今回はこの錆びきったヤスリをニッケルでメッキしてビッカビカのヤスリに仕上げたいと思います。
メッキの過程でサンポールを使用します。
独特の臭いがするので屋内で作業される場合は注意してください。
#そもそもニッケルメッキとは?
実は、中学校の実験で誰しもが金属の電気分解(メッキ)を経験しています。
改めて概要を説明すると、陽極側(今回の場合ニッケル側)では電気をかけることにより、酸化反応が起こります。
すると、ニッケル板がニッケルイオンとなり電解液中(サンポール)に溶け出します。
溶け出したニッケルイオンを陰極側(今回の場合ヤスリ側)が受け取り、陰極側の表面にニッケルが生成されます。
#用意するもの
・サンポール
電解液です。
・パーツクリーナー
メッキする対象(今回は錆びきったヤスリ)の脱脂に使用します。
・電池ケース
別にあってもなくてもいいんですが、あると非常に便利です。
・電池
今回はリチウムイオン電池の単3を2つ使用します。
・純ニッケル板
なるだけ純度の高いものを用意してください。
・容器
メッキする対象が余裕を持って収まるサイズが好ましいです。
・ワニ口×2本
上記画像の青と白のコードです。電池ケースとニッケル板、メッキする対象をつなぎます。
・銅線
ワニ口とメッキ対象を直接つなぐと、ワニ口が電解液に浸かってしまい、ワニ口の金属部分もメッキされてしまいますので、ワニ口とメッキ対象を銅線を用いて中継します。
#メッキ対象の脱脂
メッキ対象に脂が付着していると、その部分のメッキが剥がれやすくなってしまいます。
パーツクリーナーをメッキ対象に吹きかけて脱脂します。
素手で脱脂してしまうと、手の脂がメッキ対象に付着してしまいます。
脱脂の際はビニール等の手袋を着用し、一度脱脂を行ったらメッキが終わるまでメッキ対象を素手で触れてはいけません。
#電解液の作り方
サンポールと水を1:4の割合で混ぜます。
メッキ対象を容器に入れたときに、全体が浸り切るかさになるよう注意しましょう。
#配線
電池の+側にニッケル板をつなぎ、-側にメッキ対象をつなぎます。
#メッキを開始
ニッケル板とメッキ対象を電解液に浸します。
このとき、ニッケル板につないだワニ口の金属部分が電解液に入らないよう注意しましょう。
電解液に入ってしまうと、ワニ口の金属部分が溶けてしまいます。
このようにメッキ対象から泡が吹き出せばメッキが始まっています。
泡が出ない場合はニッケル板とメッキ対象が触れていないか確認してください。
正常にメッキが始まったら、1時間半〜2時間ほど待ちましょう。
#完成
慎重に取り出し、付着した電解液を水で洗い流した後、丁寧に水を拭き取ります。
ご覧の通りビッカビカのビの字もありません。
なんのための二時間だったのかと考えてしまいそうですが、前を向くことにします。
強いて言うなら少しだけ錆びが目立たなくなりましたが、
それならメッキ前の方が味があって格好良かったのではないかとすら思えます。
#敗因
おそらくメッキ対象をメッキ前にある程度磨いて、ビッカビカにしてからメッキに取り掛かるべきだったのでしょう。