近年、PLATEAUプロジェクトによって、都市の3Dモデルの公開や、3Dモデルを防災・ヒートアイランドシミュレーション・観光などに役立てることが盛んになっています。
都市環境はとても複雑で、建物の分布、地表面を覆う素材、壁面の素材、建物排熱量によって風の動きや温度が微小なスケールで複雑に変化します。このような都市特有の微小な環境状態を知るにはどうすればよいでしょうか? ひとつの方法は、流体シミュレーション (CFD simulation) です。この記事では、札幌市の3Dモデルを用いて都市の風の動きや温度分布などをシミュレーションしていきます。
Ansys Fluentとは
流体/液体解析が行えるソフトウェア。この記事では、3D都市モデルを用いて、風の動きや温度分布などをシミュレーションするために使用する。
流体シミュレーションを行うことで、このように温度分布など知ることができる。
ANSYS のインストール
Ansysのウェブサイトからダウンロードする。
学生向けバージョンの「Ansys Student」なら無料でダウンロードできる。メッシュ数の限りや、一度に複数のウィンドウを開けないなどの制限があるが、ちょっとしたシミュレーションなら問題なく使用できる。ここでは、Ansys Studentを使用する。
Ansys Studentをダウンロードすると、「Ansys 2023 R2」(2023やR2などはダウンロードしたバージョンによって変わってくる)というフォルダ内にFluent、Discovery、EnSightなど多くのソフトウェアがセットでダウンロードされていることがわかる。流体解析では、主にFluentとDiscoveryを使用する。
3D都市データを入手する
流体解析を行うには、まず解析の対象とする区画の3Dデータを作成する必要がある。3Dデータの作成・編集はDiscoveryで行う。
G空間情報センターでは、多くのまちの3Dデータが公開されている。解析したいまちを決め、データセットをダウンロードする。ここでは札幌市を例に説明する。
まず、G空間情報センターのホーム画面「データを探す」に「札幌」とキーワードを入力し、検索する。すると、目的の「3D都市モデル (Project PLATEAU) 札幌市 (2020年度)」が検索結果に表示される。さまざまなフォーマットで3D都市モデルのデータが入手できるが、今回はOBJ形式のデータをダウンロードする。
ダウンロードした01100_sapporo-shi_2020_obj_3_opフォルダ内の
- 01100_indexmap_op.pdf
- bldgフォルダ内のOBJデータ
を主に使用する。
これで、解析のために必要なソフトウェアとデータのダウンロードが完了した。
以降の手順については、順次投稿する予定。