ハードディスクは「パーティション」と呼ばれる部分に分割して利用します。ディスク全体をひとつの領域とする場合にも、全容量を割り当てたひとつのパーティションを作る必要があります。
ハードディスク全体のパーティションの情報をパーティションテーブルと呼びます。パーティションテーブルの管理方式は従来のMBR(Master Boot Record)と新しいGPT(GUID Partition Table)の2種類。
●MBRでは、パーティションには基本(Primary)パーティションと拡張(Extended)パーティションがあり、基本パーティションは 4 個までしか作成することができません。それ以上の数に分割するためには、基本パーティションのひとつを拡張パーティションとして割り当て、そのパーティションをさらに論理(Logical)パーティションに分割します。
これらパーティションに関する操作には fdisk というコマンドを使用します。
fdisk [-l] デバイス名
サブコマンド
・m サブコマンドのメニュー表示
・l パーティションタイプの一覧表示
・n パーティションの作成
・d パーティションの削除
・p パーティションテーブルの表示
・t パーティションタイプ(システムID)の変更
・w パーティションテーブルの変更を保存して終了
・q ペーティションテーブルの変更を保存せずに終了
※「-l」オプションは指定したデバイスのパーティションテーブルを表示しますが、指定しない場合は、指定したデバイスのパーティションを対話的に操作することができます。
※作成したパーティションを利用するには、「mkfs」や「mke2fs」コマンドを利用してパーティションにファイルシステムを作成する必要があります。
また、作成したパーティションをスワップ領域として使用するには「mkswap」コマンドを利用
●GPTでは基本パーティションが128個作成できるようになっています。そのため拡張パーティション、論理パーティションという考え方はなくなりました。また、MBRにあったハードディスク容量が2.2TB(2TiB: テビバイト)までしか管理できないという制約がなくなり、理論上9.4ZB(8ZiB: ゼビバイト)までの容量のハードディスクを管理することができるようになっています。
GPTでのパーティションに関する操作には gdisk というコマンドを使用します。
各パーティションはただの領域であり、それだけではデータの読み書きに利用することができません。
パーティションをファイルシステムで「フォーマット」することで、ファイルを単位としたデータの管理が行えるようになります。
この操作には mkfs などのファイルシステムを作成するコマンドを使用します。
そして実際にファイルの読み書きを行うためには、さらにそのファイルシステムを現在のルートファイルシステム上のどこかにマウントし、ルート (/) からのパスを使ってアクセス可能にしなければなりません。
この操作には mount コマンドを使用します。
したがって、新しいハードディスクを Linux システム上で利用するためには
- パーティションを切る(基本パーティション、拡張パーティション、論理パーティションを作成)
- 各パーティションをフォーマットし、ファイルシステムを作る
- 作ったファイルシステムをマウントする
という手順を踏む必要があります。
●パーティションの種類
・基本パーティション
基本パーティションは1つのハードディスクにMBRだと最大4個、GPTだと最大128個作成することができます。また、それぞれのパーティションにはファイルシステムを作成することができます。ファイルシステムを作成することで、パーティション内でファイルやディレクトリのようなデータを扱うことができるようになります。
1番目のSCSIハードディスクの基本パーティションは以下のように表します。
・/dev/sda1 1番目のパーティション
・/dev/sda2 2番目のパーティション
・/dev/sda3 3番目のパーティション
・/dev/sda4 4番目のパーティション
なお、MBRでは基本パーティションのうち1つを拡張パーティションにすることができます。
・拡張パーティション
論理パーティションを作成するためのパーティションです。拡張パーティションにファイルシステムを作成することはできません。
拡張パーティションは基本パーティションの1つに割り当てますので、上記のSCSIハードディスクの場合、表記は「/dev/sda1」から「/dev/sda4」のどれかになります。
・論理パーティション
論理パーティションは拡張パーティション内に作成します。MBRで管理するハードディスクにおいて、基本パーティションのみでは足りない場合(パーティションが5つ以上必要な場合)に論理パーティションを利用します。それぞれのパーティションにはファイルシステムを作成することができます。
なお、論理パーティションは作成された基本パーティションの数に関わらず、5番目のパーティションからの表記となります。上記のSCSIハードディスクの場合、「/dev/sda5」からです。