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組み合わせテストの用語「2因子間網羅」「直交表」「All-Pairs法」

Last updated at Posted at 2019-01-10

本稿では、組み合わせテストの用語について簡潔に解説する。2因子間網羅、直交表、All-Pairs法について触れる。

組み合わせテスト

  • 組み合わせテスト(combinatorial testing):複数の条件を組み合わせてテストする手法

全網羅組み合わせテスト

  • 全網羅組み合わせテスト: 考えられるすべての条件の組み合わせをテストする手法
  • 当然、全網羅組み合わせテストのほうが欠陥を検出できる可能性は高い。
  • しかし、組み合わせ数が膨大になると、全網羅組み合わせテストは現実的に不可能になる。

たった3つの条件がそれぞれ3パターンあるだけで27通りのテストが必要。

組み合わせ 全網羅組み合わせテストの数
2 * 2 4
3 * 3 * 3 27
4 * 4 * 4 * 4 256

2因子間網羅

  • 因子(parameters): 変数名
    • 例: "OS"
    • 例: "PHPのバージョン"
    • 例: "データベース"
  • 水準(values): 因子がとりうる値
    • 例: Windows, Linux, macOS
    • 例: PHP7.1, PHP7.2, PHP7.3
    • 例: MySQL, PostgreSQL, SQLite
  • 2因子間網羅: 2因子間の組み合わせを網羅した状態
  • 2因子間網羅を満たす組み合わせを作成する手法
    • 直交表(orthogonal array)
    • All-Pairs法(Pairwise法)
全網羅とAll-Paris法による2因子間網羅の例

全網羅とAll-Paris法による2因子間網羅の例

  • 2因子間網羅では、「OSとPHP」「PHPとデータベース」「OSとデータベース」の組み合わせが全通り存在する。
  • 2因子間の網羅率が100%であれば、妥当なテストと言える
    • 経験的根拠「多くの欠陥は2因子間でみつかる」1
    • 1因子で見つかる欠陥: 29%〜68%
    • 2因子で見つかる欠陥: 70%〜97%
    • 3因子で見つかる欠陥: 89%〜99%
    • 1因子のテストは簡単だが、効果が薄い。
    • 3因子は2因子とそんなに変わらない割に、テストが大変。
    • だから、2因子間網羅で大抵は妥当。
Fig. Failure triggering fault interactions, cumulative distribution.

2-Figure1-1

  • 2因子間網羅を採用するか、3因子間網羅以上を採用するかは、テスト工数と欠陥見逃しリスクのトレードオフになる。
    • テスト対象の重要度やバグりやすさによって、3因子間網羅、4因子間網羅、N因子間網羅、全網羅…とリスク回避に重きを置く選択もあり。
    • 例: 新機能はバグりやすいから、3因子間網羅にする。
    • 例: 返品返金処理は大クレームに繋がりやすいから、全網羅にする。
    • ちなみに、3因子間網羅のテストは3-wise testingと言われる。

All-Pairs法と直交表の違い

  • All-Pairs法と直交表: どちらも2因子間網羅なのは同じ。
  • All-Pairs法: 2因子間が重複しないことを重視
    • したがって、組み合わせ数が少なくなる。
    • 水準の出現回数が均一にならないことがある。
      • 例: MySQLは4回しかテストされないが、PostgreSQLは5回ずつテストされる
  • 直交表: 水準の出現回数が均等になること重視
    • したがって、重複したペアがあることがある。
    • 組み合わせ数が多くなる。
    • 直交表は科学実験の手法。実験ではデータが偏らないよう水準を均等に割り付けるのは大事な特性。
      • 例: 投薬Aの実験はデータが10回あるのに、投薬Bは7回しかないと実験データとしては良くない。

参考文献

  1. Software fault interactions and implications for software testing - IEEE Journals & Magazine

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