこうした勉強を始めるとともに、Qiitaの記事を読まれるようなエンジニアの方々の力をお借りできれば、町の中小零細企業の業務を大きく改善できるはずです。
今後、相互の交流が深まっていくことを期待しています!