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ワールドカフェ風読書会のススメ

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ワールドカフェという言葉は聞いたことありますか?
多国籍の人々と話す必要があるわけでもなく、もちろんバグダッド・カフェとも関係ないです。
ワールドカフェは1995年にアニータ・ブラウンとデイビッド・アイザックスによって提唱されました。
対話により人々の考え方に深みや発見を与え、イノベーションを起こすダイアログの手法です。
私が開発に携わっている転職ナビの開発メンバーを中心に、2018年はワールドカフェのエッセンスを取り入れながら、勉強会を行いました。
この記事ではその取り組みを紹介します。

ワールドカフェとは

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ワールドカフェは対話することにより、クリエイティブな発想を生み出すことを目的としたフレームワークです。
特徴として、

  • ダイアログの進め方
  • ダイアログの設計思想

が定められています。
詳細は割愛しますが、ここではざっくりと説明します。

ダイアログの進め方

1.参加者を集め、グループにわける

集まった参加者のうち4、5人で一つのグループ(1テーブル)とし、複数グループに分けます。

2.用意した問いについて対話する

事前に用意した問いを各テーブルで話し合います。
議論のように、結論をつけるわけではなく、意見交換やアイデアを発展させるように会話します。

3.席替え

通常20分〜30分で1ラウンドとし、それをグループを交換しながら2、3ラウンド行います。

※詳細が気になるかたはworld-cafe.netを参考にしてください。

ダイアログの設計思想(7つの原理)

ワールドカフェ提唱者の著作物であるワールド・カフェ~カフェ的会話が未来を創るでは7つのデザインパターンが記されています。

1.コンテクストを設定する

参加者や目的、加えて時間や予算等、会の土台を設定する。

2.もてなしの空間を創造する

心理的安全性など参加者がリラックスして話せる場を作る。

3.大切な質問を探求する

オープン・クエスチョンで質問を用意することで、自由な発想を参加者が持つようにする。

4.全員の貢献を促す

「参画」ではなく、「貢献」をする。
つまり、コミュニティ全体に貢献するように参加することで、集合知を育む。

5.多様な視点を他花受粉させて、つなげる

様々な参加者の意見や考えを交換することで、一つのネットワークをつくる。

6.パターン、洞察、より深い質問に共に耳を傾ける

アイデアは人に話すことで言語化されるため。
全力で他者の話を聞くことで、創造的な考えを引き出す。

7.集合的発見を収穫し共有する

得た知識を見える化することで、認識の齟齬を抑止する。

ワールドカフェ風読書会って?

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さて、以下は実際にワールドカフェを参考にして取り組んだ勉強会の流れです。

1.案内を作る

以下の事項を決定して、参加メンバーに周知します。

  • 対象書籍
  • 開催日
  • 開催場所
  • 注意事項(否定しない、リラックスして対話する等)

2.事前に書籍を読んでくる

週1回開催で約1ヶ月間、全4回開催しました。
書籍の範囲は4分割して、1月で1冊読みます。

3.参加者で問いを用意する

特に定めはしなかったですが、例として、

  • 対象書籍でわからなかったこと
  • 実際のプロダクトで学んだことをどのように活かせるか
  • 参加者で意見がわかれそうな箇所について、認識が揃っているか

のようなことを問いとして定めました。

4.この会の決まりごとを共有する

  • 可能な限り、多くの参加者が発言する
  • 発言は否定から入らない
  • 参加者全員がリラックスして参加できるように協力する

5.実際に問いについて、対話する

各々が用意した問いについて、順番に対話します。

ワールドカフェ風読書会の狙い

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対話 

エンジニアはチャットでコミュニケーションをすませがちです。
コードレビューでは文字によるコミュニケーションではなく、対面で話したほうがマイルドに議論が収束した経験が私にはありました。
ケースバイケースですが、対面によるコミュニケーションの方が丁寧に議論を交わせます。
ただ、普段からエンジニアリングについて会話する機会がないのに、いきなり業務でエンジニアリングについて話すことはとても難しいものです。
読書会を通じて、このエンジニアリングについて意見するトレーニングを試みました。

文化 

私は日頃の業務として、大規模開発を行っています。
コードを書くということは小さな意思決定の積み重ねです。
様々な思想を持つメンバーと業務を遂行していて、当たり前ですがどうしても意思決定にブレが生じます。
メンバーとエンジニアリングについて意見を交換し、集合知を育むことで共通の価値観、文化を育むことを狙いました。

傾聴

参加者の技術レベルは様々です。
シニアレベルのメンバーもいれば、ジュニアレベルのメンバーもいます。
実際の開発と同様に様々なレベル感のメンバーが参加するのです。
ジュニアレベルのメンバーの意見を丁寧に聞くことで、
シニアレベルのメンバーには傾聴力が身につきます。
一方でジュニアレベルのメンバーには意見を主張する練習にもなります。
もちろん、若手の考え方を聞くことで新しい発見が生まれることも狙いました。

多様性

参加者全員でひとつの物事について考える。
これらをすることで、多様な意見を取り入れ技術について多様な視点を持つことを狙いました。
どうしても、個人での学習だと技術に広がりを持つことが難しかったりします。
また、業務で関わる人が固定化されることでも同様のことが生じます。
様々な得意領域を持つメンバーと会話することで新しい発見が生まれることも狙いました。

ワールドカフェの要素をとりいれてよかった点

先述した狙い以外にも以下の点でよかったです。

  • (ワールドカフェとは関係ないが)事前に読んでくることで、読書ペースを速められた
  • また、定期的に開催することで、参加メンバーの読書習慣を作れた
  • 勘違いや理解したつもりになっていたことを深く掘り下げられた
  • 技術について話す練習になった
  • 異なった視点を取り入れられることで、学びに広がりを作れた
  • 質問に十分に時間をとれ、書籍の内容を掘り下げられた
  • 読むことが目標にならなかった

さいごに

読書会はそれぞれメリットがあると思いますが、普段の読書会に飽きたらワールドカフェ風読書会を試して見たらいかがでしょう。
きっと、新しい気づきがあるはず!

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