スクラムのチームは全員が同じ場所にいることが推奨(だったと思います、Scrum.org の Scrum Guide には書いてないかも)ですが、そうも言っていられない状況。しかし、リモートワークでスクラムをする場合には、かなり頑張って、メンバーが密にコミュニケーションできるように準備する必要があります。
そのための工夫のひとつとして Azure DevOps のタスクのメンションを使うのが良い感じです。
タスクの Discussion のメンションを活用
Azure DevOps のタスクには、タスクの内容を詳細に書ける「Description」とそれについてメンバーで話し合える「Discussion」のフィールドがあります。使い分けとしては、Description は最新に更新していく。Discussion はそのための確認の会話や、あるいは自分のための作業の備忘録という感じに使えます。
どちらもテキストやリンク、箇条書きなどのある程度の書式の指定、画像の貼り付けなどができるので、自分でタスクの作業をしながら、新たに明確になったことがあったり、逆に不明確で悩んだことがあったりした時に、すぐに書き込むのに使い勝手が良いです。
特に画像が貼れるので(Windowsなら Ctrl+V が可能)、エラー画面や選択に迷ったオプション画面など、文字を手打ちする必要なしにキャプチャをさっと貼っておいて、メモを取りながら作業を進められます。本当に困ったら、そのままそこまでのキャプチャやメモを見てもらえるように、他のメンバーに相談することができるのです。
Discussion で @ユーザー名 を入力すると、いわゆるメンションができます。はじめに @を入力するだけでユーザー名を検索できるので簡単に開始でき、返信の時は自動的に相手の名前が入っています。
メンションはタスクを保存すると相手に通知され、相手はメールのURLからこのタスクを直接開けるので、すぐに Discussion に書き込むことができます。サイトにログインできるならPCに向かっていなくてもメモや画像の確認と返事ができます。
リモートワークでメンバーがそれぞれ別々の場所・時間で作業していても、きっと良いタイミングで返事を返してもらえるでしょう。同じ場所でリアルタイムで一緒に作業できるコミュニケーションにはかないませんが、かなり良いコミュニケーションが出来ると思います。ちょっと離席して、戻ってみると返事が書き込まれているのをみると、あぁ、ちゃんと一緒に仕事しているな、とちょっと安心します。
メール・Teams・Slack の会話ではなくタスクを使う意味
リモートワークでは、メールや Teams・Slackなどのチャットやビデオ会議・音声会話など、さまざまな会話の手段が利用できます。
しかし、それらはそれぞれ「人と人」やチャンネル・会議など、タスクとは別の粒度に関連付けられていて、直接的なタスクの内容からは切り離されているため、会話の瞬間は役に立ちますが、後からわからなくなることが多いと思います。
ちょうど、ひと昔前には「メールの返信」を使わないで、「なんでも電話をかける」コミュニケーションはちょっとやりづらいなと感じたはずです。それにとても似ています。例えば、最後に話題に上がった内容には返事がもらえたけど、その直前の重要な質問の会話はすっかり忘れられていた、なんてこともよくあります。電話と違ってチャットなどにはデータがしっかり残っていますが、なんでも検索して確認するのが便利とは必ずしも言えないでしょう。これらはあくまで、会話として流れていく、長期的に残らないの情報と割り切ることも重要です。
対して、Azure DevOps のタスクの会話なら、それぞれタスクの内容と関連付けられているので、それぞれ最後まで会話が完了したかどうか、しっかり把握できます。そして、いつまでもタスクに残り続けるので、タスクの完了後にも、そのタスクとソースコード、ビルドパイプラインとビルド結果、テストとテスト結果、リリース(デプロイ)と、その後のバグまで全て関連付けられて残っていきます(それでいて、タスクを開きなおすまで見えないのもノイズにならなくてよいですね)。いわゆる「トレーサビリティ」がちゃんと保証されている。これはチームを作るマネージャとしてはとてもありがたい。
もちろん、それを「ガチガチに管理されている」とメンバーが感じてしまうと、使うのはちょっとツライかもしれませんが。うまく使いこなすことができれば、ここに当時の会話が残っているおかげで、トラブルが少なくなって効率もよくなり、かえって気持ちが楽になる、ということはありますよね。