連日、日本中ををわかせてくれたサッカー日本代表。
学びに貪欲だとこういうところからも何かを学び取り、日々の仕事に活かせないか考えてしまうのです。
今回はサッカー日本代表のワールドカップでの戦いぶりなどを見て実際に「チームとはこうあるべきだよな」と感じたことをいくつかピックアップできればと思います。
なお、私は現在エンジニアマネージャーとして6人のチームメンバーと一緒に日々プロダクトの開発をしています。
※1年ほど前に書いた記事↓
※半年くらい前に書いた記事↓
チームとはなにか
wikipediaを調べてみると、
チーム(英: team)は、活動をともに行う集団。共通の目的、達成すべき目標、そのためのやり方を共有し、連帯責任を果たせる補完的なスキルを備えた少人数の集合体を理想とすることがある。
という記述があります。上手いことまとまってて分かりやすいです。
ポイントとしては
- 共通の目的、達成すべき目標、そのためのやり方の共有
- 補完的なスキルを備えている
あたりでしょうか。
サッカー日本代表から学んだ「ここは学べる」というところ
森保ジャパンを見ていて「ここは学べるな」と感じたことをいくつかピックアップしてみます。
※サムライブルー↓
https://www.jfa.jp/samuraiblue/squad2022/
目的、目標が共有できている
メディアでも報じられている通り、ベスト8以上を目標に掲げていました。
またそれは監督(マネージャー)が言っているだけでなく、選手各位がインタビューなどで気持ちをあらわにしています。
「新しい景色」という言葉でも形容されていた通り、チームの中で目指すべき目標が共有されていたものと考えられます。
戦術の共有が出来ている
今回の大会では、とにかく守備を固めて、前からプレスをかけて、ボール奪取と同時に一気に攻め込む、いわゆる「引いてカウンター狙い」の戦術をベースにするため、それを実行できる26名を選考したように感じます。
試合前にはミーティングで、どのようにこの試合を進めていくか、ハーフタイムでフォーメーションや戦術を変えるかどうかなど、こまめにコミュニケーションをとって、どのように戦うのかをチーム全体で共有できていたように思います。
その結果として組織的な守り(ゾーンディフェンスとも言うらしい)が機能し、そこからのカウンターで相手ゴールを脅かす瞬間を何度も演出していだと思います。
お互いを理解している
カウンター攻撃はスピード勝負のため瞬時の判断が結果を左右するんだろうと思います。
その際に毎度毎度考えてる暇はないので、誰がどのようなストロングポイントがあるのか熟知しておく必要があると思います。
三笘選手が左サイドのドリブルでドイツ、コスタリカ、スペインの選手をチンチンにしていたのは、「三笘は1人で打開できるドリブルのスキルとスピードがある」ということが選手間で共有されていて、あそこにパスを出し、数的不利にならないよう相手ディフェンダーを引き付けておけばOKという認識があったという側面もあると思います。
自分の役割を理解している
冨安選手のインタビューで「ウイングバックであっても、ディフェンダーの役割はまず0点に抑えること」という言葉がありました。
3バックの時のウイングバックは、4バックのサイドバックに比べ、攻撃参加の機会が増える印象がありますが、とはいえマストは0点に抑えるという点が理解できている発言だと思いました。
前田大然選手は60分で60スプリントをしていたみたいですが、自分がなぜ選ばれてなぜ使われているのかを理解した働きだったんだろうと思います。
ドイツ戦で、板倉選手から浅野選手にロングパスを通し、2点目に繋がったあのプレーは、板倉選手が、浅野選手の走力とフィジカルの強さを理解していないと出せてなかったんじゃないか?と思える素晴らしいプレーだったと思います。
個人のレベルが上がっている
スペイン戦の後半、相手両サイドバックは、ジョルディ・アルバ(バルセロナ)、ダニエル・カルバハル(レアルマドリード)の2人でした。
世界トップレベルのスペインリーグ(ラ・リーガ)でもトップレベルのチームでプレーしている選手です。
カルバハルとは三笘選手が対峙しましたがスピード面で圧勝、アルバのサイド攻撃に対しては冨安選手が完全に封じていました。
日本選手の能力が世界的なトップレベルの選手と戦っても負けないレベルになってきているということを、大舞台で証明して見せたのです。
またそこに至るには、ヨーロッパなどの常に厳しい環境に身を置き、その中で個の能力を高める選手が増えてきていることも要因の一つだと思います。
エンジニアのチームに置き換えてみる
目的、目標が共有できている
チームジャーニーという本を読むと、最初に書かれている「私たちは何者なのか」「私たちは何のためのチームなのか」というあたりをメンバー間で共有して、コンテキストを埋めておく必要があります。
一つの方法論としてはマネージャーやリーダーが「mission」「vision」を決め、メンバーと共有。
そこに対しチームでディテールの理解とすり合わせ、違和感があれば変更をするというプロセスで、チームとして違和感のない状態を作るということができます。
優先順位付けに迷う時、何を重要視し、何を優先するか、この共有ができていると、常にマネージャーの判断を待つ事なくやることができることも増えます。不安であれば判断根拠を示しながら助言を求めればあなたのチームのマネージャーはサポートしてくれます。
戦術の共有が出来ている
エンジニアの組織の戦術となると、目標、目的に向かって何をどのように進めるのか?という点です。
私のチームでは「誰がコケてもカバーできる状態」というのをvisionに掲げているので、知識の共有をかなり重視しています。
その際に「勉強会」という戦略では科学的に効果があまり期待できないということが明らかなので、サブシステムやプロダクトに関するドキュメント作成と、new comer向けを想定した設定課題作成(「こういう使い勝手を実現してください」的な問題作成)を通して作った人の理解度を爆上げしつつ、設定課題に取り組んだ人は実際に画面などを手を動かして理解していくアクティブラーニング状態による理解度爆上げを期待して取り組んでいたりします。
この背景やメリット深くを理解していなければ、かなり地味な仕事なので、続けられません。さらに、量が果てしないので毎週30分〜1時間各自が工数を出して効率よく進める必要もあります。
そういう意味でもやってる仕事の意味、意義、価値を正しく深く理解すること、共通認識とすることが重要だと思います。
お互いを理解している
エンジニアのチームであれば、誰が何に詳しいのか、どういう問題解決が得意で、どういう仕事が好きで、どういうことが苦手か?のようなチームメンバーのストロングポイントとウィークポイントだけでなく性格も理解しておくことで、より仕事がしやすくなります。
先輩だから、マネージャーだからという理由で質問しても「知らねー」となる領域はあるし、逆に後輩がそこに詳しかったり。
普通の人は嫌うかもだが、あの人はこういう仕事上手くやるからあの人に任せようとか。
相手を理解することで、自分に必要なアドバイスを提供してくれるかどうか?を判断できるし、どういう仕事を切り出したら助けてもらいやすいか?もわかるので、仕事しやすくなります。
そしてこれはマネージャーに限った話ではなくメンバーレベルでも常に意識すべき事です。
自分の役割を理解している
チームの目的、目標や、お互いの強み弱みを理解することと同時に、自分の強み弱みを理解することで、「自分は何を発揮すれば良いのか」も分かるようになってきます。
全員がやれるものを当たり前にできるのも良いことですが、チームの中で自分が最も得意な領域を認識してそこを伸ばすことで、チーム力の底上げになります。
求められる役割については、常にマネージャーとコミュニケーションを取り、チームメンバーの能力を把握して、「この部分では俺は負けない」というところで確実に成果を出し続けることを意識することが重要です。
個人のレベルが上がっている
これはもう日頃の学びを最大化し続けることが重要です。
座学とかではなく、日々の仕事から実践の中での学びを最大化するための「学び方」を学びます。
ただただ目の前のタスク消化になると勿体無いし、得られるものも限られます。成長しないことはないですが、遅くなります。
ピンとこない場合は以下を意識すると良いかもしれません。
- 教わったことを自力でできるように、もう一回同じものか、似たようなものを自力でやる
- 同じようなことをもう一度やる場合に、もっと早くやるために無駄がなかったか振り返り、無駄を省いたらどう進められたかイメトレする
- このタスクを通して自分は何を伸ばすのか?キャリアに対しどのような経験として積み上げることができるのか?を意識する
最後に
今回は、チームスポーツの中でも、最もチームとしてのパフォーマンスが要求される競技の一つであるサッカーに絡めて「チーム」について考えてみました。
スクラム開発やチーム開発では当然のことながら、所属が同じ、上司が同じであればだいたいチームとして定義できると思います。
今回記載した「チーム」という概念に目を向けて、考えていくことで、より良いパフォーマンスを各々が上げていくことができると信じているし、その結果組織としてもパフォーマンスを上げていけるだろうと信じています。
併せて、一緒に仕事してるこの記事を読んでる人達に対しては、ワールドカップからでも学びとってる人間がいるんだと、ただ夜更かしして眠いとか言ってるだけじゃないんだと、学ぼうと思えばいろんなことから学び取れるんだと、そう言うあたりを認識してもらって自分の成長に活かせることはないかな?と考えてもらうきっかけになれば良いなと思います。