PMP受験の経緯
自己紹介
2000年に某大手電気メーカーに就職。ソフトウェアの開発に興味があり、ソフトウェア製品のプログラミング等、モノづくりに携われるという期待を込めて入社したものの、実際はそのようなことが出来たのは入社後2年程度。以降は外注手配やら、納入物のチェックやら、開発管理業務やら、モノづくりからは距離がある仕事を任されることに。
いまは所謂WEBサービス開発のプロマネ業務を行っているが、プロマネに興味があるわけではなく、ほかにやる人間がいないから、というのが一番の理由。どちらかというと、自分で手を動かして製品開発をしている方が好き。いつかはデベロッパー返り咲きを夢に抱きつつ、コスト管理、進捗管理の日々。
会社からの要請
社内の失敗プロジェクト撲滅のためか、各部の管理職に対してPMP資格の取得の要請あり。最初は抵抗していたものの、外堀埋められ、取得を目指すことに。要請は2022年度中(~2023/3Eまで)の取得。
まったくもって、やる気がないところからのスタートだが、反面、これまでのマネジメントは、他のプロマネを横目に見よう見まねで感覚的にやっていたこともあり、体系的に学べる良い機会かなと思うところも。
学習と試験の記録
2022/07~2023/01
PMP取得目指して頑張るぞ、ということで、手始めに適当な参考書の購入からはじめることに。参考書の冒頭で何やら35時間の公式講習を受けることが受験の前提になるとの記載あり。早めに講習を受けるという考えもあったが、いったん参考書でしっかり学習して、35時間の講習は得た知識の理解度を確認する目的で活用する作戦をとることにした。学習を開始して半年くらいはやる気あがらなかったが、年始からペースを上げ、いざ35時間講習に申し込みをした。
ここで自分が大ボケをかましていた事実が判明。35時間講習をはじめて早々に「なにこれ?」となったのである。参考書の内容とはまったくことなる内容の講習となっており、ココで大きなあやまちを犯していたことに気づく。
実は、参考書はPMBOK第6版をベースに書かれており、改定前のものだったのである。学習をはじめて数か月ほどでPMBOKの最新が第7版である事実に気づいてはいたが、別に異なる試験になるわけではなかろう、きっと小規模な改定であり、35時間講習で差分を吸収すればよいであろうと誤った判断のもと、第6版ベースの参考書で学習をすすめていたのである。第6版から第7版は大規模改定であることに加えて、PMP試験も知識問題からシナリオ問題に改定されており、当初の期限内でのリカバリは不可能と判断。泣く泣く取得目標を2023/3Eから半年間ずらしてもらうことを会社と調整。
PMP受験生の中でも私ほど大ボケかました人はいないだろうと思う。プロマネで言うところの要件の収集の重大さを身をもって学ぶことに。
2023/02~06
自分の大ボケにより、ほぼイチから学習をしなおすはめに。今度は同じあやまちを繰り返さないために、Youtubeやらインターネット上の体験談を参考に、学習のための素材として、PMBOK Guide 第7版、アジャイル実務ガイド、ベンダー提供の35時間講習(演習問題&模擬試験込)サービスの3つを使い学習を進めていくことにした。
PMBOKガイドは抽象的すぎて何がポイントになるのかさっぱりわからず。ベンダー提供の35時間講習サービスは、オリジナル素材が英語版だと思われるが、その翻訳が滅茶苦茶で、何が言いたいか読み取るのが困難な箇所が多々あり。加えて演習のシナリオ問題は、所謂PMIイムズの理解が前提となっており、正解と自分の経験とのギャップに苦しめられることに。不安だらけの学習であったが、そんな中でもいくつかのポイントを見出すことができた。
- PMIイムズは書籍や講習を勉強していただけではわからない。繰り返し演習問題を解くことでなんとなく理解できる。
- 予測型の開発アプローチの学習は、むしろ第6版ベースの参考書の方が理解に役立った。
- 適応型の開発アプローチの学習は、アジャイル実務者ガイドを中心に進めた方がよい。
- 180問を230分で解く試験で、かつシナリオ問題であるため、演習問題/模擬試験で、速読への慣れと、1問当たりの持ち時間を感覚的に体におぼえさせておいた方がよい。
2023/07 受験申し込み&受験
PMP試験の面倒なところは、その申し込み。35時間の講習の受講に加えて自分の経歴を英文でPMIに送付しなければならないところに戸惑ってしまう人が多いと思われる。幸い日々の業務で比較的英語に触れる機会は多かったので、自分の場合は英文の経歴送付はさほど苦ではなかった。監査対象とならなければ数日でチェックされ、試験の申込が可能になる。
試験はおなじみのPearson VUEで申し込み。希望の日に受けようとするならば、かなり早めに予約をするか、複数の会場の空き状況確認して予約をすることになる。自分の場合は、最寄りの横浜、東京エリアで予約を入れたかったが、希望日の空きが見つからず、千葉で申し込みをすることにした。
試験当日は、受付を済ませて、荷物をロッカーに入れた後、PCと座席が並んだ試験会場に案内される。10分程度(?)試験の操作のためのインストラクションがあった。マーカーペン機能等色々な操作を行えるが、自分が活用したのはフラグ機能(あとから見直すためのフラグをつける機能)のみ。試験は計60問×3セットで、セット間には10分の休憩を取ることができる。計180問を230分で回答せねばならず、時間配分は前もって意識した方がよい。時間は画面の右上に表示されるが、全230分中の残何分というように表示されるため、最初のセットは残何分で終え、2回目のセットは残何分で終えるというようにあらかじめ目安を持っておかないと、最終セットで時間が足りないということにもなりかねない。自分の場合は、1セット76分を持ち時間として捉え、1問1分程度で解いて、残りはフラグを立てた問題の見直しというような時間配分でのぞんだ。
試験は、最初の数問は緊張してしまったが、緊張さえ取れてしまえばどうということはない感じだった。ただ、となりの席の方が常にゴホゴホと咳払いをする方で、防音用イヤーマフがあったとはいえ、集中力はかなり削がれることになった。
結果は下記のとおり。
最後に自分にご褒美をあげましょうみたいなことを言われたので、試験当日たまたまやっていたMR.BIGのファイナルコンサートを見て帰ることにした。
学習時間
月ごとの学習時間は下記のとおり。
総学習時間は、187.4h(35時間の講習込)であり、一般的なPMPの学習時間は100hと言われているので、それよりも大幅に時間を使ったことになる。
PMBOK第6版ベースで学習をすすめてしまったことの手戻りと、短期に集中して学習する効率の良いやり方ではなく、気分次第でダラダラと学習をすすめていたことが必要以上に時間を使ってしまった理由。モデルケースではなく、アンチパターンとして理解してもらった方がよい。
2022年 (hour)
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2.2 | 7.3 | 10.1 | 9.0 | 1.3 | 6.3 |
2023年(hour)
01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
21.5 | 23.9 | 10.0 | 15.6 | 11.1 | 19.8 | 48.0 |
学習&試験費用
学習費用・試験費用のことを考えると泣けてくる。
合計で¥231,380。
趣味でギターやっており、これ結構イイやつ買える金額。
書籍代
計¥14,578 + 税。
(1) PMP試験対策テキスト&問題集 : ¥3,800 + 税
(2) PMP試験要点解説×対策問題 : ¥3,200 + 税
(3) PMBOKガイド第7版+プロジェクトマネジメント標準 : 後述のサービスの金額に含まれる
(4) アジャイル実務ガイド : ¥7,578
35時間講習+試験対策サービス
¥129,557
PMBOKガイド、35時間の講習(WEB上の講習)サービス、演習問題、模擬試験、サポートサービスを含んだコースの金額。
他のベンダーとの料金比較や他のコースとの料金比較を真面目にやっていないので、金額面でもっと抑えられたかも。
PMI会員登録+試験代
¥87,245
PMIの会員になると試験料金が安くなるとのこと。二回目、三回目の試験実施要となるとトータルでは会員になった方が安くなる。一回でパスだと逆に高くなる。
会員サービスやその特典を利用するかわからないけど、なんとなく会員になった方がよいかなという思いで会員に加入。
まとめ
いろいろ回り道はあったが、無事PMPを取得できた。
合格率(推定)は60%であり、難易度が特別高いわけではないので、対策さえちゃんとすれば受かるはず。
これからPMPを取得されようとしている方へのアドバイスは以下のとおり。
- PMP取得をひとつの個人プロジェクトとして捉え、アジャイル型アプローチで進めていくのがよいのかなと思う。ザックリしたマイルストーンをベースに、取得に必要な作業をバックログ化し、優先順位を設定してすすめていき、途中自分の理解度や弱点をフィードバックしてバックログの優先度を変えていく。
- PMIイズムの理解がPMP取得の重要な要素だと考えている。PMIイムズは、自分の経験とのギャップを感じることにより気づける側面が大きく、そのギャップは読本だけではなかなか感じることができない。そのために、演習問題/模擬試験を繰り返し、PMIイズムを驚きとともに理解していく必要がある。
- 演習問題や模擬試験に頻出するテーマについては、PMBOKガイドや参考書を熟読し、周辺事項含めて理解する。
- Youtubeやインターネット上の体験談やノウハウを活用する。学習のコンテンツというよりは、対策方法や落とし穴を事前に把握することができる。