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グロービスの開発組織を作ってきた3年間の振り返り

Last updated at Posted at 2019-12-01

こちらは グロービスアドベントカレンダー 1日目の記事です。
グロービスの開発組織を作ってきたこれまでの3年間を振り返る形でお伝えしたいと思います。

(1年目の記事もあわせてどうぞ)
https://www.wantedly.com/companies/globis/post_articles/85713

自己紹介

グロービスのデジタル部門(グロービス・デジタル・プラットフォーム)で開発チームの横断統括をしている @sue738 です。このデジタル部門に1人目のエンジニアとして3年ほど前に入社をし、開発チームとしても開発文化としても何もなかったところからプロダクト開発を推進し、メンバーを増やし、制度設計を改善し、組織としても大きくしてくる事ができました。最近ではプロダクト開発にはそこまで関わってはおらず、組織全体のマネジメントや制度設計を中心に担っています。

3年経ったグロービスの開発組織の今

グロービスに開発チームがなかった状態から3年でどうなったかについて簡単に紹介します。

どんなプロダクトを開発してる?

3年前に内製への舵を切り始めて、教育に関わる以下のプロダクト群を展開する事ができました。
(開発チームのみなさんに感謝!)

誰でもいつでもどこでも、安価で優良なビジネスナレッジを学べる グロービス学び放題 を皮切りに、企業研修の学習管理システムや、東南アジアを主なターゲットとするグロービス学び放題のグローバル向けのサービス Globis Unlimited を展開してきています。
これらプロダクト群以外にも 認証・決済系サービス、データ基盤、新規サービス なども開発が進んでいます。SREやQAチーム、データサイエンスチーム も組成をし、安心・安定したサービス提供ができる組織体が出来てきています。

どんな人数構成になった?

HRと開発チームはかなり密に連携をしているおかげで、3年間で大きく拡大を続けてきました。
(HRのみなさんに感謝!)

  • エンジニア: 55名
  • ビジネス: 46名
  • デザイナ: 10名
  • サポート: 10名
  • SE: 9名

我々は開発専門の組織ではなく、デジタルプロダクトの事業を扱う組織なので、マーケティングやカスタマーサクセス、コンテンツ開発のチームとも一緒に事業推進をしています。全くエンジニアがいなかった頃と比較をすると大きな変化です。途中オフショアなども活用していましたが、今ではオフショアは撤退をし、中のエンジニアチームにて開発を進めています。

実は開発チームを内製化して1年くらいは、グロービスの中でも中でプロダクト開発をしていると知られていない事もありました。どこの開発会社が作ったんですか?エンジニアさんってなんでウチみたいな会社に来るんですか?といった質問を受けていた時期もありましたが、今ではだいぶ受け入れられてきた印象です(笑)

どんな働き方になった?

デジタル部門の働き方も多様化を進めてきました。
(前向きに動いてくれた上層部のみなさんに感謝!)

  • フルリモートで3名大阪、青森、北海道から働いてくれている
  • オフィス環境も全面ホワイトボードや大型ディスプレイ環境を用意
  • フレックスはコアタイムを撤廃し自由化
  • 副業や個人開発をしているメンバーも増えてきた

グロービスの文化として 自由と自己責任性善説に基づいた経営 を大事にしています。基本的な考え方としては、権利としてこれら柔軟化のルールがあるわけではなく、自律的に業務を遂行するスタッフがさらに生産性を高めるために制度を柔軟にする、というものです。 副業も他の現場での経験を活かしてもらう事を期待 しての制度として用意をしています。

開発組織構築の振り返り

オフショアによるプロダクト開発

今ではオフショアを辞めましたが、グロービスでは当初ベトナムでのオフショア開発(ラボ型)を使っていました。他の会社さんからよく聞かれる話が オフショアクオリティの是非 です。オフショアのみなさんと開発をしてきた個人的な感想としてはクオリティが直接のデメリットという訳ではないと考えています。

メリット

  • 予算が圧倒的に安い(日本と比べて1/3-1/4程度)
  • 逆に言うと大量リソースを投入できる(同じ予算で3-4倍の人数投下できる)
  • 比較的早期に十分なチーム組成を行う事ができる

デメリット

  • オンラインでネイティブでない方と会話すると疲れる
  • 技術評価・育成・文化育成は委託会社のコントロール
  • 技術・ナレッジが社内の中にたまらない

オフショアを用いる事で 3-4倍のリソースを投下できる事 は事業組織としてかなり大きなメリットです。プロダクト開発において大量のリソースを投下するのはアンチパターンと思われるかもしれないですが、数が多い事は単純に大きく勝負に出る事が出来ます。グロービス学び放題の初期の開発の頃には10名規模のメンバーを一気に獲得し4ヶ月でローンチを実現する事が出来ました。初期に内製開発の実績を社内に示す事ができたのは大きな貢献だったと振り返っています。

デメリットはSESという性質から来るものが大きいですが、現在グロービスでオフショア開発などを使っていない理由はデメリットの下2つが大きいです。どうしてもオフショアだと開発を外に投げる形になるのでナレッジが貯まらない。それだとマネジメント型の組織にしかなりません。人月から脱却し、生産性を高め、自律的な組織を作っていくために中のエンジニア拡大を続けてきました。

もう一つ、コミュニケーションが疲れるというのもエンジニアのデベロッパーエクスペリエンスを下げます。持続的に拡大を続けていくには共通の言語、共通の文化を持つメンバーで集まっている事は重要だと思います。

フリーランスを起点とした技術強化戦略

組織作りについて考えている中でとあるベンチャー企業での技術組織開発についての話を伺ったことからフリーランスの強化を進めてきました。そのベンチャーは 非エンジニアメンバーでの創業 だったのですが、フリーランスの優秀なエンジニアを一気に20名ほど採用し、技術基盤を整え、技術的なブランディングにも成功をし、 エンジニアが行きたい会社の一つ になっているとの事でした。

グロービスも当時はエンジニアがいません。ビジネス界隈では知名度が高いですが、エンジニア界隈では知名度は低い方だと思います。(新卒エンジニア採用向けのイベントで勢いよく「グロービス知ってる人ー!」と聞いたら50人中2名しか手が上がらず悲しい思いをしました)

同様の戦略は使えると思いました。正社員で知名度のない会社に入るのは結構躊躇をしますが、フリーランスの方は副業などが流行っていた時流もあり、続々と優秀な方々にジョインをいただけました。今でも 30名近くの優秀なフリーランスの方々が活躍 しています。フリーランスだった方からのリファラルで正社員が増え、フリーランスでジョインした方が正社員に転換するなどもあいまって開発チームは拡大を続けることができました。

フリーランスの方が正社員に転換する事の良さ

グロービスにはフリーランスの方で正社員に転換された方が合計で5名いらっしゃいます。とてもありがたい事です。フリーランスの方が正社員に転換される事で以下のメリットがあるなと感じています。

  • お互いにマッチしているのかが十分に理解できる
  • 正社員化でコミットメントが高まる

やっぱり一緒に働いてお互いにリアルな状況を理解した上で正社員になっていただけるのは良いですね。正社員とフリーランスで期待役割を特に分けているわけではないですが、多くのフリーランスの方は正社員になる事でのコミットメントは高まる傾向にあるように感じます。

一方でフリーランスのみなさんは各々の事情であえてフリーランスの道を選んでいらっしゃいます。こちらを強化するためにはやはり正社員になりたいと思えるような組織を作っていかないとだなと思っています。

自分がボトルネックになる問題

組織拡大の中でもっと早めにやっておくべきだった事が積極的に権限委譲していくという事。1人目のエンジニアというところからずっとリーダーポジションにいた事もあり、マネジメントが圧迫した時期がありました。組織の中では30人の壁や50人の壁、100人の壁といったものがあると言われています。そのフェーズが想像以上に早くきてしまったのでうまく次のマネジメント層にバトンタッチする事が出来ずにいました。

一時期は20名近くの方のマネジメントをしていたので1on1をしてたら1週間が終わる、という状況になった時期もありました。そういった状況って 仕事をしているようで明確な仕事はしていない のですよね。物理学でいうモノを上に持ち上げておらず、横移動をしている感覚です。

その状況を打破するために改善を進め、マネジメントラインも減り、現在では自分で直接見ているプロダクトはありませんし、各チームが独自の判断で進めていただく事が出来ています。自分がいなくなったとしてチームは動くのか、組織は動くのか気になっていましたが杞憂でした。もちろん何かがあった際には全力で責任は持ち解決に向けて動きます。

マネジメント層の強化は組織拡大にとってはかなり重要なテーマだと捉えています。

エンジニアのマネジメントは専門性と事業軸の両面

マネジメントラインも試行錯誤を続けてきました。一時期はPOがエンジニアのマネジメントについていた時期もありましたが、POだと技術がわからない問題があります。そうなるとそこから先はかなりブラックボックス化します。そういった背景もあり今ではプロダクトの事業軸と専門性のテックリードクラスの方が入る方針にしています。

エンジニアの評価はとても難しいです。評価が公平である事を示す事も難しいです。これについては各社の事例を見てきていますが、未だに正解はないように思います。

我々のチームは開発組織ではなく事業組織なので、ビジネス価値をどれだけ作れたのかが最終的な指標となる事は確実です。事業軸でのマネジメントラインと技術軸のマネジメントラインを用意をする事で、事業への貢献を明確にしつつ、エンジニアの技術力といったものをテックリードの横断チームにて担保する形式を取ってきています。

今後に向けて

今後に向けて組織の課題はまだまだたくさんあります。(現状を完璧と思ったらそこでダメになると誰かが言っていた。いつでも前向きに継続的な改善は重要ですね)

  • ムーンショットな目標に向かう文化とプロセスの構築
  • 組織構造のリファクタリング
  • 開発文化の全社に向けた浸透

教育はデジタルの力でまだまだ変えれると思います。EdTechでアジアNo.1と言えるようなプロダクトの開発、そしてそれを実現するための組織開発は引き続き試行錯誤を続けていきたいと思います。

以上大枠として組織作りについてざっくりと語りました。
引き続きグロービスのアドベントカレンダーをお楽しみに^^
https://qiita.com/advent-calendar/2019/globis

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