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Azure AD と AWS IAM 間で SAML を使った ID Federation をやってみた

Last updated at Posted at 2021-12-30

はじめに

AWS マネージメントコンソールに、Identity Provider を使った SSO ログインがやりたいときがあります。AWS Organizations が使える環境だったら、AWS SSO を使えば比較的楽に実現できます。しかし、Organizations が使えない環境でも、AWS IAM で Identity Provider の設定をすることで、SSO が実現できます。

今回は、AWS IAM と Azure AD 間で、SAML を使ったフェデレーションを行っていきます。

わかったこと

今回の検証を通じて、わかったことを最初に書きます。

  • この記事の構成では、Azure AD 側でプロビジョニングの設定を加えても、AWS IAM User などには自動的に追加されない
  • Azure AD 上で、シングルサインオンに関する RoleSessionName の設定を変更しないとエラーになる場合がある
  • AWS 側で複数 IAM Role を作ることで、Azure AD のログイン時に、使用する IAM Role を指定可能
  • Azure AD のユーザーやグループごとに、割り当てる IAM Role を指定可能
  • Identity Provider 経由で AWS マネージメントコンソールを表示したときに、左上に表示される文字列は、IAM Role Name/Role Session Name という形式になっている

Azure : Azure Active Directory で SAML 設定

Microsoft Azure にログインし、Azure Active Directory で検索して、サービスを選択します。
https://portal.azure.com/

image-20211230224530191.png

エンタープライズアプリケーションを選びます。

image-20211230224709994.png

新しいアプリケーションを選択します。

image-20211230224754776.png

AWS を選択します。

image-20211230224911973.png

AWS Single-Account Access を選択します。

image-20211230224929214.png

名前に好きなものを入れて作成をおします。

image-20211230225104886.png

数秒後、作成完了となります。左側のメニューから、シングルサインオンを選択します。

image-20211230231213291.png

SAML を選びます。

image-20211230231237707.png

はい を選ぶ。

image-20211230231307255.png

フェデレーション メタデータ XML をダウンロードします。

image-20211230232121911.png

AWS : IAM で Identity Provider の設定

AWS IAM の画面を開き、Identity Provider を追加します。

image-20211230233243086.png

パラメータをいれて、Add provider を押します

  • SAML を選択
  • 任意の名前
  • Azure AD からダウンロードしたメタデータ XML を指定

image-20211230233514122.png

追加されました

image-20211230234025886.png

AWS : IAM Role 管理者権限を作成

Azure AD 経由でログインされたユーザーに紐づける IAM Role を作成します。

image-20211230234223350.png

入力して Next を押す

  • SAML 2.0 Federation を押す
  • SAML Provider を選択
  • Management Console にログイン可能を選択

image-20211230234314773.png

ユースケースに合わせた Policy を指定。今回はシンプルにいきたいので、Administrator を指定 (本番環境では、必要最小限の権限にしましょう)

image-20211230234443326.png

このまま Next を押す

image-20211230234514828.png

名前などを指定して、Create role を選択

image-20211230234634519.png

IAM Role が作成される

image-20211230234732452.png

AWS : IAM Role 読み込み権限を作成

さきほどと同様に、別の 読み込み専用 IAM Role を作成します。

image-20211231002931128.png

こっちは ReadOnlyAccess を選択します。

image-20211231003019554.png

適当な名前で作成

image-20211231003110126.png

AWS : 自動プロビジョニングに利用する IAM User を作成

まず、User に紐づけるための IAM Policy を作成します。

Create Policy を選択します。

image-20211231000747461.png

Azure AD 側で必要な権限は、IAM Role の参照なので、次の設定を行います。

image-20211231000859616.png

{
    "Version": "2012-10-17",
    "Statement": [
        {
            "Effect": "Allow",
            "Action": [
            "iam:ListRoles"
            ],
            "Resource": "*"
        }
    ]
}

Tag は無しのまま。

image-20211231000948637.png

適当な名前をいれて、Create します。

image-20211231001115142.png

IAM Policy が作成されました。

image-20211231001201859.png

この Policy を使うための IAM User を作成します。

image-20211231001249799.png

適当な名前をいれて、Next を入れます。

  • Access Key を Azure AD 側に入力するので、Programmatic access をチェックいれます。

image-20211231001405971.png

作成した IAM Policy を選択して、Next を押します。

image-20211231001505612.png

このまま Next を押します。

image-20211231001527128.png

Create User を押します。

image-20211231001556534.png

AccessKey, Secret access key を控えておきます。

image-20211231001633626.png

IAM User が作成されました。

image-20211231001735256.png

Azure : Azure AD でプロビジョニングの設定

プロビジョニングから、作業の開始を選びます。

image-20211231001814700.png

パラメータを入れて、テスト接続を押します。

  • 自動

  • clientsecret : Access Key

  • シークレット トークン : Secret Accesss Key

image-20211231002025526.png

テスト接続が OK なので、このまま保存を押します。

image-20211231002059532.png

保存完了です。

image-20211231002143871.png

画面を戻した後に、プロビジョニングの開始を押します。

image-20211231002335433.png

プロビジョニングが開始されました。

image-20211231002356523.png

プロビジョニングの編集を押します。

image-20211231002519977.png

プロビジョニングの状態がオンになっていれば OK です。オンになっていない場合は、オンにします。

image-20211231002603153.png

Azure AD のユーザーを、AWS 側に紐づけを行います。

image-20211231004709210.png

まずユーザーを選択します。

image-20211231004821013.png

選択を押します。

image-20211231004844678.png

このユーザーに紐づけるロールを選択可能です。Admin のロールを選びます。

image-20211231004917980.png

割り当てを押します。

image-20211231004950919.png

ユーザーが割り当てられた様子が確認できます。

image-20211231005019686.png

同様の操作を行って、Role を2個割り当てることもできます。

image-20211231005316020.png

動作確認 : エラー

Azure AD としての Portal 画面を開きます。既にログインしているので、ID/Password の入力は求められません。
https://myapps.microsoft.com/

Azure AD に登録されているエンタープライズアプリケーションが、このポータル画面に一覧表示されます。この中から、AWS のアイコンを選択します。

image-20211231005505277.png

AWS マネージメントコンソールで使う IAM Role を選択して、サインインを押します。

image-20211231005637970.png

エラーのトラブルシュート

エラーになってしまいました・・・。デバッグをしていきます。

RoleSessionName in AuthnResponse must match [a-zA-Z_0-9+=,.@-]{2,64} (service: AWSSecurityTokenService; status code: 400; error code: InvalidIdentityToken)

image-20211231010715656.png

Developer Tools で Network Tab から、saml を選択し、Payload から、SAMLRespone を Copy する。

image-20211231010808417.png

この文字列を Base64 でデコードします。

echo "base64encodedtext" | base64 --decode

もしくはセキュリティを気にしない環境なら、このサイトでデコード可能です。
https://www.base64decode.org/

さらに XML を整形可能です
https://tm-webtools.com/Tools/XMLBeauty

デコードすると、エラーになった RoleSessionName を確認できます。

      <Attribute Name="https://aws.amazon.com/SAML/Attributes/RoleSessionName">
        <AttributeValue>mailaddress_gmail.com#EXT#@mailaddressgmail.onmicrosoft.com</AttributeValue>
      </Attribute>

AWS の Document に詳細がかかれています。#EXT# の文字列が怪しいです。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/IAM/latest/UserGuide/troubleshoot_saml.html#troubleshoot_saml_invalid-rolesessionname

RoleSessionName の指定を変更

RoleSessionName の指定を、Azure AD 上でカスタマイズしてみます。

image-20211231011516697.png

RoleSessionName を変更します。

image-20211231011554115.png

適当に、user.mail としておきます。

image-20211231011625376.png

変わりました。

image-20211231011650528.png

動作確認 : 正常

再び Azure AD のポータルサイトを開きます。
https://myapps.microsoft.com/

AWS の Icon を選択します。

image-20211231014908475.png

サインインを押します。

image-20211231014947065.png

AWS のマネージメントコンソールが開かれます。

image-20211231015029936.png

なお、このときに、とくに IAM User 側は自動的に作成されているわけではありませんでした。

余談 : 右上に表示される名前について

Identity Provider 経由で AWS のマネージメントコンソールにログインすると、右上に名前が表示されています。

image.png

この表示名は IAM Role Name/Role Session Name という形式になっています。

IAM Role 名は、ここの名前から引っ張ってきています。

image.png

Role Session Name は、Azure AD 側の設定方法に依存されます。この記事では、Azure AD 側の設定で、RoleSessionName を user.mail と指定しています。

image.png

この設定によって、Azure AD 側に登録されている User の電子メールの属性を引用して使われています。これらの設定を適宜変更することにより、任意の名前を付けられるようになります。

image.png

例えば、ここの RoleSessionName の設定を変更して、特定の文字列を追加すると

image.png

右上の表示もこんな感じにかわります。

image.png

まとめ

Azure AD と IAM を連携した SSO の手順を紹介しました。Organizations が使えない環境で便利に利用できます。

参考URL

SAML 2.0 ベースのフェデレーションについて
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/IAM/latest/UserGuide/id_roles_providers_saml.html

AWSアカウント シングルサインオンの設計と運用
https://d1.awsstatic.com/webinars/jp/pdf/services/20200722_AWSBlackbelt_%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%A8%AD%E8%A8%88%E3%81%A8%E9%81%8B%E7%94%A8.pdf

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