はじめに
正月に実家に帰ったとき母親にスマホの使い方を教えていて気づいたことのメモ。
お年寄りにスマホを教える立場になったときにこの記事の内容に目を通しておくとよいです。
お年寄り向けのスマホアプリ開発や、逆に未就学児向けにアプリを作るときなどに応用できるかもしれません。
タップできない
まず、そもそもタップできない。何気に一番大きな問題。
タップしようとしたときに以下のような現象が起きる。
- 爪で押してる
- 強く押しすぎる、画面に触れている指の面積が大きすぎる
- 狙ったところを押せない
- 画面に触れた後に指がズレる
- 触れている時間が長く、長押しになってしまう
結果的に「画面の正しい場所を押してるつもりなのに何も起きない」ので困惑する。
フリックなどのタップ以外の操作はより難易度が上がるので、できればないほうがいいかもしれない。
指紋認証付き端末だったけど、指の登録(何度も押し付けるやつ)も指紋認証でのロック解除も同様になかなか難しい様子。暗証番号手打ちのほうが速いかも。。
どこがボタンかわからない
今どきのスマホアプリはフラットデザインが多いので、どこが押せる(押したら何かが起きる)場所なのかがわかりにくい。
アイコンでボタンを表現するにしても「< 戻る」みたいにアイコンと合わせてどういう動作をするかが表記されていないとわからない(あっても伝わらないかも😭)。
加えて「『<』を押したら一つ前の画面に戻る」といった、アプリ全体で統一されたボタンアイコンの動作が覚えられない。
また、他の人から聞いたより高齢な方の場合は、「編集」「登録」などの操作の単語に馴染みがなく理解できなかったそう。メールを編集する場合は「編集」よりも「文章を書く」などより具体的で若干冗長なくらいのボタンが良さそう。
起動時に普段と違う画面遷移だと困惑する
せっかく使い方を覚えたのにいつもと遷移が違うと途端にどうしていいかわからなくなる。
例)
- ログインが必要なアプリで普段は起動してすぐに使える状態、たまにセッションが切れてログイン画面が出る
- 最初の起動はチュートリアルが表示されるが、次の起動時に表示されない
広告で困惑する
インタースティシャル広告などが出ると
- 普段の画面遷移と異なる
- 見たことがない画面
なので困惑する。
また、フッターなどに出るバナー広告もアプリの機能の一部と認識するので、表示内容がいろいろ変わることで困惑する(見たことがないのが出てるけどなにか変なことをしたんだろうか?と心配になる)。
なので広告つきの無料アプリよりも払いきりの有料アプリのほうが好まれる。
通知で困惑する
アプリの通知は画面の一番上に表示されて一定時間で消えるが、急に出てきてテキストを確認する前に消えてしまい、再度確認する方法がわからない(ボタンタップではなく上から下にスワイプして一覧表示する、という動作を知らない)ので一体何だったのか?という疑問が残る。
「何回も出るし押してみよう」と思って通知をタップすると違うアプリに飛んでしまい、先の「普段の画面遷移と異なる」に該当するため困惑する。
また、通知のonは画面にわかりやすく表示されて「はい/いいえ」を聞かれるが、offにするには自分で設定の奥深くまでいって変更する必要があるので、よくわからずonにした通知がoffにできずに困る(似たようなニュースの通知がたくさん来る、と言ってた)。
そもそもいきなり「通知をonにしますか?」と表示されるのも普段の画面遷移と異なるので困惑する。
ログイン情報を覚えられない
ログイン情報やサービスごとに使用しているアカウントをいちいち覚えていないので
- au ID
- Googleアカウント
- LINEアカウント
- Yahoo! JAPAN ID
などログインが必要になると困る。
特にパスワードについては全部同じにしてあると思いきや、サービスによって文字数や要求される強度が違ったりするので微妙にパスワードを変えていて困る。
忘れないように自分でどこかにメモしてあっても「何のアカウントなのか」がメモされていないため、メモにあるパスワードを総当たりする必要が出てくる。
また、「見に覚えのないメールが来た」と言われて確認するとYahoo!のアカウント登録確認メールで、どうやら
- 「Yahoo!天気」アプリを使う
- 「ログインするともっと便利に使える」と出て、ログインしないといけないと感じる
- 既存のアカウントメモからいろいろ入力してみるがログインできない
- いろいろ試したらよくわからないうちにアカウント登録完了
- 登録完了メールが届くが、自分のした操作の意味を理解していないのでメールの内容が理解できない
- 困り果てて助けを求めた
らしいということがあった。
単語・概念を覚えられない
「+メッセージ」「auかんたん決済」が何なのか、何度教えても覚えられない。アプリは使ってるうちに覚えるが、概念は覚えづらい。
メモ帳に説明を書き残したりで対応。
番外編
Chromeのウィンドウが開かれすぎている
Chromeを開いたらウィンドウが開かれすぎていて、ウィンドウ数の表示が限界を超えて顔文字になっていた。
ウィンドウを消しても消しても無限に出てきて、「すべて閉じる」をやるとアプリが落ちる💣(結局手作業で100~200ウィンドウ閉じまくった)。
おそらく他のアプリ(「auサービスTOP」とかいうアプリをよく使ってるらしいのでその辺?)がWebコンテンツをChromeのウィンドウとして開き、その積み重ねの結果だと思われる。
それに加えてウィンドウの概念を知らず、ウィンドウのとじ方も知らなかった。ウィンドウがめちゃくちゃ多くてもブラウジング自体には問題が起きなかったのが幸い。
ちなみに「Webブラウザ」もよくわかってない様子だった。「(インター)ネットでしょ?」みたいな感じ。
スマホの選び方
自分は母親に「Androidはいろんな知識があってカスタマイズできる人向けだからiPhoneのほうがいい」と言ったのに、最終的にはAndroid端末にしていた。
スマホ選びに作用した要素:
- 今Androidを使用していて、使い勝手が変わるのが困る
- 店員さんのおすすめ
- 知り合いがAndroidだから
歳を取ると買うもののスペックより買うとき/買った後の満足度で選ぶ傾向が強くなる気がする。
電化製品をAmazonで最安値探して買うよりアフターケアを重視してジャパネットたかたで買う、とか。
参考になりそうなご意見
記事公開後にエゴサしまくって見つけた、参考になりそうな意見をご紹介。
「新しい操作を覚える。」って、
— 山田良治 (@seijin4486) 2019年1月4日
何回も試す
→なんとなくこんな感じで動かせるかな?って経験則を作る
→検証する。
のループやから、
「モチベーション高く接触回数の多い期間」
って状態が続くと操作を覚えられると思う。
それは若者の方が機会多いってだけな気が。https://t.co/akXfQmOuM1
以前書きましたけど、お年寄りは概念ではなく手順丸暗記で使い方を覚えようとするので、広告などで画面遷移が変わったりメニューの並びが変わったりすると混乱するんですよ。
— Nebutan::Tech (@NebutanTech) 2019年1月4日
この記事はまさにそれ、なのでUX担当者には100回くらい読み返していただきたいです。https://t.co/JFdH5NJiRo
確かに、母は画面をパーツごとに分解して理解するんじゃなくて手順を丸ごと暗記しようとしてた。
まるで頑張って頭の中にUIの自動テストを構築してるような感じで、それだと画面遷移が変わると破綻するのも納得がいく。
なぜお年寄りはスマホを使えないのか?という記事。https://t.co/IoanEszfMJ
— Minoru Matsuoka (@MatsuokaMinoru) 2019年1月9日
「加齢で記憶力が低下」は誤解だという前提知識があれば対応も変わるんだが、理解している人はとても少ない。https://t.co/KZvbD5RQKC
なぜお年寄りはスマホを使えないのか? https://t.co/5GLG6tapxe
— ぞい(AI) (@aoba_ej) 2019年1月9日
自分が観測した範囲では、デジタル機器に疎いアナログ世代の人は"1ボタン1機能"がUIの大前提としているように感じた。
同じ場所にあるボタンが状況によって機能が変わるのが概念として無いようだった。
今のTVのリモコンってやたらボタン多いなぁと思ってたけど、ボタンの場所と機能セットで覚える人が多いからってことなのかな。
Androidでは各社簡単に使える代替ホームを用意しているので、それを使えばいいのに、そういう事を設定してやらずに、「あいふぉーんのほうがいい」とか言っちゃう著者にもだいぶ問題があると思いました。
http://b.hatena.ne.jp/entry/4662640266645050017/comment/TakamoriTarou
そういうのがあるのは知らなかったですが、自分の母の場合は新しく使い始めたのではなくもともとしばらく使っていたので、設定変えて急にUIも変わるとまた困るんじゃないかなぁと。
最後に
自分の母親はなかなか覚えられないながらも頑張って使い方を覚えようとしていたので、自分も何度も丁寧に教えたつもりです。
皆様もお年寄りにスマホを教える機会があってもイライラせずに丁寧に接しましょう😇
他にも「自分はお年寄りに教えていてこういうことがあった」とかご自身の考えがあればコメントにぶら下げてもらえると助かります。