はじめに
日頃、Webアセンブリ(Wasm)の高速化や応用範囲の広がりに興味を持っています。
ブラウザ内実行だけでなく、サーバサイドやエッジデバイスなど多様な環境にWasmが導入されるようになり、ますますWasmの可能性が拡大していると感じます。
そこで今回は、Microsoftが新たに発表した Hyperlight Wasm に着目しました。
「超軽量VM × WebAssemblyランタイム」で何が変わるのか、その特徴やユースケースを探ってみたいと思います。
また、最近、個人的に Cloudflare の株を買おうか迷っているので、Cloudflare への影響も考えてみます。
概要
Hyperlight Wasmは、2025年3月にMicrosoftが発表したオープンソース技術です。
次の2つを組み合わせることで、安全かつ高速な実行基盤 を提供します。
- 超軽量の仮想マシン(マイクロVM)
- WebAssembly(Wasm)ランタイム
もともとのHyperlightプロジェクトは、WindowsやLinuxでアプリ内の関数を隔離実行するために開発されてきた軽量VMM(Virtual Machine Monitor)でした。
従来の仮想マシンと異なり、OSをまるごと起動せず 最小構成でアプリケーションコードだけを実行できる点が特徴です。
この基盤にWasmのサポートを組み合わせたのが「Hyperlight Wasm」であり、あらゆる言語で書かれたWasmモジュールをマイクロVM上で動かすことを目指しています。
背景・目的
-
軽量かつ安全な実行基盤の需要
クラウドネイティブ化が進む中で、サーバーレスやエッジ、マイクロサービスなど、細かい単位でコードを実行する場面が増えています。
しかし「コールドスタートの遅延」「セキュリティリスク」「オーバーヘッドが大きいVMの運用コスト」など、解決したい課題は多岐にわたります。 -
Hyperlight Wasmのねらい
Hyperlight Wasmは、“WebAssemblyのポータビリティ” と “マイクロVMの強固な隔離性能” を組み合わせることで、それらの課題を解決することを目指しています。
CNCF(Cloud Native Computing Foundation)のSandboxプロジェクトとしても寄贈されており、今後オープンソースコミュニティを中心に広がりを見せる可能性が大いにあります。
技術的特徴と利点
1. 超高速な起動時間
- 仮想マシンにありがちなOSブートが不要
- マイクロVMの起動からWasm実行開始まで 1~2ms 程度
- 将来的には 1ms 未満の起動を目標
- サーバーレス環境のコールドスタート問題をほぼ解消
2. 強固な二重のセキュリティ隔離
- Wasmランタイム自体がサンドボックス機能を備える
- 万が一ランタイムのサンドボックスを突破されても、マイクロVM(ハイパーバイザー)レベルで隔離
- 二重の壁により、ホストOSへの攻撃を強力に防御
3. 幅広い言語サポートと互換性
- RustやC/C++はもちろん、PythonやJavaScript、C#など多数の言語をWasm化可能
- WASIなど標準インターフェース対応のWasmバイナリなら、Hyperlight Wasmへ簡単に移植
- 既存の言語・ツールチェーンでビルド → Hyperlight Wasmへデプロイのフローが確立
4. 軽量なOSフリー設計
- ゲストOSやカーネルを含まず、最低限のリソースだけをマイクロVMに割り当て
- デバイスエミュレーションなどを省きオーバーヘッドを削減
- 1台のホスト上で多数のマイクロVMを同時に稼働可能(高い密度・効率)
5. クロスプラットフォーム対応
- 現時点でWindows(Windows Hypervisor Platform)・Linux(KVM)上で動作
- 将来的にはmacOSやArm64アーキテクチャにも対応予定
- ホストを再ビルドするだけで、Wasmアプリ側は再コンパイル不要
Hyperlight Wasmの内部構成
以下は、Hyperlight Wasmの大まかな構成を示す概念図です。
- ホストOS 上で ハイパーバイザー機能(KVMやWHP)が動作し、
- その上に Hyperlight VMM が超軽量VMを起動
- Hyperlight Wasm Runtime がWasmバイナリを安全に実行
応用分野・ユースケース
ユースケース | 期待できる効果 |
---|---|
クラウド/サーバーレス | コールドスタート遅延の大幅削減、超高速スケールアウト |
エッジコンピューティング | CDNエッジなどで安全かつリアルタイムに近い応答、サードパーティコードの隔離 |
ゲーム(MOD実行) | ユーザー作成MODを本体とは独立した環境で実行し、不具合や悪意あるコードの影響を最小化 |
Webアプリのプラグイン実行 | ユーザー提供コードを幅広い言語でサンドボックス化し、サービスの安定性を確保 |
1. クラウド/サーバーレス
-
例: Azure Functions
リクエストごとにHyperlight Wasm上で関数を起動 → 数ミリ秒で処理開始
アイドル状態を維持しなくても遅延がほぼなく、必要時に瞬時にインスタンスを増減可能
2. エッジコンピューティング
-
例: Azure Front Door Edge Actions
CDNエッジで動的なA/Bテストやコンテンツ変換、パーソナライズなどを実装
Cloudflare Workersと同様のコンセプトだが、VMレベルの隔離がより強固
3. ゲーム(MODやスクリプト実行)
- オンラインゲームでプレイヤーコミュニティが作るMODを安全に実行
- マイクロVM内で隔離することで、万が一の不具合やマルウェアリスクを抑止
- 軽量・高速起動によりゲーム中のユーザー体験を損なわない
4. Webアプリのプラグイン/スクリプト実行
- ブラウザやSaaSでユーザー投稿のスクリプトを受け付ける場合、Hyperlight Wasmが理想的
- 本体環境とは独立した安全なサンドボックスで実行
- PythonやJavaScriptなど多言語対応により、外部エコシステムを取り込みやすい
Cloudflareとの競合について
Cloudflareにとって有利か不利か?
Hyperlight Wasmの登場によって、エッジ実行基盤市場がさらに活性化すれば、Cloudflare Workers にとって新たな競合が増えることは確かです。しかし、一概に「不利になる」とは言い切れない部分もあります。
-
エッジ市場全体の成長
- 競合サービスが登場することで市場が盛り上がり、結果として “エッジを使う” 選択肢が一般化する可能性があります。
- エッジコンピューティング全体が拡大すれば、インフラに強みをもつCloudflareにもビジネスチャンスが広がる一面があります。
-
Cloudflare独自の強み
- Workersエコシステム(D1、KV、Durable Objectsなどのバックエンド)や、世界規模で分散したCDNネットワークにより、既に高い評価を得ています。
- これらのサービスに深く統合された環境は、Hyperlight Wasmが登場してもすぐに置き換わるとは限りません。
-
将来的な技術取り込みの可能性
- Cloudflareが独自にマイクロVM技術を導入したり、Wasmサンドボックスを強化したりすることも考えられます。
- オープンソースとして公開される技術であれば、組み合わせや参考にする形で取り込むシナリオもあり得るでしょう。
したがって、「Hyperlight Wasm登場=Cloudflareが不利」 という単純な構図ではなく、市場拡大と競合激化の両面 から影響を受けると考えられます。
MicrosoftがCloudflare Workersに対抗しようとしている兆候か?
-
Azureのエッジサービス強化
Microsoftは Azure Front Door や Azure Edge Zones などを通じて、エッジコンピューティングへの取り組みを進めてきました。Hyperlight Wasmを活用すれば、「超高速起動 × 強固な隔離」を武器にエッジでのコード実行サービスをさらに強化できるでしょう。
これはCloudflare Workersとかなり近しい領域をカバーすることを意味します。 -
Azureユーザーの取り込み
Azure Functionsや既存のPaaS/SaaSとの連携を背景に、AzureユーザーがAzure Front Door Edge Actionsを選ぶ インセンティブが強まります。結果として、Cloudflare Workersとの差別化・競合がより顕著になる可能性があります。 -
エッジ市場競争の激化
既に AWS (Lambda@Edge) や Fastly (Compute@Edge) なども存在し、Cloudflare Workersは代表的プレイヤーの一つです。MicrosoftがHyperlight Wasmを本格投入することで、“Microsoft vs Cloudflare” という構図が強調されるかもしれません。
とはいえ、Microsoftが狙うのはCloudflare Workersだけではなく、AWSやGoogleなど多方面にわたる競争と見られます。
まとめると、MicrosoftがCloudflare Workersを意識している(対抗しようとしている)兆候は十分にある と言えますが、ターゲットはWorkers単独というより、エッジ分野全体での覇権を狙っていると見るほうが自然でしょう。
Cloudflare Workers と Hyperlight Wasmの比較
ここでは、Cloudflare Workers と、Hyperlight Wasm を用いて「エッジ実行環境でユーザーコードをサーバーレス的に動かすサービス」を構築すると仮定した場合、の比較表をまとめます。
あくまで現時点の一般的な特徴や公開情報に基づく概略であり、実際の運用条件やバージョンによって変わる可能性があります。
項目 | Cloudflare Workers | Hyperlight Wasm で構築 |
---|---|---|
提供形態 | 完全マネージド (SaaS) で利用可能。Cloudflareのグローバルネットワーク上で実行し、ユーザーはプラットフォームを意識せずデプロイするだけ | オープンソースの技術(CNCF Sandboxに寄贈)として公開。 自分のインフラ (Windows Hypervisor Platform/KVM) 上に導入して運用する形態が基本。 将来的にAzureなどでマネージドサービス化される可能性も |
主な実行エンジン | V8エンジンのアイソレートをベースとした独自サンドボックス | 超軽量マイクロVM(Hyperlight) + WebAssemblyランタイムによる二重の隔離 (Wasmサンドボックス + ハイパーバイザー) |
言語サポート | JavaScript/TypeScriptが中心。 Wasm(Rust/C/C++など)にも対応可能だが、JSランタイム優位が強い |
Wasm対応であれば多言語に対応。(Rust、C/C++、Python、C#、JavaScriptなど) WASI互換バイナリを生成すれば、ほぼ同じ形で動作 |
起動時間(コールドスタート) | ミリ秒単位で非常に速い。 ただしV8コンテキストの生成コストなどにより数ミリ秒~10ミリ秒程度かかるケースも |
1~2ms程度を目標(将来的には1ms未満) OSブート不要のマイクロVMなので、コールドスタートに強い |
セキュリティ・隔離モデル | V8アイソレートによるサンドボックス。 強固だが、コンテナやVMレイヤは存在しない |
Wasmサンドボックスに加え、ハイパーバイザーを用いたマイクロVMレイヤの二重防御 万が一ランタイムが突破されてもホストOSは守られる構造 |
ネットワーク・エッジ展開 | Cloudflareのエッジ拠点にグローバルに自動デプロイ。 高い可用性・低レイテンシを実現 |
現時点では自前インフラかAzure Front Door Edge Actionsなどとの連携を想定。 グローバル展開はホストの構築や将来的なMicrosoftサービスの進化次第 |
エコシステム・周辺サービス | Workers KV、Durable Objects、D1など、Cloudflare提供のバックエンドサービスが豊富 エッジサーバーでのデータストアやセッション管理などが簡単に行える |
まだ実験段階で標準的な周辺サービスは少なめ。 Azure Functionsやその他Azureサービスと組み合わせることで機能拡張が見込まれる。 CNCFコミュニティでの拡張に期待 |
運用・デプロイの容易さ | 完全にManagedなので、アカウントとWorkersコードを用意するだけ。 CLIかGitHub連携などでシームレスにデプロイ可能 |
自前運用する場合は、Hyperlight WasmをホストOS上にインストールし、 Wasmバイナリをデプロイする仕組みを構築する必要あり。 将来的なAzure等のマネージドサービス化に期待 |
商用成熟度・実績 | 既に多くの企業・開発者が利用しており、 運用実績・ドキュメント・コミュニティサポートが充実 |
2025年3月に発表されたばかりで実験段階。 今後CNCFコミュニティやMicrosoftによる本格運用が進めば、 商用実績やエコシステムが拡大する可能性あり |
料金体系 | Cloudflare Workersの無料プラン・有料プランがある。 ワーカー数・実行回数・CPU時間などで従量課金 |
オープンソースのためライセンス費用は不要。 マネージドサービス化された場合は別途Microsoftが料金を設定する可能性。 自前運用ならホストインフラのコストが主体 |
主な利点・強み | - CloudflareのグローバルCDNネットワークをそのまま活用可能 - JS/TS開発者にとって使いやすい - 多数の周辺サービスとの統合 (KV, D1 等) |
- 超高速起動と強固なセキュリティ隔離(マイクロVM+Wasm) - 多言語対応 (WASI互換で柔軟) - CNCF寄贈によるコミュニティ拡張の期待 - Microsoft Azureとの連携による相乗効果 |
主な課題・制約 | - JS/TS開発が中心で、それ以外の言語利用はやや制限あり - インフラを選べない(Cloudflareネットワークでの実行が前提) |
- まだ実験段階で成熟度が低い - エコシステム・周辺ツールが充実するには時間が必要 - 本格的なエッジ展開はMicrosoftや自前ホストのインフラ構築を待つ必要あり |
このように、Cloudflare Workers は“マネージド環境 × JavaScript優位 × 豊富な周辺サービス”が魅力で、Hyperlight Wasm は“マイクロVMによる高速起動 × 二重のセキュリティ × 多言語対応”に強みがあります。
運用形態や言語選択、既存インフラとの相性などによって選択は変わるでしょう。今後、Hyperlight Wasmの成熟やMicrosoftのマネージドサービスが登場すれば、比較検討するポイント もさらに明確になっていく可能性があります。
まとめ
- Hyperlight Wasm は、コンテナより軽量かつVM並みに安全な実行環境を実現
- OSブート不要のマイクロVM × WebAssemblyで 高速起動 と 強力な隔離 を両立
- CNCF Sandboxプロジェクトとして寄贈され、今後の発展が大いに期待される
- サーバーレスやエッジ、ゲーム、Webプラグインなど幅広い分野でコールドスタート短縮やセキュリティ向上をもたらす可能性
さらに、Cloudflare Workersとの競合関係 については、市場が拡大することで互いの存在感が高まり、結果的に競争が激化する可能性があります。
MicrosoftにとってはAzureのエッジサービスを強化し、Cloudflareなど既存大手と競い合うための強力な武器となり得るでしょう。
一方で、オープンソースとして公開される技術なので、Cloudflareも採用し、かつ独自の強みを活かしつつ、エッジコンピューティング市場の拡大の恩恵を受ける可能性もあります。
株価への影響は±0といった感じでしょうか?
今後も、アップデートやコミュニティの動向を追いかけたいと思います。
Q&A
Q1. これはサーバーレスコンピューティングにも応用可能ですか?
A. はい、十分に応用可能です。
Hyperlight Wasmは、従来のコンテナ型サーバーレス(例: Azure Functions、AWS Lambda など)のように、リクエストごとに新たな実行環境を立ち上げる仕組みと非常に相性が良いです。
理由としては以下のような点が挙げられます。
-
超高速な起動
- マイクロVM自体がOSブート不要の軽量設計なので、起動時間が数ミリ秒以下を目指せる。
- サーバーレスで最も懸念されるコールドスタート遅延を大幅に減らせる。
-
強力な隔離
- Wasmサンドボックスに加え、マイクロVMレイヤによる二重のセキュリティ壁がある。
- “マルチテナント環境” でも安全性を高められ、意図しないコードがホストに影響を与えるリスクを最小化できる。
-
多言語対応
- RustやC/C++だけでなく、Python、JavaScript、C#など幅広い言語をWasmとして実行可能。
- サーバーレス関数を書く際に特定言語に縛られず、既存のツールチェーンを活用しやすい。
Q2. Cloudflare Workers みたいなものにも応用可能でしょうか?
A. はい、Cloudflare Workersのようなエッジコンピューティングにも十分応用可能です。
Cloudflare Workersは、V8エンジンのアイソレート機能を使い、複数ユーザーのコードをほぼリアルタイムに近い速度で実行するエッジ環境です。
Hyperlight Wasmも同様に、以下の理由からエッジコンピューティング用途に適しています。
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高速レスポンス
- マイクロVMをミリ秒単位で起動できるため、エッジサーバーでの即時レスポンスが求められるシナリオで有効。
- リクエスト単位でマイクロVMを立ち上げても、ユーザーは待ち時間を感じにくい。
-
更なるセキュリティレイヤ
- Cloudflare WorkersではJavaScript(V8)サンドボックスが中心だが、Hyperlight Wasmはハイパーバイザーを活用したマイクロVMレイヤが追加されるため、より強固な隔離を提供可能。
- エッジで信頼度の低いサードパーティコードを動かす際にも、ホストをしっかり守れる。
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マルチ言語対応 & クロスプラットフォーム
- Cloudflare Workersは主にJavaScript/TypeScript中心だが、Hyperlight Wasmは多数の言語をWasmとして取り込める。
- Windows/Linux上のハイパーバイザーを活用するだけでなく、将来的にmacOSやArm64にも対応予定で、多様なエッジデバイスに展開しやすい。
Q3. Hyperlight WasmとDockerなどのコンテナの違いは?
A. DockerコンテナはホストOSのカーネルを共有しますが、Hyperlight Wasmはより低レベルのハイパーバイザー機能を用いるマイクロVMです。OSブートが不要なため、起動が非常に高速である点が大きな違いです。
また、Wasmのサンドボックス機能も併せて、二重の隔離を実現しています。
Q4. 既存のWasmランタイム(Wasmtime等)との違いは?
A. Hyperlight Wasmは「VMM(マイクロVM)レイヤ + Wasmランタイム」の一体構造になっています。
単体ランタイムのサンドボックスよりも、さらに下のレイヤ(ハイパーバイザー)での隔離が加わるため、強固なセキュリティを提供できます。
Q5. macOSやArm64への対応はいつ頃期待できる?
A. 公式には将来的に対応予定とされています。CNCFコミュニティやMicrosoftの開発ロードマップ次第ですが、ホストを再ビルドすればWasmアプリは再コンパイル不要という点が魅力です。
Q6. どの程度のスケールまで実運用できる?
A. まだ実験段階ですが、1つのホスト上に大量のマイクロVMを並行稼働させる構想が示されています。
ベンチマーク結果は今後のコミュニティ投稿や公式発表に期待です。
用語集
用語 | 意味 |
---|---|
WebAssembly (Wasm) | ブラウザやサーバー、エッジなど様々な環境で動作可能なバイナリフォーマット。セキュアかつ高速な実行を目指して設計された。 |
マイクロVM | ゲストOSを含まず、必要最低限のハイパーバイザー機能だけを使ってアプリケーションコードを起動する軽量仮想マシン。 |
ハイパーバイザー | ホストマシン上で仮想マシンを管理・実行するソフトウェア層。KVM(Linux)やWHP(Windows)などが代表的。 |
CNCF Sandbox | CNCF(Cloud Native Computing Foundation)の中でも、実験的・初期段階のオープンソースプロジェクトを位置づける枠組み。 |
コールドスタート | サーバーレスなどでリクエスト開始時に実行環境を起動する際に発生する遅延。起動プロセスが長いとユーザー体験が低下する。 |
WASI | “WebAssembly System Interface” の略。ファイルシステムやネットワークなど、OSに依存する機能をWasmから扱うための標準化されたインターフェース。 |
参考情報
- Microsoft Open Source Blog – “Hyperlight Wasm: Fast, secure, and OS-free” (2025年3月)
- DevClass – “Microsoft releases experimental Hyperlight Wasm: Micro-VMs that run Wasm apps” (2025年3月27日)
- DevOps.com – “Microsoft’s Hyperlight Wasm: Bringing WebAssembly to Secure Micro-VMs” (2025年3月28日)
- Microsoft Open Source Blog – “Introducing Hyperlight: Virtual machine-based security for functions” (2024年)
参考:エッジコンピューティングについて
エッジコンピューティングとは、ユーザーやデバイスなどデータが発生する場所(端末・拠点)に近いところで計算処理を行う アーキテクチャのことです。
従来のクラウドコンピューティングはデータセンター集中型ですが、エッジコンピューティングではエッジ側で前処理を行い、レイテンシ削減 や ネットワーク負荷軽減、耐障害性 の向上などを実現します。
主なメリット
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レイテンシ(遅延)の削減
- ネットワークを介さずに近い場所で処理するため、リアルタイム性を高められます。
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ネットワーク負荷の軽減
- ムダなデータをクラウドへ送らず、エッジでフィルタリングすることで帯域を節約します。
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耐障害性・セキュリティ
- オフライン状態でもエッジが稼働すればサービスを継続でき、盗聴リスクも低減。
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データ主権・プライバシー保護
- 機微データをローカルで処理し、海外データセンターへ送らずに済むケースも。
Cloudflare / Cloudflare Workers が果たす役割
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CDNから拡張したエッジネットワーク
CloudflareはもともとCDNサービスを世界各地で展開し、大量の拠点を持っています。このインフラを活かして、ユーザーに近いサーバーでレスポンスを返す仕組みを提供してきました。 -
Workersによるサーバーレス実行
Cloudflare Workersは、V8エンジンを用いた軽量なサンドボックスでJavaScriptやWasmをエッジ上で実行できます。
これにより、コンテンツ配信だけでなく、動的なロジックをユーザーに近い場所で走らせることが可能になり、超低レイテンシ でのコード実行やプロセスのスケールアウト が容易に行えます。 -
グローバルネットワークの優位性
Cloudflare Workersの拠点は世界中に分散しており、ユーザーがどこからアクセスしても近いエッジサーバーで処理を実行できるのが強みです。これは多くの企業や開発者にとって、「エッジコンピューティング=Cloudflare」 と認知されるほどの大きなアドバンテージとなっています。
エッジコンピューティングは、クラウド中心 のシステムでは対応しにくかった超低レイテンシや地域ごとの規制順守、リアルタイム分析などの要件を満たすために注目されており、Cloudflareをはじめ、Microsoft、AWS、Googleなど大手各社がその取り組みを強化しています。Hyperlight Wasmも、その流れを加速させる新技術として期待されています。
以上