はじめに
こんにちは、九州大学理学部物理学科1年の東山空人です。橋本幸士先生の『学習物理学入門』では、これまでのゼミの根底を覆す、画期的な取り組みが行われています。つまり、1人でゼミができちゃうのです。今回の記事では、この革新的な本(というよりAI?)についてちょっぴり解説しますね。
背景
2024年のノーベル物理学賞が、「人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的発見と発明」(John J. Hopfield, Geoffrey E. Hinton)に与えられたのは記憶に新しいですよね。僕はYouTubeでリアタイしていて、発表当初、本当にびっくりしました。これは物理なのか…?(愚問)
その後、11月16日に日本物理学会九州支部例会が福岡工業大学で行われまして、学部1年生ながらこれに参加してきました。その際(奇跡的なキャスティングですが)橋本先生の特別講演を拝聴することができました。機械学習は非線形現象を理解するための関数基底(関数近似の手法)のようなもの、宇宙の構造とニューラルネットワークは非常に似ているかも、などなど興味深い話が盛りだくさんでした。帰ってすぐに『学習物理学入門』をAmazonでぽちったのは想像に難くないでしょう。
How to 1人ゼミ
さて、いよいよ本題ですね。どうやって1人でゼミをするのか?答えはAIとの対話です!この学習物理学入門、解説用のAIボットが付属しているのです。著者の1人、三内顕義先生が構築なさったそうです。(すごい)
例えばこの本の概略を聞いてみると…
めちゃめちゃ詳細に教えてくれました。
もちろんこんなこともできます。
(中略)
いわゆる「行間埋め」がAIと一緒にできちゃうわけです。まさに革命。
重大な欠陥と結論
しかしながら、1人ゼミ、重大な欠陥を抱えています。AIの問題ではありません、もっと根本的な問題です。(基本的にこいつ、めちゃめちゃ賢いです。)問題は、そう、1人ゼミがとっても寂しいことです。AIの返事に唸ることは多々あります。けれども、やっぱりゼミの醍醐味は、みんなで質問投げかけあって、時に批判して、脱線して、終わった後も学食で議論して…っていうあのワイワイの雰囲気なのです。ですから、AIをゼミメンバーの1人と考えて、たくさんの人間とAIのチームで学ぶのが1番だと思います。そうしないと、AIもなんだか寂しそうじゃありませんか?
というわけで、僕の記事はこれでおしまいです。いかがでしたか?AIと人間の垣根がない世界は、すぐそこまで来ているのかもしれませんよ。(信じるか信じないかはあなた次第)
参考文献
学習物理学入門 Introduction to Machine Learning Physics 編:橋本幸士 著:富谷昭夫/橋本幸士/金子隆威/瀧雅人/広野雄士/唐木田亮/三内顕義(2024,11/1) pp17
The Nobel Prize press release (2024,10/8)
https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2024/press-release/