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RPAが負の遺産となる危険性とその対策について

Last updated at Posted at 2018-04-24

RPAについて

RPA(Robotic Process Automation)の話題は、ここ1年で急速に盛りがってきている。すでに導入実施済みの企業もこれから導入を検討している企業も増えていると思われる。RPAを導入することにより、パソコンを使用した日常的な定型作業を自動化できる。その作業を実施していた担当者は、大きな成果を上げれないがミスをすると評価が下がるような地味な作業から解放される。また企業にとってはその分の人件費が削減できるため、非常に重宝されている。

RPAの役割について

RPAを使って、複数のシステム間をつないで1つの定型作業を自動化する。例えば、注文書がメールで添付されてきたら、それを社内の受注システムに入力を行う作業がある。他には社内のWEBシステムから毎月特定の条件にあてはまる顧客情報を抽出し、別のダイレクトメール発送システムにファイルをFTPで送信するなどの作業がある。これらの作業は人が実施するよりもRPAで自動化した方がミスが少なく、敏速、確実に作業を完了させることができる。RPAはこのような作業の自動化を行うのに使用が可能だ。

RPAの作り込み増加の危険性について

上記のような作業をRPAで自動化し、日常業務が削減できることが経営者に見えるようになると、恐らくRPAで自動化可能な作業は徹底的にRPAで自動化していくことが予想される。ところが、RPAによる自動化を無秩序に進めていくと、将来思わぬ危険が待っている。
例えば、顧客からの注文書のフォーマットが変更された場合にそのフォーマットを使用しているRPAが1個であれば良いが、それが3個あると、その3個のRPAのシステムの改修が必要となる。また、顧客情報の抽出画面が、何らかの理由で少し変更があった場合にも同様に、顧客情報の抽出画面からデータを抽出しているRPAのツールの修正が必要になる。
当然ながら、顧客の注文書の変更時、抽出画面の変更時にRPAのツールも同時に変更する事になるが、これらのRPAで対応していた作業が増加すると、RPAのツールによる作業を1日でも止めることが出来ない状態になっている可能性が高い。そのため、注文書のフォーマット変更時や、抽出画面の変更実施には、変更前にその画面や注文書を使用しているRPAツールを洗い出して、その影響範囲の調査と、RPAツールの改修を行うようにユーザー部門や情シスとの調整が必要になる。影響範囲が大きい場合には本来実施したいシステムの変更が遅延したり断念せざるを得ない場合が出てくる危険がある。

RPAのツールが負の遺産のならないための対策について

上記のようなRPAツールの無秩序な追加は将来的に負の遺産となる。ではRPAを使わないのが良いのかというと、そういう訳ではない。日常の単調な繰り返し作業の作業負荷を削減することはホワイトカラーの生産性向上にも繋がる。RPAツールをうまく使えばその効果は期待できる。ただ将来的に、RPAツールが負の遺産とならないようにするために、下記のような対策が必要と考える。

対策(1) 他システムとのインターフェイス部分の部品化

他システムとのインターフェイスを複数のRPAツールでそれぞれ作り込んでしまうと、変更があった場合にそれぞれ修正が必要となる。このような事態に落ち入らないようにするために、他システムからの入力部分、他システムへの出力部分については、1つ作成したらそれをそのまま使い回せるように部品化しておく。RPAツールを選択する場合にはこのような部品化が可能なものを選択する。

対策(2) 複雑なものは作成しない

RPAで作成する場合に、その作業が重要でかつ作成した場合に複雑になりすぎる場合は、そもそもRPAを使用せずに情シスまたは外部ベンダーにシステムとして本格的に開発依頼を行う。本来は、システム間の連携はシステム開発時に必要なものを洗い出して作成しておくべきものだが、漏れている場合も考えられる。無理してRPAを使って解決せずに、システム間の連携システムの開発を依頼すべきである。RPAを使う場合は、そのツールの担当者が1-2時間で簡単に手直しができる程度のものにするなど、使用範囲をあらかじめ決めておくと良い。

対策(3) RPAで作ったものを一覧化しておく

RPAでどのシステムを使用しているのか、その作業頻度と重要性、そのツールの使用部署について一覧化した資料を作成しておくことにより、システム変更時の影響範囲の調査を効率よく実施することも可能となる。さらに一覧化しておく事により、すでにツールが増えすぎていないか、またその中に本格的にシステム化すべきものが無いかを常にチェックが可能となる。

最後に

私はRPAはシステム間のインターフェイスの標準化が完了するまでの過渡的なツールであると考えている。例えば受発注のシステム間のプロトコルが標準化されれば、ある企業の発注システムと、別の企業の受注システムは、標準化されたプロトコルによって接続されることが普通になり、RPAのようなツールは不要になる。ただペーパーレス化が進んできた現在でもOCRのような紙を前提としたソフトウェアが生き残っていることを考えると、RPAもある程度の期間に渡って使い続けられることになると考えられる。使い方をよく考えて目先のコスト削減が将来の負の遺産とならないようにすることが重要だ。

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