はじめに
現在ではインターネット上で将棋を気軽に指すことができ,便利な世の中になったと感じてます.ただ,三級あたりからレートが急に上がらなくなり,初段になかなか到達できなくて世の厳しさを思い知らされた経験があります...
そこで,有難いことに棋譜データの公開によって分析がしやすくなったので,一級の棋譜と四段以上の棋譜を比較し,昇級につながるヒントが得られるか調査しました.
棋譜データ
- アプリケーション :将棋ウォーズ
- 対戦カード :一級vs一級,四段以上vs四段以上※
- 対局モード :10分切れ負け,通常,平手
- 取得期間 :2022/08/30~2022/10/20
- データ数 :約2500対局 ×2
※ボットの判定はしていません m(_ _)m
比較する項目
-
終局までの手数
終局まで何手かかったかを一級と四段以上で比較します.高段者はうっかりミスをしなさそうなので長手数になるのかも? -
手筋
「垂れ歩」とか「ふんどしの桂」とかです.一対局あたりの出現数とか割合を比較します.手筋の数は高段になるほど増えそうですね. -
戦型
使用された戦型の割合を比較します.高段になるほど角換わりのような定跡が多い戦法が増えそうです. -
囲い
使用された囲いの割合を比較します.個人的には矢倉の使用率が気になります.
手筋,戦型,囲いは実は棋譜データから簡単に取れるんです!下の画像のような「〇〇.kif」のファイルによく載ってます.嬉しい.
結果
若干ですが高段者は長手数の対局が多いように見えます.しかし,2群の平均値に有意な差があるとは言えない,と出たので比較の考察は難しそうです...
stats.ttest_ind(tesu_1k, tesu_4d, equal_var=False)
>>>
Ttest_indResult(statistic=-1.435889429397662, pvalue=0.15109683568307125)
- 一局あたりの手筋の数:
一級:1.09, 四段以上:1.10 - 一級・高段,それぞれで使用された手筋の割合:
一局あたりの手数の数は,予想と反して差が見られませんでした.
割合を見ると,一級は「ふんどしの桂,桂頭銀」が相対的にやや多く,高段は「垂れ歩,継ぎ桂」がやや多く指されていました. 手筋の難易度と相関があるように思えます.
相対的に,一級は「四間,右四間,棒銀」が多く,高段は「角換わり,向かい飛車,対振り持久戦」が多かったです. 右四間と棒銀は受けを知らないと一方的に攻められるので,使用率が高くなるのは納得です.
相対的に,一級は「居玉,elmo」が多く,高段は「左美濃,居飛車穴熊」が多かったです. 居玉が多いということは急戦が多いのでしょう.筆者も居玉で決戦することがよくあるので,高段者を見習って居玉は避けようと思います...
まとめ
昇級のヒント:
- 居玉は避けよ!
決定的なのはこれぐらいでした.断言はできませんが,棒銀は高段者に通用しにくいようです.