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主要キャッシュレス決済サービス比較 ~なぜPayPayだけ導入する店舗が多いのか?~

Last updated at Posted at 2025-03-31

はじめに

街中の個人商店や飲食店など、キャッシュレス導入が進む中で「PayPayだけ 採用しているお店」が意外と多いですよね。
「QRコード決済なら他にも楽天ペイやd払いがあるのに、どうしてPayPayだけ?」という疑問をきっかけに、各社の手数料や導入しやすさ、そしてそれが加盟店数拡大にどう影響しているのかを比較・調査することにしました。

本記事では、

  • PayPayApple Pay(クレジットカード決済含む)楽天ペイd払いクレジットカード決済
    の主要サービスを比較し、PayPayの低手数料が加盟店数拡大に及ぼした影響を中心にまとめています。

1. 各キャッシュレス決済サービスの比較表

まずは、以下の表に各サービスの手数料率、加盟店数、導入コスト、入金サイクルなどを整理しました。

サービス名 加盟店手数料率(通常プラン) 手数料の特例・キャンペーン 加盟店数(目安) 入金サイクル・振込 導入コスト(月額費用) 必要な端末・機器 利用傾向・満足度
PayPay 1.98%(無料プラン)
1.60%(月額プラン加入時)
(参考)
2021年9月末まで手数料0円キャンペーン
(参考)
約235万箇所(2023年3月時点)
(参考)
月末締め・翌営業日振込(月1回無料)
複数回振込:売上の0.38%+振込毎20円~
(参考)
初期費用・月額費用とも無料
※「PayPayマイストア ライトプラン」加入時は月額¥1,980
専用端末不要(店頭掲示用QR or スマホ/タブレットアプリ) QRコード決済でシェア1位(利用率約51%)
登録ユーザー数6,500万超。プロモーション力や使いやすさで中小店舗〜大手まで導入拡大中。総合満足度約75%
(参考)
Apple Pay
(非接触クレカ決済)
約3~4%前後(クレジットカードの手数料体系に準拠)
*Apple独自の追加手数料なし
特にキャンペーンなし 約200万箇所以上(iD・QUICPay対応)
(参考)
従来型カード決済に準じる(決済代行会社によって翌日~月1回振込など幅広い) カードリーダー/非接触IC端末の購入・リース費用(Square等なら安価) 非接触IC対応レジ、またはスマホ連携のリーダー等が必要 iPhone・Apple Watchでのタッチ決済。会計スピードが速く、大手チェーンやコンビニ等で重宝。高額決済やインバウンドにも対応しやすい。
楽天ペイ
(アプリ決済)
2.20%(スタンダード)
2.48%(ライト)
(参考)
2021年10月〜2022年末まで新規中小店実質0円。
2024年末より「最強プラン」(2.20%~)+月額無料キャンペーン中
約600万箇所(楽天ペイ/Edy/ポイントカード等合算)
(参考)
楽天銀行を入金先にすると当日締め翌日入金も可能。他行でも最短3日後入金など、振込手数料無料(条件あり) 初期費用0円、月額無料(ライトプラン)。
スタンダードプランも2025年末まで月額無料キャンペーン
スマホ・タブレットのみでも導入可
※クレカや電子マネーも使う場合は専用リーダー導入
QRコード決済シェア2位(約23%)。
楽天ポイント連携が強みで、総合満足度78.0%と高評価。中小店舗の導入も増加。
d払い
(ドコモ)
2.6%(税別)
(参考)
新規加盟店の決済手数料:半年間0円キャンペーン(2023年末時点) 約602万箇所(d払い/dポイント/iD合計)
(参考)
月1~2回振込。売上1万円以上なら振込手数料無料(不足時200円) 初期費用・月額費用とも無料 店頭掲示用QRコードで運用可。
専用端末不要
QR決済シェア3位(約18%)。
dポイントとの連携やドコモ携帯料金との合算払いが強み。総合満足度74.6%。
クレジットカード決済
(一般的なカード払い)
約3~5%(中小)
大規模店なら1~2%台も可
原則キャンペーンなし(過去、消費者還元事業など一時的補助あり) 推計100万~200万箇所以上(Visa/Mastercard対応店はさらに広範囲) 従来は月1回~翌月振込が主流。
決済代行サービスで短縮可(翌日~複数回振込など)
端末導入費用(数万円~)・月額固定費の有無は契約先により異なる IC/磁気カードリーダーとレシートプリンタ等が必要。
最近はSquareやAirペイなどでハードル低下中
高額決済や訪日外国人対応に必須。
手数料負担は高めだが信頼性・ブランド力も大きい。

2. 各決済サービスの特徴とPayPay普及の背景

2-1. PayPay:低コストが加盟店拡大の決め手

  • 1.98%~の手数料率と、初期費用・月額費用の無料 が大きな魅力
  • かつて「2021年9月まで手数料0円キャンペーン」を実施し、中小店舗に一気に普及
  • シェア1位(約51%)、登録ユーザー数6,500万超と圧倒的規模
  • 「PayPayマイストア ライトプラン」に入れば1.60%まで下がるため、売上ボリュームがある店舗にはさらに有利

これらの要因が重なり、「PayPayだけ導入」 という店舗が多く生まれたと考えられます。
特に現金のみだった個人商店や小規模飲食店にとって、専用端末不要&当初無料 の魅力は絶大でした。

2-2. Apple Pay(クレジットカード決済全般):大手・高単価向け

  • クレジットカード自体の手数料は3~5%前後が多いため、小規模店にはやや高負担
  • 外国人観光客対応や高額商品の支払い に強い。大手チェーンやホテル、百貨店などでは不可欠
  • Apple Payはタッチ決済対応で会計がスムーズ。コンビニやファストフードなど回転率重視の業態で有効
  • 小規模でもSquareやAirペイなどを通じて導入しやすくなったが、やはり手数料が高めな印象は残る

2-3. 楽天ペイ:楽天ポイント連携が強み

  • 2024年末からの「最強プラン」(2.20%~)+ 2025年末まで月額無料キャンペーンで、コスト面を引き下げ
  • 楽天ポイントを活用できるため、楽天経済圏 のユーザーを囲い込みやすい
  • 実店舗でも楽天ポイントを貯める・使う需要が多く、加盟店数も600万箇所に拡大中
  • クレジットカードや電子マネーをまとめて導入できるオールインワン性も評判

2-4. d払い:ドコモの携帯・ポイント力

  • 手数料2.6%で、定期的に数か月間の無料キャンペーンを行い、加盟店獲得を強化
  • dポイント を貯めたり使ったりできるため、ドコモユーザーを取り込みやすい
  • dポイント加盟店も含め、約602万箇所で利用可能。メルペイとの共通QRで若年層にもアピール

2-5. クレジットカード決済:高価格帯ビジネスに必須

  • 昔ながらのキャッシュレス決済の代表格。法人決済やホテル・航空券などでは不可欠
  • 手数料3%台が一般的で、中小店舗にはまだハードルが高い場合も
  • 国や決済代行会社の施策で以前より導入しやすくはなったが、PayPayのような低手数料QR が出てきたことで中小店における相対的立ち位置が変わってきた

3. なぜ「PayPayだけ」導入する店舗が多いのか

  1. 初期費用・月額費用が実質かからず、手数料率も安い

    • 2021年9月までの無料キャンペーンで一気に拡大
    • 専用端末不要でスタートが楽
  2. 利用者数が業界トップ であること

    • 「PayPay使えますか?」という声が増え、導入の必然性が高まった
    • スタッフのオペレーションも簡単、顧客の支払いもスムーズ
  3. 加盟店側のコスト感覚

    • クレジットカードの3~5%や他QR決済の2.5~3%程度と比較すると、PayPayの1.98%(もしくは1.60%)は十分安いと感じられる
    • 掛け売りやツケ払いから手数料を払うビジネスモデルが、なるべく低コストで抑えたい中小店にとって魅力的

その結果、「キャッシュレスには興味あるけれど、まずは低リスクで試したい」層の多くがPayPay導入を選んだと推察できます。


4. 店舗規模・客層に応じた選び方

  • 小規模店舗・個人店

    • PayPayやd払い、楽天ペイなど導入コストの低いQR系が適している
    • 楽天ポイントやdポイントでリピーター狙いなら「楽天ペイ」「d払い」も導入価値大
    • PayPayだけではカバーしきれないお客さんが多い場合、複数QR(楽天ペイやd払い)を併用 するケースも増加中
  • 中~大規模店舗・来客数が多い/高客単価業種

    • クレジットカード決済(Apple Payを含む非接触IC対応)で決済スピードとインバウンド顧客対応を両立
    • さらに、QR決済も併用して若年層・スマホユーザーの需要を取りこぼさないようにする
    • まとめて導入できる決済代行(楽天ペイ、Airペイ、Squareなど)を使えば管理も簡単

顧客ニーズ・客単価・店舗規模」の3点を基準に、どのキャッシュレスサービスを組み合わせるかを決めるのがポイントです。


5. まとめ

  • PayPayの手数料の安さ・初期導入の手軽さ は、中小店舗への爆発的普及を後押しし、「PayPayだけ導入」店舗が多く誕生する要因になった
  • 他社も新プランやポイント連携で巻き返しを図っており、実際「楽天ペイ」「d払い」も着実に加盟店数を伸ばしている
  • 一方、高額決済やインバウンド対応 の分野では引き続きクレジットカード決済(Apple Pay含む)が不可欠
  • 各サービスの特徴を把握したうえで、店舗規模・客層・費用対効果 に合った決済手段を複数導入するのが主流となりつつある

今後も、キャッシュレスニーズの高まりサービス各社の競争 によって手数料や導入条件は変化が見込まれます。店舗としては、最新情報を追いながら顧客満足度の高い決済環境を整えることが重要です。


参考文献・リンク


以上、主要キャッシュレス決済サービスの比較と、PayPayが単独導入される店舗の多い理由についてまとめました。

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