17
8

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 3 years have passed since last update.

Kubernetes 1.16: SIG-CLI の変更内容

Last updated at Posted at 2019-09-20

はじめに

ここでは、Kubernetes 1.16 の CHANGELOG から SIG-CLI (kubectl) の取り組みについてまとめています。

新たに追加されたコマンドとフラグ

  • kubectl get --output-watch-events フラグ: イベントタイプ(ADDED, MODIFIED, DELETED)のカラムを出力に追加
  • Server-Side Apply に関連する kubectl apply の次のフラグ
    • --server-side
    • --force-conflicts
    • --field-manager
  • kubectl delete --raw フラグ: kubeconfig ファイルの認証情報を使った apiserver への DELETE メソッドでのアクセス
  • kubectl replace --raw フラグ: kubeconfig ファイルの認証情報を使った apiserver への PUT メソッドでのアクセス

廃止予定のコマンドとフラグ

  • kubectl convert(v1.17 で削除予定)
  • kubectl get --export フラグ(v1.18 で削除予定)

削除されたコマンドとフラグ

  • kubectl get/annotate/apply/delete/describe/edit/label/set --include-uninitialized フラグ
  • Server-Side Apply に関連する kubectl apply の次のフラグ
    • --experimental-server-side
    • --experimental-force-conflicts
    • --experimental-field-manager

そのほか、細かい変更は、 https://github.com/superbrothers/kubectl-docs/compare/v1.15.0...v1.16.0 で参照できます。

What's New (新情報)

SIG-CLI に関する大きな変更はありません。

Deprecations and Removals (廃止および削除)

  • v1.14 から廃止予定となっていた kubectl convert コマンドは v1.17 で削除されます

  • v1.14 から廃止予定となっていた kubectl get コマンドの --export フラグは v1.18 で削除されます

    • :pencil: --export は YAML 形式等でマニフェストを出力した際に、statusmetadata.resourceVersion といったクラスタ固有のフィールド(apiserver や Kubernetes コントローラが付与するフィールド)を除くフラグです
    • :pencil: しかし既存の利用者が多く、代替手段もないことでイシューが盛り上がっています
  • kubectl cp コマンドは、コンテナからのシンボリックリンクのコピーのサポートがなくなりました。このユースケースをサポートするには、tar コマンドを直接使用する例が kubectl exec --help で参照できます (#82143, soltysh)

    # For advanced use cases, such as symlinks, wildcard expansion or
    # file mode preservation consider using 'kubectl exec'.
    
    # Copy /tmp/foo local file to /tmp/bar in a remote pod in namespace <some-namespace>
    tar cf - /tmp/foo | kubectl exec -i -n <some-namespace> <some-pod> -- tar xf - -C /tmp/bar
    # Copy /tmp/foo from a remote pod to /tmp/bar locally
    kubectl exec -n <some-namespace> <some-pod> -- tar cf - /tmp/foo | tar xf - -C /tmp/bar
    
  • 廃止予定となっていた --include-uninitialized フラグが削除されました (#80337, draveness)

    • :pencil: このフラグは、kubectl getkubectl apply といったコマンドで初期化されていないオブジェクトを対象にするというものでした
    • :pencil: 「初期化されていないオブジェクト」というのは、metadata.initializers が空ではないオブジェクトのことで、例えば一部の Initializer の処理がまだ完了する前のオブジェクトなどです
    • :pencil: Initializer 機能は 1.14 で削除されています

主な機能

ベータ

  • Server-Side Apply 機能がベータになりました (#81956, apelisse)
    • :pencil: ベータ昇格により、FeatureGate ServerSideApply がデフォルトで有効化されます
    • :pencil: 合わせて、kubectl apply の Server Side Apply に関連したフラグの名前が変更されます
      • --experimental-server-side--server-side
      • --experimental-force-conflicts--force-conflicts
      • --experimental-field-manager--field-manager
    • :pencil: --server-side フラグは無効のままとなっているため、デフォルトでこの機能は利用されません
    • :pencil: Server Side Apply の概要については、Kubernetes 1.14: Server-side Apply (alpha) を参照してください

アルファ

  • エフェメラル(揮発的な)コンテナがアルファで追加されました。この一時的なコンテナは kubectl exec が既存のコンテナ内でプロセスを実行するのと似て、デバッグ目的で実行中の Pods に追加されます。また、kubectl exec と同様にエフェメラルコンテナのリソースは確保されず、終了しても再起動されません。container namespace targeting はまだ実装されていないため、Pod 内の他のコンテナからプロセスを確認するために PID ネームスペースの共有を有効にしなければならないことに注意してください。(#59484, verb)

CLI の改善

  • kubectl の --all-namespaces/-A フラグが kubectl wait コマンドで機能するように改善されました(#81468, ashutoshgngwr)

  • kubectl get -w/--watch は、イベントタイプ(ADDED, MODIFED, DELETED) を表示する --output-watch-events フラグを合わせて利用できるようになりました (#72416, liggitt)

    • :pencil: kubectl get -w とともに合わせて --output-watch-events を指定することでで出力されるカラムにイベントタイプが追加されます

      $ kubectl get ns -w --output-watch-events
      EVENT      NAME              STATUS   AGE
      ADDED      default           Active   84m
      ADDED      kube-node-lease   Active   84m
      ADDED      kube-public       Active   84m
      ADDED      kube-system       Active   84m
      ADDED      ns1               Active   0s
      MODIFIED   ns1               Terminating   5s
      MODIFIED   ns1               Terminating   10s
      DELETED    ns1               Terminating   10s
      
  • kubectl に Endpoint Slice リソースのサポートが追加されました。この機能は discovery API グループが有効なときに機能します。 (#81795, robscott)

    • :pencil: discovery API グループ(discovery.k8s.io)は Endpoint Slice リソースが属する API グループのことです。

その他の主な変更

  • CVE-2019-11249 の修正: kubectl cp でのディレクトリトラバーサルである CVE-2019-1002101 および CVE-2019-11246 の一時的な修正 (#80436, M00nF1sh)

  • オーバーライドされるフラグに関する bash 補完のエラーの修正 (#80802, dtaniwaki)

  • kube-apiserver でパニックを引き起こすサーバサイドプリントのバグを修正 (#79349, roycaihw)

  • kubectl cp コマンドでコピーしたファイルでの "time stamp is the future"(タイムスタンプが未来です)エラーの修正 (#73982, tanshanshan)

  • 不正なプロパティ名を指定した際に kubectl set config コマンドがハングし、CPU を使い切ってしまうバグの修正 (#79000, pswica)

  • 単一リソースをウォッチした際の kubectl get --watch-only の出力が修正されました (#79345, liggitt)

    • :pencil: 出力部分のロジックにバグがあったようで、単一リソースをウォッチした場合に何も出力されていなかったようです(正しくは改行のみ出力)
  • kubectl get --ignore-not-found はエラーに遭遇しても処理を実行するように修正されました (#82120, soltysh)

    • :pencil: kubectl get コマンドの --ignore-not-found は、指定したオブジェクトが存在しない場合でもエラーを無視する(終了コードが0になる)フラグです

    • :pencil: この修正は、より正確にいうと kubectl get -f search.yaml --ignore-not-found(search.yaml は次のように List オブジェクト)の場合でのみエラーで処理が中断されていました

      # search.yaml
      apiVersion: v1
      kind: List
      metadata:
        resourceVersion: ""
        selfLink: ""
      items:
      - apiVersion: v1
        kind: Secret
        metadata:
          name: attachdetach-controller-token-lkzp4
          namespace: kube-system
        type: kubernetes.io/service-account-token
      - apiVersion: v1
      ...
      
  • kubectl が再度カスタムリソースをスケールできるようになりました (#81342, knight42)

  • kubectl が PodOverhead を考慮するようになりました (#81929, egernst)

    • :pencil: kubectl describe node の情報に PodOverhead が加わるようです

所感

kubectl debug(エフェメラルコンテナ)は、当初 v1.7 で提供される予定だったので、もう来ないものかと考えていましたが、ついに機能の提供が始まりました:tada::tada::tada: 全ての機能がアルファで揃うのは 1.18 の予定となっているので、GA になるのは最速で 1.20 です。まだまだ先は長いですが、期待して待ちます。

17
8
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
17
8

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?