はじめに
NICE DCV は、さまざまなネットワーク条件で利用できる高性能なリモートアクセスプロトコルです。グラフィックスを多用する用途でもスムーズな表示を提供する特徴があります。例えば、EC2 上で NICE DCV サーバーを構築し、そのサーバー上で動画編集や HPC などで利用できます。
EC2 上で NICE DCV は追加料金が不要で利用できます。EC2 以外の場合はライセンスの購入が必要です。
EC2 で NICE DCV としてアクセスする方法が不明だったので、検証をしてみましょう。
NICE DCV サーバーを作成
NICE DCV は、独自にインストールすることもできますが、AMI として提供されているのでこれを利用するのが楽です。EC2 の構築画面で、Browse more AMIs を選択します。
NICE DCV で検索すると色々出てきます。NICE DCV for Windows を選択します。
Instance Type を選択して、Continue を押します。なお、MarletPlace であっても、NICE DCV の Software 部分は $0 で利用できます。
名前やネットワークを指定して、Launch をおします。
Security Group の指定
- NICE DCV は、デフォルトで TCP / UDP 8443 が利用されます。8443 Port を公開します。
Windows の NICE DCV Client をインストール
アクセス元の端末で、NICE DCV Client をインストールします。インストーラーは次の URL でダウンロードできます。
NICE DCV でアクセス
インストール後に、「NICE DCV Client 」を起動します。
EC2 Instance の Public IP を指定して、Connect を押します。
Trust and Connect を押します。
Windows のローカルの Administrator と、Password を入れて Login を押します。
接続できました。普通に Windows のデスクトップ画面が開けます。
Tips1 : ドメインユーザーで接続
上記の手順は、Windows Server のローカル Administrator を使ったアクセスでした。一方、Active Directory を導入している環境では、ドメインユーザーでアクセスがしたいです。ドメインユーザーを使ったアクセスを試してみましょう。
まず、ドメインは参加してなかったため、参加をします。
次に、NICE DCV サーバー上のセッションを設定変更する必要があります。コマンドプロンプト上で次のコマンドを実行し、現在立ち上がっているセッションを確認します。
"C:\Program Files\NICE\DCV\Server\bin\dcv.exe" list-sessions
実行例
- Administrator ユーザーを対象に、console セッションが立ち上がっています。
C:\Users\Administrator>"C:\Program Files\NICE\DCV\Server\bin\dcv.exe" list-sessions
Session: 'console' (owner:Administrator type:console)
console セッションは、同時に 1 つしか利用できないため、現在立ち上がっているセッションを終了します。NICE DCV としてアクセスいている Administrator は、このタイミングで接続できなくなります。(代わりにリモートデスクトップなどでアクセスしましょう)
"C:\Program Files\NICE\DCV\Server\bin\dcv.exe” close-session console
ドメインユーザー cloud.sugi.local\Admin
を指定して、セッションを起動します。
"C:\Program Files\NICE\DCV\Server\bin\dcv.exe" create-session^
--owner cloud.sugi.local\Admin^
--name admin-session^
console
起動されたか確認します。
"C:\Program Files\NICE\DCV\Server\bin\dcv.exe" list-sessions
以下のように、cloud.sugi.local\Admin
が Owner として起動されました。
C:\Users\Administrator>"C:\Program Files\NICE\DCV\Server\bin\dcv.exe" list-sessions
Session: 'console' (owner:cloud.sugi.local\Admin type:console name:admin-session)
準備が出来たので、ドメインユーザーからアクセスしてみましょう。
アクセスできました!
Tips2 : Windows 上で複数セッションを作成できない
Windows Server に NICE DCV を使ってアクセスするときに、同時に 1 セッションまで利用できます。次の Document に記載があります。
2 つ Session を起動するとどうなるか見てみましょう。list-sessions コマンドで、既に 1 個の Session が起動されていることがわかります。
C:\Users\Administrator>"C:\Program Files\NICE\DCV\Server\bin\dcv.exe" list-sessions
Session: 'console' (owner:cloud.sugi.local\Admin type:console name:admin-session)
create-session で 2 個目を作成してみます。
"C:\Program Files\NICE\DCV\Server\bin\dcv.exe" create-session^
--owner Administrator^
--name admin-session2^
console2
想定通りエラーになりました。
Could not create session. The maximum number of sessions has been reached
検証を通じてわかったこと
- NICE DCV の AMI は、MarketPlace を通じて提供されている。MarketPlace 経由でも、NICE DCV 自体のソフトウェアは追加課金無しで利用が可能。通常の EC2 インスタンスと同じ料金で提供がされている。
- NICE DCV サーバーへリモートアクセスするときの認証は、デフォルトでローカル Administrator となりドメインユーザーは利用できない。設定変更を加えることで、ドメインのユーザーでもアクセスが可能。
- NICE DCV で Windows サーバーにリモートアクセスする場合は、同時に 1 個の Session しか作成できない。同時に 2 人以上のユーザーが、異なる画面でアクセスすることはできない
- Administrator 用の Session を削除して、別のユーザー用の Session を作成することで、異なるユーザーを使ってアクセスが可能
- Systems Manager の Run Command と連携して、ユーザーの切り替えを自動的にすることは出来そう