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ANSYS FLUENTで都市の微小気候をシミュレーションする [3: Solving]

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前回のつづきです。

Solving

物理モデルや境界条件などの設定をして、流体シミュレーションを実行する。

ここでの設定値は、末尾に掲載した参考文献に基づいています。あくまで一例なので、適宜目的とする条件に合わせて、同じまたは似たような条件のシミュレーションを行っている文献を参考にしてください。

メッシュファイルのインポート

Ansys Fluentを「Solution」モードで起動する。
スクリーンショット 2024-02-01 095001.png

作成したメッシュファイルをインポートする。File>Read>Meshで、目的のメッシュファイルを選択し、インポートする。
メッシュを表示する。Domain>Mesh>Displayをクリックすると、以下のウィンドウが開く。
スクリーンショット 2024-02-01 095842.png

Optitonsで、Edgesを✅すると、メッシュが表示される。Facesを✅すると、面が表示される。
Transparencyを50%ほどに設定すると、Facesが透けて中の構造も見えるようになる。
スクリーンショット 2024-02-01 100143.png

次に、Domainタブに移る。
メッシュのクオリティを確認する。Mesh>Check>Perform Mesh Checkをクリックする。Consoleに結果が表示される。「Done.」と書かれていることを確認する。さらに、Mesh>Quality>Evaluate Mesh Qualityをクリックする。Consoleを見て、

  • Minimum Orthogonal Qualityが0.1以上であること
  • Maximum Aspect Ratioが1.2以下であること

を確認する。
最後に、温度の単位をK(ケルビン)からC(セルシウス温度)に変更する。Mesh>Unitsをクリックし、Set Unitsのウィンドウが現れたら、Quantitiesの中からtemperatureを選択し、UnitsをKからCに変更する。これにより、温度をセルシウス温度で表示してくれるようになる。

Physicsの設定

Physicsタブに移る。

Solver

Solver>Generalをクリックする。画面中央の「Task Page」ウィンドウに注目する。「Solver」を以下のように設定する。

item Setting
Type Pressure-Based
Velocity Formulation Absolute
Time Steady

Models

PhysicsタブのModelsにあるEnergyを✅する。これにより、温度のシミュレーションができるようになる。
次に、Viscousを設定する。ここで、流体の物理モデルの設定を行う。

item setting
Model k-epsilon(2 eqn)
k-epsilon Model Realizable
Near-Wall Treatment Standard wall Functions

それ以外の項目はデフォルトのままにする。

日射による影響を考慮する場合は、Radiation Modelも設定する。

item setting
Model Surface to Surface (S2S)
Solar Load Model Solar Ray Tracing

Solar Loadの「Solar Calculator」をクリックする。ここで、シミュレーションをする場所(緯度経度)や日時を設定する。

Global PositionとDate and Timeでは、シミュレーションしたい場所と日時を設定する。以下、8月1日12:00 札幌市でのシミュレーションの例を示す。

item e.g.
Longitude 141.35
Latitude 43.06
Timezone +9
Day 1
Month 8
Hour 12
Minite 0

Applyボタンをクリックし、設定を適応する。

Illumination Parametersは以下のように設定する。

1 2 3
Direct Solar Irradiation constant 288.80
Diffuse Solar Irradiation constant 346.63

View Factorを作成する。View Factors and Clusteringの「Compute/Write/Read」をクリックする。保存場所やファイル名を適切に設定して、保存する。

Materials

Materials>Create/Editをクリックし、Materialを追加していく。

concrete(建物用)

まず、Material TypeはSolidを選択。Nameにconcreteと入力し、変更する。Chemical Formulaはalを削除し、空欄にする。次に、Propertiesを以下のように設定する。

1 2 3
Density constant 930
Cp constant 840
Thermal Conductivity constant 0.86

スクリーンショット 2024-02-01 151050.png

「Change/Create」ボタンをクリックする。画面左にあるOutline View ウィンドウのMaterials>Soildを展開し、concreteが追加されているか確認する。

asphalt(地面用)

concreteと同様にasphaltを追加する。

1 2 3
Density constant 1700
Cp constant 1000
Thermal Conductivity constant 0.9

Zones

Zones>Boundariesをクリック。
それぞれの境界条件を設定していく。

bldg

建物の境界条件を設定する。建物に該当するZoneをダブルクリックすると、そのZoneの境界条件を設定するウィンドウが現れる。
Momentumタブでは以下のように設定する。

item setting
Wall Motion Stationary Wall
Shear Condition No Slip
Roughness Models Standard
Roughness Height 0.08
Roughness Constant 0.5

Thermalタブに移り、以下のように設定する。

item setting
Thermal Conditions Heat Flux
Material Name concrete
Heat Flux 0
Wall Thickness 0.3
Heat Generation Rate 0

ground

地表面の境界条件を設定する。groundをダブルクリックする。
以下の設定以外は、すべてbldgと同様。

Momentumタブ

item setting
Roughness Height 0.2

Thermalタブ

item setting
Material Name asphalt

inlet

inletでは、風向きを設定する。気象庁が公開する気象データ等を参照し、風速を決定する。inlet面に対して垂直方向に風向きを設定する場合は、Momentumタブで以下のように設定する。

item setting
Velocity Specification Method Magnitude, Normal to Boundary
Reference Frame Absolute
Velocity Magnitude *風速を設定
Supersonic/Initial Gauge Pressure 0

温度の設定は、Thermalタブで行う。
こちらも気象データを参照し、適切な値を設定する。

others

その他のoutlet、lateral_boundaryなどは設定を変更する必要はない。

Solution

Solutionタブに移る。

Scheme

Solution>Methodsをクリック。以下のように設定する。

item setting
Scheme SIMPLE
Gradient Least Squares Cell Based
Pressure Body force weighted
Momentum Second-order upwind
Turbulent Kinetic Energy Second-order upwind
Turbulent Dissipation Rate Second-order upwind
Energy Second-order upwind

Save

ここまでの設定を保存する。
File>Write>Caseをクリックし、ファイル名を決め、保存する。

Initialize

Solutionタブに移り、Initialization>Initializeをクリック。
「done」がConsoleに表示されたら、OK。

Calculate

Run CalculationのNo. of Iterations300と入力する。

参考とした文献では、No. of Iterationsを6000と設定しているが、Iterationの回数を増やすほどシミュレーションに多大な時間を要するため、ここでは300と設定した。

そして、「Calculate」ボタンをクリック。シミュレーションが開始する。
以下のように、残差(Residuals)が逐次更新されていく。

スクリーンショット 2024-02-01 160451.png

画面右下では、進行状況がパーセンテージで確認できる。
パソコンのスペックや、メッシュファイルのデータサイズなどにもよるが、シミュレーション終了まで最短で20-30分くらいかかる。

-次回に続く-

参考文献

Adelia et al., Tool comparison for urban microclimate modelling (2020) -シミュレーションの設定値はこの文献の「3.2 CFD Simulation」の表に従った。

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