※何年も前に有志で新製品企画したときのメモ書きを公開してみる。
背景
リアルな情報が重視される時代
商品の購入やサービスの利用時に、口コミを参考にする人は多い。Amazon、SNS、価格.com、ぐるなびなど、多くの商品や店舗が掲載されているサイトで口コミ情報を参考にする。また、ライブコマースが流行っており、その理由の一つとして、企業ではなく、芸能人や Youtuber が商品を紹介した方が親近感があり、信頼できるという点が挙げられる。企業や店舗が発信する商品やサービスの情報よりも、一般人 (その企業や店舗に属していない人) や身近な人や実際に商品を利用した人たちのリアルな情報が信用されている。
問題
複数の類似商品があり、どれを購入すればよいか決められない場合がある。
たとえば、EC で気になるマフラーを 2 点見つけたとする。しかし、形や色も似ているため、自分ではなかなか決められない。意見を聞ける間柄の人がいればよいが、全員がそうとも限らない。親しくない人や聞きたいことに対して関心がなさそうな人には、意見を聞きづらいし、聞きたくないし、聞けない。また、多くの人の意見を聞きたい人もいる。
解決
他者に質問を投げかけ、他者の意見を聞くことができるようにするアプリはどうか。
ユーザは質問ボタンをタップし、商品情報、質問文、回答選択肢などを合わせて他ユーザに質問する。他ユーザは回答選択肢をタップし、その質問に回答する。ユーザは回答結果を確認し、それを参考にして商品を購入する。
アプリの利点
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リアルな意見を聞ける
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多くの人の意見を聞ける
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意見を聞くために、間柄を気にしなくて済む
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口コミ情報が Web になくても、自分から意見を収集することができる
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結論を早く出せる
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実際に商品を購入していない人の意見も聞ける (直感的な意見)
検討
テーマ
- 購入に迷っている服や似合っている髪型などを他人に聞けるアプリ
- 〇〇
質問形式
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インスタのストーリー形式
- ユーザが動画像、テキスト、回答選択肢の配置を自由に決められる
-
〇〇
質問対象
商品だけに限らず、飲み屋、髪型、化粧品など、質問できてもよいのではないか。ただし、質問は直感的に答えやすいものがよい。
たとえば、A の空気清浄機と B の空気清浄機では、性能面の比較になるため、マニアしか答えられないものになる。
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商品
- 「A の T シャツと B の T シャツどっちがおしゃれ?」
-
飲み屋
- 「A 店と B 店の焼肉はどっちが美味しそう?」
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髪型
- 「ショートカットとロングどっちが似合いそう?」
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化粧品
- 「A の化粧品と B の化粧品どっちが肌に優しい?」
ユーザ数の問題
ユーザ間で質問・回答を行うため、利用ユーザが多くないと意味をなさない。質問しても回答が返ってこなければ、すぐにアプリを利用しなくなる。そして、二度と利用されることはない。
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システム (AI) に答えさせる
- データの取得先は?
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ユーザにアプリを拡散してもらう
- 拡散側の利点は?
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宣伝
- 広告
- プレスリリース
また、少数ユーザでもアプリを楽しめるようにしなければならない。
- SNS などへの投稿を前提とする
- 投稿先の SNS ユーザがアプリを利用したくなる
- アプリの拡散に繋がる
ユーザのモチベーション
このアプリでは、質問ユーザ、閲覧ユーザ、回答ユーザの 3 つに分類できる。それぞれのユーザのモチベーションを保つこと、もしくは、上げることが必要。
質問ユーザ
- 他ユーザに質問できる
閲覧ユーザ
- 自分が興味のある事柄についての質問回答を確認できる
- 「Adidas のジャージ欲しいから、それについての質問回答を見たい。」
- 人ではなく物であれば、なにかしらの興味があるため、カテゴリを絞り、そのカテゴリ内で質問回答を見られると暇つぶしとしても利用できる
- 他ユーザが回答したものを確認できる (センスの確認)
- 「この人は、黄色より赤色の T シャツの方が好きなんだな。」
回答ユーザ
- 回答ユーザランクが上がる?(ゲーム感覚)
- 質問のベストアンサーに選ばれる?
- 質問者の最も回答した人に表示される?
- 質問者からイイねされる?
- 質問者から感謝の気持ちが届く?
- アプリ内で利用できるポイントが溜まる?
- 質問者との繋がりの度合いが可視化される?
- この人の質問によく答えている人
- 回答したジャンルが可視化される?
- ファッション系に強いとかがわかる
- 回答者が EC のアフェリエイト担当になる?
- 回答者のリンクから EC に飛んで購入すると、回答者にインセンティブが払われる?
回答の信頼度
たとえば、「この服買うべき?」という質問に対し、ファッションに全く興味がなく、また、ファッションセンスがない人が回答していたとする。それは、回答の質が低いことを意味する。
極論を言えば、100 人回答してくれたけど、全員ファッションセンスがない人が回答していた場合、回答の質としては悪いものになる。質問者が回答の質を確認できるような仕組みが必要なのではないか。
- 回答者のプロフィールの確認
- 回答者のプロフィールに、「ファッションショップに勤めてます。」と記載されていれば、その人の回答の質は高い
- 単に、数値の比較で購入物を決めたくない場合もある
- たとえ、A の T シャツより、B の T シャツの回答数が低くても、ファッションショップに勤めてる人が回答した B の T シャツを買うかもしれない
回答者の絞り込み
ある物に精通している人に回答してもらうことで、より信頼できる情報を手に入れることができる。
たとえば、ネイルの塗り方を質問したい人は、ネイルショップに勤めている人に聞いた方が良いはず。ネイルショップの店員は回答を通して、「もしよければ、一度〇〇店にお越しくださいてください。」といったように、自店舗への来店を勧めることもできる。回答側も回答へのモチベーションが高くなる。
プロフィール
ユーザのプロフィールには、自分が回答したものが一覧表示される。これは、回答者のセンスや趣向が表われているとも言える。プロフィールでその人のセンスや趣向を見れるため、閲覧する側も楽しめるはず。
質問の緊急度
店舗で服の購入に迷ったがその場で購入を決めたいなど、早く質問に回答して欲しい場合もあるはず。たとえば、1 分間のタイムリミットがかかった緊急度の高い質問を行い、回答者に助けてもらうような機能はどうか。緊急度の高い質問は、通常の質問とは違った表現でアプリに表示し、回答側が何かしらの利点を受けられるものにしないといけない。
オムニ (EC 連携)
レコメンド
(自アプリだけでは不可能。EC の商品データとの連携などが必要。)
質問データ、回答データをレコメンドデータとして活用できないか。
- 質問・回答データ
- 商品のレコメンド
- 化粧品についてよく質問するユーザには化粧品をレコメンド
- 服についてよく回答するユーザには服をレコメンド
- 類似質問のレコメンド
- 他者が質問したものも参考にできる
- 類似商品のレコメンド
- 商品のレコメンド
オフライン (店舗) からオンライン (EC)
(自アプリだけでは、不可能。EC の商品データとの連携などが必要。)
店舗で購入に迷った商品を、後日 EC から購入できるようにできないか。店舗で撮影した商品画像を画像認識し、EC の商品ページに繋げる。
- 店舗で気になる商品を見つける
- 購入に迷う
- その商品をスマホのカメラで撮影する
- 家に帰り、アプリで商品画像と合わせて「この服買うべき?」と質問する
- 買うべき票が多かったので、アプリからそのまま EC の商品ページを表示し、その商品を購入する
モバイルアプリか Web アプリか
モバイルアプリの場合、インストール作業が必要になり、その時点でアプリの利用を諦める人が出てくる。
Web アプリの場合、URL リンクをタップするだけで、アプリのメインページが表示されるため、すぐに利用することができる。
SNS との連携 (シェア) を考えるのであれば、Web アプリの方が良いのではないか。Twitter、Instagram、Facebook などに質問の URL リンクをシェアしてもらい、それを見たユーザが URL リンクをタップして回答できるといったことがストレスなく行えるのではないか。ユーザはログイン不要で回答してもよい。
SNS へのシェア
TODO
アプリ名
- Which
- A.o.B
マネタイズ
- 広告
- モバイルアプリ: Google Admob
- Web アプリ: Google Adsence
類似アプリ
インスタグラムには、一日で投稿が消えるストーリーがあり、ストーリーにはアンケート機能が備わっている。アンケート機能は、画像、質問文、回答選択肢を合わせたものを投稿し、フォロワーに回答してもらうもの。
たとえば、「この服買うべき?」とフォロワーに質問できる。
【インスタグラム】ストーリーで投票(アンケート)ができるスタンプが登場
App Store 評価 (4.5)
- なんでこんなに評価が良いのかほんと不思議。タイムラインを時系列に戻してください。おすすめ順とか大きなお世話です。
- タイムラインを時系列に戻して下さい。急に5日前のが上がってきてたり…見にくくて仕方ありません!!お願いします、戻して下さい。
- 顔本に買収されてからほんと劣悪なる一方。古参は嫌になるよ…従来のタイムラインだと見逃してる人が多くいた為に、おすすめのタイムライン仕様にしているみたいだが。残念、投稿だけしてタイムラインすら見なくなった。青い鳥にも言えるが、なぜユーザーが設定を選択出来るようにしないのか全く理解できない。選択出来るようにすれば、どっち側にも効果があるのにも関わらず。おすすめ順って自分にとってなんのおすすめにもなっていない
InfoQ
アンケートアプリ。紙のアンケートをアプリでできるようにした感じ。
App Store 評価 (2.4)
以下、実際の評価コメント。
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開くしかできず、インストールできない
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インストールというボタンを押しても、アップデートされないし、操作が何もできない。意味がわからない。
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画面遷移するけど、インストールではなくて開くしか選択されない。
Peing -質問箱-
Twitter で流行りだしたアプリ。匿名で他者に質問できるため、直接聞けないことも気兼ねなく聞ける。
自称ニートが 6 時間で作成した。現在、ジラフに事業譲渡されている。
「1人で6時間で作った」 Twitterで匿名質問「Peing」人気、月間2億PV超えへ
App Store 評価 (1.9)
以下、実際の評価コメント。
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webページをそのままappにしただけに見えます。webページを「ホーム画面に追加」でアイコンからブラウザで起動して使うのと大して変わりません
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ブラウザー版と出来る事がほぼ一緒で目新しさもない。フォロワー表示見づらく微妙かと。
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質問きて、返信しようとしても返信ができません。 エラーや混雑していますなどのことが書いてあります。二週間ほどそうなっているんですがどうすればよいですか? 友達の質問箱の方では普通に質問きても返信ができています。
調査
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もともと、Peing は Web アプリ
- 自称ニートの人は、この Web アプリを作成した
- モバイル版は、WebView で Web ページを表示しているだけ
- 低評価の原因になっている
- モバイルのデザインに適していないため
- Activity に WebView を実装し、Web アプリの URL を表示しているだけ (Android)
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SNS 連携
- Twitter 連携すると、Peing で質問に回答したときに、自動で Twitter にツイートされる
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Peing にはフォロー機能はない
- 自分に対する質問ページ URL を他者に共有し、そのページから他者が質問できるようになっている
- Twitter では、自分のプロフィールに Peing の質問ページ URL を貼り付けている人が多い
- また、ツイートでその URL を共有する
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自作自演の問題
- 質問箱が暴露「14万人以上が自作自演」 ⇒ 反発を受けて実装した新機能とは?
- 14 万人以上が、自作自演で質問と回答をしていた
- 匿名性を売りにしているのに、ユーザの利用状況を開示したことへの反発が大きかった
- 自分のことを他者に伝えたい人が多くいるということ
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Peing 開発者がアプリを流行らせるために意識していること
- サイト内だけで完結しないこと
- 閲覧機能の一部を SNS に肩代わりしてもらうことで、たくさんの人に楽しんでもらいながら、サービスの負荷を抑えること
- Twitter (ツイート)、Instagram (ストーリー) に自分の質問とその回答を載せる
- Peing を知らない人が知るきっかけになる
- 5 人いたら楽しめるようにすること
類似アプリとの差別化
物について質問するため、Instagram や Peing と違い、利用ユーザの年齢幅は広いはず。
インスタグラムのストーリーのアンケート機能は、以下の問題がある。
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インスタグラムのストーリーの公開範囲は、フォロワー間に留まり、幅広く質問できない
- フォロワーが少ない人は、質問しても回答数が少なくなる
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アンケートは 24 時間後に消滅し、保存できない
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アンケート結果は、質問者 (投稿者) と 回答者が確認できる
- 回答者は、数値結果のみ確認でき、誰が回答したかは確認できない
Peing
Peing は、あくまで人に対して匿名で質問するもの。そして、自分から質問するのではなく、相手から質問を受ける形式。このアプリは自分から質問する形式。
そもそも、このアプリとは利用目的が違う。Peing では、このアプリでできることを成し遂げられない。
参考
ユーザ獲得
【前編】「怖くないキラキラしてないInstagram」を目指して写真投稿SNS「Culon」を作ってみるまでの流れとユーザー獲得戦略について
サービスのアイデアを固めて「一言でイメージを説明する」
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テーマは機能やデザインの指標になる
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開発中の「やっぱり当たらない気がする」というネガティブ感情を減らせる
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他の人に話した時にアドバイスが貰いやすい
サイトに必要な機能を考える
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既存のサービスを真似することから逃げない
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まずは、全く同じサービスを作り、そこから
+α
、もしくは、-α
をどうするか考える -
大事なのは、誤認させないこと、本物ぶらないこと
- Instagram の派生サービスのように振る舞うのは悪い
【後編】「怖くないキラキラしてないInstagram」を目指して写真投稿SNS「Culon」を作ってみるまでの流れとユーザー獲得戦略について
自分に関係なさそうだとユーザーは帰ってしまう
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ターゲットを絞った方がむしろ使いやすいサービスになる
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多くの人に使ってもらいたいから、ふわっとしたキャッチコピーにするのは逆効果
過疎に見えるとユーザーは帰ってしまう
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利用ユーザ数が 1000 人以下くらいの間は、数字を出すほうがデメリットが大きい
- 「サイト利用者12人!」などを素直に表示してしまうと、過疎っている印象を与えてしまう
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URL に注意する
- ユーザーページを
/user/4
とか数字を出すと数が直結するので、Twitter のようにユーザ ID を使ったり、Qiita のように記事 ID をハッシュ化する事で過疎感をなくす
- ユーザーページを
やることがないとユーザーは帰ってしまう
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純粋にやることがない
- 自作ゲーム投稿サイトなどの場合は、頻繁に投稿できないため、一度投稿すると「やること」がなくなる
- レビュー機能をつける、イイねボタンを設置するなど何かしら「やること」を用意してあげる
- 自作ゲーム投稿サイトなどの場合は、頻繁に投稿できないため、一度投稿すると「やること」がなくなる
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精神的にやりづらい
- 「人が少なそうだから投稿したら浮きそう」などもよくある問題の 1 つ
- 検索機能、新着一覧機能を提供しないという対応もあり
- ユーザ数が増えたら、それらの機能をつける
- 「人が少なそうだから投稿したら浮きそう」などもよくある問題の 1 つ
(現実的) 居場所が無いとユーザーは帰ってしまう
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マイページ、タイムラインなど、「とりあえず開いて放置してたまに更新する画面」を用意する
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フォロワーに更新がなくても何かしら見に来る要素を設置するということで、何かしらの変化をつけてやるような仕組みがあると良いかも
- サイト内の新着投稿を帯で流すとか、Twitter のようにフォロワーのイイねを流すなど
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再訪のきっかけを作る
- イイねされたら通知を送る、フォローされたら通知を送るなど、何かしら「サイトを見に行きたい」と思わせるきっかけが必要
(心理的) 居場所が無いとユーザーは帰ってしまう
- 既に出来上がっている輪には入りづらい
- 1 人、もしくは、数人の小さい輪で完結させる
- 3 人や 5 人、できれば 1 人で完結するような仕組みであれば、あぶれている人はいくらでも見つかる
- 「サイト内で出会って交流する」ではなく、「もともと出来ている交友関係をサイト上に持ってきてもらう」方が楽で手間も少ない
【最高のサービスは診断メーカー】資金力も知名度も無い初心者のwebサービス運営者が現実的にユーザーを獲得できるサービスの設計方法
「1人 or 数人」の小さい輪で完結するように設計する
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脳内メーカーは、自分自身だけでサービスが完結する
- このサービスには、「他人」は出てこない
- サイトにアクセスし、名前を入れて結果が表示されるというとてもシンプルな仕組み
-
ユーザー投稿型サイトの場合「コンテンツが無いと廃れて見えるので人が集まらない」という非常に大きな問題が起きる
- 最初の方のユーザーはスカスカのサイトを見ると「はやってないな」と判断して帰ってしまうため
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サイトが出来てから 5 番目にアクセスした人も 100 万人目にアクセスした人も全く同じような気持ちで使わせる
「SNSなどに投稿して完結する」サービスを目指す
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投稿した人は「できるだけ多くの人に見てもらいたい」ため、 Twitter などで周りやすく口コミで広がりやすくなる
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イラストを投稿する人はイラストを投稿する人とフォロワー関係にあることが多いので特定のクラスタ向けのサービスでも効率よく広がる
とてもニッチなサービスを作る
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逆にニッチすぎて 100 人くらいしか人口がいなそうなサービスと言うのもユーザーを獲得しやすい
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人の少ないジャンルは、特に結束力が高く情報交換も活発
- 本当にターゲットを絞れているなら 100 人が一斉にアクセスしてくる