本記事では、私が2020年8月に読んだ書籍で、感想をTwitterに投稿した良書を紹介・解説します。
はじめに
本記事は、私のtwitter投稿から、今月読んだ書籍感想のまとめです。
(これらの読書は仕事ではなくプライベートでの趣味です)
書籍紹介以外にも、IT・AI・Biz関連の情報をたくさんつぶやいているので、
これらの分野の情報を収集したい方はぜひフォローしてみてください♪
(海外の情報が多めです)
Twitter
小川雄太郎@ISID_AI_team
本のジャンル
私が目指しているのは、
「チームメンバがITフルスタックになり、さらにそれを超えて、ITビジネスのフルスタックになること」
です。
別の言い方をすると、チームメンバが複数領域がカバーできるポリバレント人材になることを目指しています。
(※ポリバレントとは、サッカー日本代表などで導入されている、複数ポジションをこなせるメンバのことです)。
複数領域とは、具体的には以下を意識しています(データサイエンティスト協会の3領域に準じています)。
- AI:機械学習&ディープラーニングのアルゴリズム知識、研究能力、開発・実装力、機械学習工学
- IT:フロントエンド、バックエンド、インフラ&DevOps、クラウド、セキュリティ、MLOps
- Biz: PM、PdM、デザイン思考UX&UI、ビジネスクリエーション(リーン、アジャイル、ジョブ理論)
「チームメンバがITフルスタックになり、さらにそれを超えて、ITビジネスのフルスタックになること」
に向けて、
メンバには、私が読んだ本で良かった内容や種々情報を共有しています。
そして、その一部をTwitterでも投稿・紹介しており、本記事はそれらのまとめとなります。
なお、私が読む本は、ビジネス系が多いです
(IT関連はネットで調べたり、書籍の場合は一気にがっつり読むことが多い)
20年8月に読んだ書籍
書影は、版元ドットコムで公開されている場合のみ掲載しています。
AI関連
「人工知能のアーキテクトたち」
https://www.amazon.co.jp/dp/487311912X
AI研究に関連深い23名に
・汎用人工知能の実現
・深層学習の社会への影響
・自身のAI観
をインタビューした書籍です。
私的にはヒントン、ルカン、ハサビス、アンドリュー、カーツワイル、ジュディア・パール、そして松尾先生の解説が良かったです。
本書の特徴
- 全677ページ
- インタビュー時期は18年8月と2年以上前
- 人工知能の技術ではなく、それが与える社会的影響や汎用人工知能が主軸
- インタビュー内での、各人のAI観や自身の経歴や思ってきたことの話が楽しい
- 英語版も97レビューの4.3と人気
- 私的にはヒントン、ルカン、ハサビス、アンドリュー、カーツワイル、ジュディア・パール、そして松尾先生の解説が良かったです♪
「現場のプロが伝える前処理技術」(著者石井さんより献本・拝読)
https://www.amazon.co.jp/dp/4839970017/
・形態素解析のnagisa、Sentence Piece
・テキストデータのオーギュメンテーション(翻訳作戦、ノイズ付与、類義語変換等)
・10進スケール正規化
・Box-Cox変換
や、
・因子分析
・特徴量選択の3手法(Filter法、Wrapper法、Embedded法)
等が
丁寧に解説・実装されていて勉強になりました
知っている内容も多いですが、ちょくちょくと、他の書籍ではあまり見ない内容があり、面白い本でした!
IT関連
【おすすめ・第1位】
「データマネジメントが30分でわかる本」
https://www.amazon.co.jp/dp/B085W4YSZJ
データマネジメント解説書です。
自己出版?なのかな。
ですが、そのへんの出版社の書籍と比べても非常にとびぬけた良質な内容です。
データマネジメント知識体系(Data Management Body Of KnowledgeD)を抜粋したような本ではありません!
DXはデータが出発点となるので非常に重要な分野であり、その知識体系(DMBOK)がしっかりと理解できます。
さらに著者らの実際の業務実践の解説があり、ここにすごい価値を感じました!
【おすすめ・第2位】
「クラウドでデータ活用! データ基盤の設計パターン」
https://www.amazon.co.jp/dp/4296106392
とても実践的な、クラウドでのデータ基盤設計の解説でした。
AWS、Azureでのデータレイクの構成例などが丁寧に示されていて貴重です。
ただこの本は具体的な分、理解が難しい点も多いので、この分野を学ぶ1冊目ではなく、2冊目以降におすすめです。
Biz関連
「両極化時代のデジタル経営」
https://www.amazon.co.jp/dp/4478110271
デロイトトーマツの経営書籍です。
ポイントは以下の通りです。
・3-5年では10-20年の長期時間軸での変革ビジョンを持つ重要性
・一貫性のある経営意思決定、従業員、顧客など広いステークホルダに対する求心力となる、企業としてのパーパス(ぶれない軸、大義)の設定(ユニリーバやSonyが良い例)
・経営環境分析として、PEST、PESTEL的な、EDGEとPRISM
(Economy:経済、Demographics:人口動態、Geoenvironment:地球環境、Energy:エネルギー)
(Politics:政治、Relision:宗教、Inovation:技術革新、Social:社会動向)
・Thinker人材とDoer人材(上位者や時には経営陣からの批判をものともせず、自ら胆力を持って施行/実践し、新たな解にたどり着くタフネスを有するルールブレイカーのこと)
※Doerとは日本語で、実行家≒起業家という意味です
・新規事業の成熟度診断フレームワーク「11 Stages TM」(下図は書籍より引用)
その他、
・パーパスに共感する多様な人材を集め、活躍と成長の機会を与えられる「タレント・エコシステム」の構築
・Think big、Start small、Scale fastの姿勢。Think bigで大局的なビジネスデザインを描かずにStart smallでPoCを実施すると、PoC貧乏、PoC疲れになる
など、面白かったです!
「BCG 次の10年で勝つ経営」
https://www.amazon.co.jp/dp/4532323444/
先のデロイトの本よりも、経営者寄りです。
経営者に求められる4つのパラダイムシフトとして、
-
自社の利益追求から社会の利益追求へ
(社会の利益追求が自社の利益へとつながる) -
将来の精緻な計画よりも、未来が読めないことを前提とした計画へ
(予測と計画から発見と適応へ、データ活用、組織構成の多様性と柔軟性、組織の高速な学習サイクル) -
「決めたことを実現する」集団から「付加価値を追求する集団へ」
(効率重視の機能分化の経営から、柔軟に顧客の付加価値を提供できる統合的動き方に) -
企業に則した人材マネジメントから変化に対応する人材マネジメントへ
(特定領域の遂行力のある人材に加え、事業変化と多様化に対応する人材の確保へ)
事業ポートフォリオの多様化、働き手の多様化、デジタル人材の獲得
が紹介され、さらに、
ビジョン(where)、ミッション(what)、に加えパーパス(why)の経営意識の重要さが述べられています。
時代にふさわしいパーパス(存在意義)の設定は、使命感を持った人材を採用し、組織のエネルギーとパフォーマンスを向上させるための鍵であるといえる。
「今、企業に必要とされる3つのタイプのデジタル人材」として、
・デザイン人材:顧客体験を起点にいプロダクトやサービスのイノベーションを担う
デザインシンキング、エスノグラフィックリサーチ、カスタマージャーニー、アジャイル開発
・アナリティクス人材:高度なデータ分析を担う
AI関連技術、パーソナライゼーションにおける顧客視点でのビジネスセンス
・システム開発エンジニア:デジタル特有のシステム開発エンジニア
顧客体験を形成するUI、モバイル、デジタルマーケティングおよび、データ分析基盤などの設計・実装
デロイトトーマツ本も、BCG本も「パーパス経営」が強く推されています。
このあたりを早速取り入れているのはSonyですね。
以下がSonyのパーパス経営を明言した、経営方針説明会の資料です。
参考までに
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/presen/strategy/
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/presen/strategy/pdf/2020/speech_J.pdf
「その仕事、全部やめてみよう」
https://www.amazon.co.jp/dp/B08CQRKHKR/
「会社がこのプロジェクトをストップするなら、身銭を切って起業する。・・・それくらい成功すると信じているし、たくさんの人に喜んでもらえると確信している」
その観点で整理・・・、
からはじまる本書。
独特なスタートですが、著者はクレディセゾンCTOでエンジニアの小野さんです
しっかりとエンジニアの思考や仕事内容に沿って丁寧に解説されています。
面白かったポイント
・谷(欠陥)を埋めるより、山(魅力)を作る大切さ
・谷を埋めたくなる3つの理由
・山を作る3つのコツ
・体験して学ぶ、「理論よりも実践を」、体験型勉強会の開催
・ダメなアイデアが生まれる5つのパターン
・「よいアイデア」とは
・アフターデジタル2と観点が似ていると思った、使う人がワクワクするのかUXにより沿ってDXを実行する流れ
・Amazon Echoでのコンペ挑戦の話
・一番大切なのは「お客さまに心から喜んでもらえるもの」を事業として成立させること
・ラストマンであること
・エンジニア分類:風林火山
・キレるスーパープログラマーの思考回路
・To Stopリストを作る「3つのタイミング」
・職場は「猛獣園」
・俺がやったほうが早い病の治療方法
「トレイルブレイザー」
https://www.amazon.co.jp/dp/B08BL5X284
セールスフォースの創業者CEOのマーク・ベニオフが著者です。
彼がどうセールスフォースを拡大してきたのか、その途中での試行錯誤がいろいろと書かれています。
個人的には第5章「イノベーション―AIとエコシステムの力がおすすめです。
「御社の新規事業はなぜ失敗するのか?」
https://www.amazon.co.jp/dp/B084Z421BB
「起業の科学」で有名な田所さんが、企業内での新規事業立案について、企業のあり方、イノベーション実現に向けた手法、考え方を記した書籍です。
「起業の科学」とはまた一味違う良さがありました!
企業での新規事業立案に関わる方にはとてもおすすめ
「シリコンバレーのVC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか」
https://www.amazon.co.jp/dp/B088T995K7/
VCの投資観点から、起業家として重要な点が学べる
・VCの情報取得の技術が学べる
インナーサークルに入り情報交換のコミュニティの一部になる)など
とても勉強になる書籍でした
「Pitch ピッチ 世界を変える提案のメソッド」
https://www.amazon.co.jp/dp/429500913X/
タイトルからはピッチ・スライドの構成、当日の発表技法が想像されますが、それは本書の半分です。
残り半分、
「新規事業立案におけるCPF、PSF、SPF、PMFの4段階のフィット」
が非常に丁寧に解説されている点が良かったです!
「大阪の逆襲」
https://www.amazon.co.jp/dp/4413045947
大阪を褒めたたえる書籍ではなく、日本の将来を考えるうえでの、
・大阪の現在と未来の情報
・2025年大阪・関西万博がもたらすであろうインパクト
・IR統合型リゾート
・スーパーシティ構想
が学べます。ただし6月発刊で、beforeコロナの文脈での書籍となります。
「週刊東洋経済 新教養」
https://www.amazon.co.jp/dp/B08C2FT96T/
旧制高校のひとは旧帝大に無試験で入れるから、みんな一生懸命に本を読んでいた
哲学や文学など、役に立たない本ばかり。
だが、教養があって、大局観があった。
その人たちがみんな引退してしまったのが、バブル後の光景である。
このあたりには個人的にもいろいろ思うところがあります。
私は早稲田大学でAIの講義をしていますが、
講義にはAIだけでなく、教養の話を混ぜています
私の想いとしては、大学生には、
「時代の最先端(AI)と、時代によって変わらない普遍的な本質(≒教養)の両方を学んでほしい」
という考えがあります。
なので、AIの講義に「論語と算盤」や「武士道改題」などが出てきます
私の解説:【図解:3分で解説】「渋沢栄一:論語と算盤」まとめと感想
アウトプット
今月は12冊ほど読みました。
(理想的には3日に1冊、週2冊を目安にしています)
ですが本ばかり読んでいないで、アウトプットすることも大切です。
今月のプライベートでのアウトプットを紹介します。
今月は、FacebookのUS本社のPyTorchマーケティングチームといろいろディスカッションをしていて、
「もっと日本でのPyTorch活性化したいね」と話し、
PyTorchの公式コミュニティのメンバとして、Mediumで記事をアウトプットしました。
日本人向けに、PyTorchを用いたディープラーニング実装を学習する方法を解説しています。
Our community member from Japan, Yutaro Ogawa, shares how to get started with PyTorch in Japanese in three-part blog post series.
— PyTorch (@PyTorch) August 26, 2020
コミュニティメンバの小川さん(電通国際情報サービス)より、PyTorch実装手法を日本語で学ぶ、3つの記事を提供します
Read Part 1:https://t.co/rCHYk76IOT
記事一覧
PyTorchを用いたディープラーニング実装の学習方法 (Part 1)
PyTorchを用いたディープラーニング実装の学習方法 (Part 2)
PyTorchを用いたディープラーニング実装の学習方法 (Part 3)
来月は、
・FacebookUS本社との次の施策
・PyTorchの新しい書籍
など、現在ネタを絶賛、探索・仕込み中です。
またネタができましたら、皆さまに公開したいと思います。
おわりに
ときおり、
●どうやって業務時間外のプライベート時間に、それだけ本読んで、書籍や記事などアウトプットするのですか?
●どういう経緯で、ITエンジニアは書籍を出版できるのですか?
●どうやったら、年1冊以上のペースで書籍を出版できるのですか?
あたりの質問を聞かれるので、またこれら内容はQiita記事で紹介したいなと思います。
以上、今月読んだ、IT・AIエンジニアにおすすめの書籍でした。
備考
【情報発信】
読んだ書籍の感想などに加え、IT・AIやビジネス・経営系で、私が面白いと思った記事やサイトをTwitterで発信しています。
これらの分野の情報を収集したい方はぜひフォローしてみてください♪
(海外の情報が多めです)
Twitter
小川雄太郎@ISID_AI_team
【その他】
私がリードする、「AIテクノロジー部開発チーム」ではメンバを募集中です。興味がある方は
こちらのページ
から、お願い致します♪
【そくめん君】
いきなり応募は・・・という方は、カジュアル面談を「そくめん君」で行わせていただいております。
こちらもぜひご利用ください♪
https://sokumenkun.com/2020/08/17/yutaro-ogawa/
【免責】本記事の内容そのものは著者の意見/発信であり、著者が属する企業等の公式見解ではございません