はじめに
Adventカレンダー「エンジニアのためのWebマーケティング」の10日目です。
サクッと読める記事を目標に。異論・ツッコミ大歓迎。
できるだけ専門用語を使わないように気をつけます。
それでは参りましょう
UIとUX
仰々しいタイトルをつけていますが、自分も学びの身です。
UIは、User Interfaceの略で
UXは、User eXperienceの略です
前者は、文字通りインターフェイスのことであり、
後者は、体験を表しています。
User Interfaceとは
- システムを利用する際の効率や効果または、満足度を評価する
- 客観的な評価である
- 利用者の状況に左右されずに、「誰が見ても・誰が触れても」良いと思われるもの
つまり、優れたUIとは、
万人が「使いやすい・使ったときの効果が大きい・使ったときの満足度が大きい」
ということになる。
一言で表すのであれば、いかに「使いやすい」と思うかどうか
User eXperienceとは
- ユーザーに特別な体験をもたらせられているか
- 主観的な評価
- 利用者の内的状態及び利用状況に左右される
- 人間の承認欲求を満たしたり、刺激を得られるような『快楽的な品質』の側面をもつ
優れたUXとは、
利用者にとって「自分の欲求に数多く・深く答えてくれる」
ということになります。
一言で表すのであれば、いかに「使いたい!」と思うかどうかです。
UIとUXの違い
上記の記述をまとめて、もう少し文書的な言い回しをするのであれば
UIは、「客観的に使いやすい指標」
UXは、「主観的に自分の欲求を満たしてくれる指標」
になります。
と、辞書的な回答をしたところでピンとこないと思うので、例えてみましょう。
寿司屋の例
たとえば。高級なお寿司のお店は、UIが優れています。
大将が新鮮なネタを握ってくれますし、
味も誰が食べてもおいしいです。
自分が食べたいと思うネタが頼めばすっと出てくる。
本当に素晴らしいインターフェイスです。
(ここでは便宜上、寿司屋のインターフェースを考えるとしたら?で記述しています)
以上の事を踏まえると、誰が見ても良い店というのがわかります。
これは良いUIの例です。
でも、ベジタリアンの人がきたらどうでしょう?
野菜しか食べれないのに、魚がメインの寿司屋に連れてこられたら、それは最悪の時間になります。
これは**「ベジタリアンの人にとっては」UXが優れていない**ことになります。
(あくまでベジタリアンの人たちは、です)
プロポーズの瞬間
公園のベンチで。
とあるカップルが、愛の言葉を語り合っているとします。
片方が立ち上がり、相手に対して「結婚してください」とプロポーズをしました。
言われたほうは感激で涙を流している、そんな状況・・・。
別にその公園の環境は客観的に特別優れた場所なわけではないです。
雨でぬれるかもしれないし、他の誰かが聞いているかもしれないし、虫が飛んでくるかもしれない。
つまり、公園という場所は、そんなにUIが優れた場所ではないのかもしれません。
でも、素晴らしい体験があれば、そこはとても思い出深い場所になります。
プロポーズをした方、された方、ともに公園という場所は素晴らしいUXを提供してくれた場所になります。
他の人からみたら、心温まることはあるかもしれませんが、同じように感動するとは限りません。
インターフェイスではなく、体験が優れている例です
色弱等の人向けのコントラスト変更機能
ご存知の人もいるかもしれませんが、
iPhoneにはユーザービリティを向上させるために、一部の人向けに「色を反転させる」という機能があります。
しかし、この機能は万人にとって使いやすくなる機能ではありません。
いや、むしろ多くの人は使いにくくなる可能性だってあるかもしれません。
つまり、大勢の人は、UIが悪くなるかもしれないということです。
誰もが見やすくなるというわけではないですが、
この機能を必要としている人達は「iPhoneの操作がしやすくなってよかった!」
と喜んでいる事でしょう。
デザインに応用してみる
では
使いにくい製品は、悪い製品なのか?
使いやすい製品は、良い製品なのか?
ちょっと考えてみましょう。
その先に自分の欲求を満たしてくれることが見えるか
例えば以下の場合
実例1 難易度の非常に高いゲーム
難易度が高いというのは、UIが決して優れているわけではないものの、実際にクリアしたときの感動はひと塩です。人を選ぶかもしれませんが、素晴らしい体験が待っている予想をする人もいます。
難しいからと言って、クソゲーなわけではないはずです。
実例2 パソコン(OS)の操作を初めて覚える時
さて、パソコンはUIが優れたツールなのでしょうか。僕は否だと思います。パソコンそのものの学習コストは非常に高く、ア○バなどのそれ専門の学習施設があるのが何よりの証拠です。
もちろん、マウスやキーボードという入力機器はシンプルでわかりやすい設計になっていますが、「自分が目的を果たすために何をしたら良いのか」は非常にわかりにくい構造になっています。
でも我々は、パソコンを使いますよね?
Qiitaの読者の皆さんなら、むしろヘビーユーザーの方も多いはず。
それは、その先に我々の問題や欲求を解決してくれる素晴らしい体験が待っているからです。
UXが「主観的である」ことがわかる出来事
先程から、
UIは客観的であり、UXは主観的だと言う話をしてきましたが、主観的であるということは「観測者によって価値が変わる」ということです。
エンジニアのみなさんは、以下のような体験がありませんか?
便利だと思って導入したツールの受けがイマイチだった
自分がとても便利なツールを発見し、「これは組織で使うべきだ!」と感動したとします。
早速上司にプレゼンをし、めでたく導入となりました。
しかし同僚から出た声は・・・
- 「使いにくい」
- 「前のほうが良かった」
- 「逆に手間が増える」
- 「なんのメリットがあってこれ使うの?」
- 「配色が好きじゃない」
こんな経験ないでしょうか。
自分にもたらす感動は万人の感動ではない
先程、UIが多少悪くても、UXが良ければそれを魅力に感じ使う人はいるという話をしました。「ツールの導入者」と「ツールの使用者」という立場が変わった結果、「ツールの使用者」には導入者と同じようなUXが見えなかった場合、UIもUXも両方悪いという最悪の事態を招いてしまいます。
UXが主観的であるがゆえの罠が、こういうところに潜んでいます。
UI/UXは一緒に考える
ここまで読んだみなさんなら、もうおわかりかもしれませんが**「UI/UX」は一緒に考えて設計する必要**があります。
例えば、先程の例をより具体的にして、ワークフローのようなシステムを想定してみましょう。
ツールを導入して恩恵を受ける=体験を実感するのは承認をする立場の人たちが多いと思います(勿論、その限りではない場合もありますが)
逆に、ワークフローを上げる人は「如何に効率よくツールが使えるか」を重視します。ワークフロー挙げなくても済むなら、それに越したことないですもんね。
導入した人間が描いたUXを、他の利用者から同意が得られない場合でも、「使いやすいでしょ!」「これが一番わかり易いでしょ!」「効率的でしょ!」というようにUIの方向性からプレゼンテーションをすることができれば、メリットをアピールすることは一応可能です。
もちろん、利用者も素晴らしい体験を得られる要素があるという、UI/UXともに優れているのが一番の理想です。。
結論
つまるところ、アプリケーションをデザインするときは
- このツールを使うことで利用者のどんな欲求が満たせるのか
- このツールを使うことでどんな作業が効率化されるのか
- 総じて、ツールを使った満足度を如何に最大限に持っていくか
以上の点を総合的に考えて、設計をする必要があります。
ちなみに・・・
UXに興味を持ったら、「Marc Hassenzahl」という人をググってみてください。色々と論文や記事が出てきます。
どうでもいい話
WindowsとMacOSは、それぞれUI/UXの重きを置く場所が違うように感じます。
UIで思い出したんですが、GUIとCUIを
「ジーユーアイ」「シーユーアイ」と呼ぶ派閥と
「グイ」「クイ」と呼ぶ派閥に別れますよね。
みなさんはどちらですか?
おわりに
明日は、「広告の直接的な効果と間接的な効果」について、です。