画像処理の基本(なにがすごいのか、なにが難しいのか)
前回の記事→「サルでもわかる画像処理講座 はじめに」
画像処理とは
そもそも画像処理とは、デジタル画像から何らかの情報を取り出す(または取得しやすくする)ために行う処理のことで、例えば、インスタグラムなどでよく見るような「人間の眼で美しく映えるようにする」ことや物体検出などで必要とされる「特定の物体をコンピュータに理解(処理)させやすくする」ことなど、様々な目的があります。
前者では、もっと鮮やかになるような
処理をすることが必要です。
1.1 入力画像 | 1.2 処理画像 |
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暗い印象 | 鮮やかな印象 |
「1.2 処理画像」は、「1.1 入力画像」に比べるとだいぶ印象が変わると思います。
後者では、その物体の特徴を強調するような
処理をすることが必要です。(ex. 人を数えたい場合)
2.1 入力画像 | 2.2 処理画像 |
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人がよく見えない | 人がよく見える |
「2.1 入力画像」では、よく見えなかった人の姿が、「2.2 処理画像」だとはっきりと見えるようになっていると思います。
さらに、服の色が赤と青の人だけを強調してみます。
3.1 入力画像 | 3.2 処理画像 | 3.3 処理画像 |
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人がよく見える | 赤い服を着た人 | 青い服を着た人 |
少し見づらいですが、それぞれちゃんと取れていることがわかると思います。
ちなみに手前の緑色の草を強調してみると、こんな感じです。
3.4 処理画像 |
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手前の緑色の草 |
このように、目的に応じて様々な画像処理技術を使い分けることで、画像内から文字や物体を検出することができるのです。
画像処理のなにがすごいのか
やはり、1番のメリットは「自動化できること
」です。
「10,000枚の画像内に赤い服を着ている人が何人いるか」を知りたい場合、画像処理でコンピュータが理解できる形に変換して処理することで、人の眼で行うよりも時間とコストが大幅に削減できます。
また、一定の基準で判断する
ことができるので、人の眼で行うよりも正確で品質が安定
します。
一定の基準で判断するということは、間違った判断をした時にもしっかりとした理由があるため、改善が素早く行えるということでもあります。
さらに、人間の眼には見えない(見にくい)ものをとらえることができたり、対象物に触れることなく計測することができます。
例えば、上記の「2.2 処理画像」で示したように、逆光で見えないものを可視化して計測することなどができるのです。
これらすべてが、時間とコストの大幅な削減を可能にしています。
画像処理のなにが難しいのか
やりたいことを実現するためにどの処理が適しているのか、アルゴリズム・パラメータを考案・調整
することが最も難しいです。
例えば、上記の「3.2 処理画像」で示したように、赤い服の人のみを強調する場合、太陽の赤や手前にある橋の赤も一緒に取れています。これらの切り分けができないと自動化することはできません。
また、前回の記事で示したように、いつもきれいに硬貨が並んでいたり、はっきりと文字が見えている画像ばかりとは限らないのです。
そのような状況でも、物体や文字を検出できるように処理を考える必要があります。
さいごに
今回は、画像処理のすごいところ・難しいところを解説しました。
次回は、「そもそも画像とは(JPG,PNG,GIF,BMP)」をテーマに書いていきます。
それでは引き続きよろしくお願いいたします。
目次は以下の記事からご覧になれます。