16
10

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

Salesforce PlatformAdvent Calendar 2018

Day 11

Service Essentials と Amazon Connect を使ってコンタクトセンターを構築してみた話

Last updated at Posted at 2018-12-11

みなさん、こんにちは。
「Service Cloud を愛し、Service Cloud に愛されたい男」すやまんJAPAN(@suyaman_jp)です。

テラスカイ歴=Salesforce歴である、入社6年目のエンジニアです。普段は主に金融系や通信サービス系のコンタクトセンターシステム構築を担当しており、好きな Service Cloud の機能はオムニチャネルです。
2018年9月に、Service Cloud に関わるすべての人のためのコミュニティである「Service Cloud Trailblazers」を立ち上げ、サービスの定着化・活用支援を推進するため日夜コミュニティ活動に励んでおります。

早速ですが、当記事は 2018年12月5日@東京ビッグサイトにて開催されました Salesforce World Tour Tokyo の一コマにて、Service Cloud Trailblazers の運営チームとして講演させていただきました「Service Cloud Essentials でここまでできる!今日から始めるコンタクトセンター構築」の内容をベースに構築方法などの概要をご紹介させていただこうと思います。

はじめに

従来、コンタクトセンターの構築・維持には高額な初期費用とランニングコストが掛かっていました。
2018年5月に発表された Salesforce Essentials エディションは、まずは小規模でカスタマーサービスの提供を始めようとしている企業専用に構築されたカスタマーサービスソリューションです。発表当初、本エディションではCTI統合ができないエディションでしたが、Winter'19のアップデートにおいて、Service Essentials での CTI の使用が可能になりました。

そこで、クラウドベースのコンタクトセンター・ソリューションである Amazon Connect と、Service Essentials を組み合わせてクラウドコンタクトセンターを構築した場合、どこまでカスタマーサービスを実現できるのかを試してみました。

Service Essentials について

Service Essentials の特徴

小規模企業やスタートアップ企業に向けて、最大ユーザー数を5人までとする代わりに価格を低く抑えたエディションです。

  • これからカスタマーサービスの提供を始めようとしている企業向け
  • カスタマーサービスに必要な機能をオールインワンで提供
  • 上位エディションへのアップグレードも容易
  • カスタム開発ができない
  • ユーザー数が5人までに制限される

エディション毎の機能比較(ざっくり)

開発を必要とする機能以外は、ほとんどの機能を利用することが可能です。
※営業支援の Sales Cloud と 顧客サポート支援の Service Cloud の両方の機能を使用することが可能です。

機能 Salesforce Essentials エディション 上位エディション
Chatter
コンソール
オムニチャネルのルーティング
ナレッジ
取引先/取引先責任者/リード
ヘルプセンターテンプレート
Outlook/Gmail連携
プロセスビルダー
LiveAgent/LiveMessage ×
Apex/Visualforce/API ×
Sandbox ×

※最新情報は公式ページを参照

Amazon Connect について

Amazon Connect の特徴

あらゆる規模のビジネスをサポートできるスケーラビリティを持ち、使いやすいクラウドベースのコンタクトセンター・ソリューションです。コンタクトセンターにおける、テレフォニーシステムにあたる機能(スキルベースルーティング、通話録音、リリアルタイム/ヒストリカルレポート、高品質音声技術など)を提供するクラウドサービスです。

  • 100%クラウドベース

    • セルフサービスのコンフィギュレーション
    • ダイナミックで個人を特定した自然なコンタクトフロー
    • オープン・プラットフォーム
    • AWSのエコシステム
  • 顧客に提供した価値(接続時間)に応じた従量課金システム

    • 前払いなし
    • 電話回線の手配不要
    • 顧客接続時間に応じた課金
    • オートスケール

サービス利用料(シドニーリージョンでの試算例)

社内ヘルプデスクの場合

  • 着信数:900件/月 ※平均通話時間4分/件
  • 発信数:100件/月 ※平均通話時間4分/件

月額

  • 約150USD(約16,000円)※全ての通話録音データ込み

上記の試算は、シドニーリージョンで Amazon Connect を利用した際の利用料となるため、東京リージョンでサービスがローンチされた暁には利用料は下がることと思われます。

Amazon Connect が東京リージョンに対応!

って、言ってるそばからあれですが、
本日、2018年12月11日に Amazon Connect が東京リージョンに対応したとのことです!:joy:

Amazon Connect が東京リージョンに対応しました。Webinarも緊急開催!
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/amazon-connect-tokyo-region/

東京リージョン対応により、以下が可能となります。

  • 日本国内でのデータ保持
  • シドニーリージョンと比べ、遅延の少ないネットワーク通信
  • 日本の地域番号(0ABJ)、0120に代表される無料通話番号の提供
分類 項目 料金(シドニー) 料金(東京) 単位
サービス利用料 1分あたりのサービス利用 0.018 0.018 USD/分
電話番号利用料 1日あたりのDID電話番号利用料 0.13 0.10 USD/日
1日あたりのフリーダイヤル電話番号利用料 0.48 0.48 USD/日
電話料金(インバウンド) 1分あたりのDID通話料 0.0056 0.0030 USD/分
1分あたりのフリーダイヤル通話料 0.2114 0.1482 USD/分
電話料金(アウトバウンド) 1分あたりのアウトバウンドコール 0.1203 0.1000 USD/分

前述の試算例からすると月額 約20USD くらい安くなりそうです。

Amazon Connect CTR Adapter V2 for Salesforce について

2017年3月のAmazon Connect 発表後から CTI Adapter V1 は利用可能でしたが、必要最低限の機能+機能拡張を行うには Contact Control Panel(CCP)画面のカスタマイズ開発を行う必要がありました。
先日の2018年9月末にサンフランシスコで開催された dreamforce 2018 において新たな発表がありました。

Amazon Connect CTI Adapter for Salesforce Service and Sales Cloudの発表です。
CTI_Adapter.jpg
注目すべきは右側に記載のある機能群です。新しい CTI Adapter では以下の機能をカスタマイズ開発なしに標準の設定変更れべるで機能を利用することが可能になるとのことです。

  • 新機能
    • Omnichannel (電話チャネルをオムニチャネルに統合)
    • New screen-pop capabilities (新しいスクリーンポップアップ機能)
    • IVR Data Dips (IVRからの外部データの利用)
    • Call logging and redording (コールログの取得と記録)
    • Case management (ケース管理が可能に)
    • SSO Support (Amazon Connect へのログインが不要に)
    • Coming soon:Voice transcriptions loaded into case (予定:ケースにテキスト化した通話音声が転記される?)
    • Coming soon:Integrated Reporting (予定:Amazon Connect のレポートが Salesforce 内で参照可能になる?)

これらの新機能を検証を兼ねて、今回のコンタクトセンター構築は CTI Adapter V2 を使用することにしました。
(新機能の検証結果については、別記事でご紹介したいと思います。)

構築可能なコンタクトセンター全体像

Salesforce Essentials エディションでは、カスタマイズ開発を行うことはできませんが、標準機能を駆使することにより以下の赤枠の範囲までカバーすることが可能となります。
image.png

オムニチャネルによる各種問合せチャネルへの対応や、ヘルプセンターを構築しナレッジを公開することによりセルフサービスによる自己解決を可能にするなど、最も安価なエディションであってもここまでできるんだ ということをご理解いただけたらと思います。
また、Service Essentials エディションは常に進化をつづけており、つい先日まで利用できなかった機能がバージョンアップにより利用できるようになることもあります。(逆にこっちがそんなに出来るようにして大丈夫なのか?と思うくらい。。)

まとめ

構築されたコンタクトセンターで実現できる主な特長としては、まず業務効率を大幅に改善し、効率のよい顧客対応でできるといったコンタクトセンターのフロント業務側の特長があります。

効率のよい顧客対応

  • あらゆる情報をオペレーターのコンソール画面に集約
  • 電話、チャットなど複数のチャネルの同時対応が可能
  • 顧客情報やFAQをコンソール画面から検索可能

また、もうひとつの特長として、システムがクラウドベースであるために、その高い柔軟性によってシステム面での大きなメリットがあります。

クラウドベースによる高いカスタマイズ性

  • チャットボット、AIなど最新のサービスと柔軟に連携
  • 高いスケーラビリティ
  • 短期開発によるサービスの早期立ち上げ

Salesforce Service Cloud を中核として、様々なチャネルで顧客とつながることができ、顧客がセルフサービスで自己解決できるサービスを提供し、CRM データを統合した顧客に関わるすべてのデータをオペレータに提供することができるようになります。
また、上位エディションにアップグレードすることにより、外部のシステム・SNS・IoT などあらゆるデータと連携することができるようになるため、ビジネスの変化やこれからもたらされる新たなサービスとの連携も視野に入れることができます。

さいごに

今回、Salesforce Essentials (Service Cloud の最も安価なエディション) と Amazon Connect(使った分のみの従量課金) を使用してコンタクトセンターを構築いたしました。まずは小規模でカスタマーサービスを始めてみようかなと考えている方の参考になれば幸いです。

次回以降、各機能の詳細にフォーカスして説明していこうと思います。

16
10
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
16
10

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?