ダニングクルーガー効果とは、実際の能力が低いほど、自己評価が高くなるという仮説である。
文脈
Andy Huntなどがエンジニアのダニングクルーガー効果について著書で述べていたり、「ワタシリナックスチョットデキル」のTシャツを着たリーナスの画像に共感が持たれるように、これが真実として語られる。人々は信じたいものを信じるので、謙虚ではない意識高い系の能力が低いと信じたいようである。
しかし、本当にダニングクルーガー効果は存在するのだろうか。
このような心理効果を数学的に分析しようとしたのは、以下の記事が最初かもしれない。
https://web.archive.org/web/20190306112412/https://datanerd.hateblo.jp/entry/2017/09/11/162446
魚拓に残っていて良かったが、これは自分が学生時代に作成した記事だ。専門学校の教師がFacebookでダニングクルーガー効果について熱弁していてムカついたので、その反論のために書いた記事である。
これと同じことをもう一度書く。
定式化
- 定義: 実際の評価が低いほど、自身を過大評価してしまう
- x: 実際の評価。
- y: 自己評価。
- y-x>0: 過大評価。
目的: yとy-xの関係、またはxとy-xの関係を見つければ良い。
- もしxとyが一様乱数でも定義が成り立つなら、このような現象は心理に関するものではないことになる。
- 定義の関係が成り立つことを確認するには、yとy-xが正の相関を持つこと、またはxとy-xが負の相関を持つことを示せば良い。
pythonで実験
x = np.random.uniform(size=1000)
y = np.random.uniform(size=1000)
z = y-x
plt.scatter(y, z)
import pandas as pd
df = pd.DataFrame({"x":x, "y":y, "y-x":z})
df.corr()
x | y | y-x | |
---|---|---|---|
x | 1 | -0.0571932 | -0.725288 |
y | -0.0571932 | 1 | 0.7288 |
y-x | -0.725288 | 0.7288 | 1 |
science directの論文
自分がここで示したのは、実データではなく、単なる数学的な検証でしかない。
世の中には実データでこれを示した人もおり、以下の論文で確認できる。
ダニングクルーガー効果は、あったとしても非常に小さい可能性がある。
追記
皮肉にも、ダニングクルーガー効果が正しいと考えている人が、自分自身が謙虚の側だと考えること自体が、すでに自己評価が高いことを意味する。