はじめに
はじめまして。私は現在、BIPROGYのデザイン組織で新規ビジネス向けのUXデザインを担当しています。10年間のエンジニア経験をベースに、新規ビジネス企画、UXデザイン、データ分析と、常に新しい領域にチャレンジしてきました。この多面的な経験を活かし、技術的な実現可能性とビジネス価値、そしてユーザー体験を結びつけることに取り組んでいきたいと考えています。
※BIPROGYにおけるUIUXの取り組み全般については、以下の記事でご紹介しています。
アイデア力は才能じゃない!
「アイデアが出ない…」そんな悩み、ありませんか?
実は…、アイデアって特別な才能やヒラメキだけじゃないんです! 私も現場でUXデザイナーとして働いていて気づいたんですが、すごいアイデアを出せる人たちには共通点があるんです。それは...効果的な「アイデーション手法」をちゃんと使いこなしている ってこと!
今回は、私が実際の現場で使って効果バツグンだった 6個の手法を紹介します。これらの手法を知っておくだけで、アイデア出しがグッと楽になります。
なお、アイデア出しにおける基本ルールです。
- まずは量を重視する : たくさん出すことを意識、質より量!
- 他者のアイデアを活かす : 他の人のアイデアは否定せず、むしろ発展させよう!
- 判断を保留する : 「これダメかも...」って考えるのは後回し!
さあ、実践的なアイデーション手法の世界へ飛び込んでみましょう♪きっとアイデア出しが楽しくなるはずです
本来、UXデザインのプロセスでは、アイデーション前に「誰のため?」「どんな課題を解決したい?」といった目的やターゲットユーザー(ペルソナ)の設定、課題やニーズの分析などが必要ですが、今回は、アイデアを出すテクニックに焦点を当てて紹介していきます。
現場で使える!アイデーション手法6選
1. ブレインストーミング

- 概要
- 集団で自由に意見を出し合うことによって新たなアイデアを生む手法
- やり方・ルール
- 以下のルールを厳守し、時間を区切って(例:10〜20分)自由に意見を出し合う。ホワイトボードや付箋などを活用すると効果的
- 質より量:思い付きの発言でOK。良い悪いを評価しない
- 共同作業:他人の発言に乗り、しゃべりながらメモに残す
- 簡潔明瞭:短く、簡単で分かりやすい文章で表現する
- 以下のルールを厳守し、時間を区切って(例:10〜20分)自由に意見を出し合う。ホワイトボードや付箋などを活用すると効果的
- メリット・デメリット
- メリット:参加者の多様な視点を得ることができる。チームの結束を高める効果もある
- デメリット:支配的な参加者が意見を独占することや、グループシンク(集団思考)に陥るリスクがある
- こんな人・チームにおススメ
- まだ何もアイデアがないとき、自由にアイデアを発想したいとき
- 参加者全員がルールを守り、平等に発言できる環境が整っている
- 参考
2. ブレインライティング

- 概要
- 回覧板の様にアイデア発想シートを回していき、前の人のアイデアを借りてアイデアを広げていく手法
- やり方・ルール
- テーマの選定:アイデアを出したいテーマを設定する
- 準備:紙(アイデア発想シート)を用意する
- アイデアの記入:各参加者は自分のアイデアを一行目に書き出す
- シートの回覧:時間が来たら、シートを隣の人に回す
- アイデアの追加:次の参加者は、前の人が書いたアイデアを参考にしながら、新たなアイデアを追加する
- ステップ4と5を繰り返す
- メリット・デメリット
- メリット:全員が平等に意見を出せ、発言が苦手な人の声も引き出しやすい
- デメリット:テーマが不明確だと、参加者がアイデアを出しにくくなるため、事前にしっかりと設定しておくことが重要
- こんな人・チームにおススメ
- チームに内向的な人が多い(自由な発言の場だとなかなか意見を出しにくい人がいる)
- 参考
3. クレイジー8

- 概要
- 1分程度の限られた時間内に8つの異なるアイデアを紙に描き出していく手法
- やり方・ルール
- テーマの選定:アイデアを出したいテーマを設定する
- 準備:紙を用意し、8つのマスを描く
- タイマーの設定:8分間のタイマーをセットする
- アイデア出し:1分ごとに1つのアイデアをマスにスケッチし、次々と新しいアイデアを描いていく
- 2サイクル目の実施:再度、ステップ2~4を実施する
- メリット・デメリット
- メリット:時間的制約が創造性を刺激し、思考の限界を超えた奇抜なアイデアを生み出せる
- デメリット:実現可能性の低いアイデアが多く出る可能性がある
- こんな人・チームにおススメ
- 固定観念を打破したい、まさにクレイジーなアイデアを求めている
- 即興的なアイデア出しが得意な人が多い
- 参考
4. マトリックス法

- 概要
- 縦軸と横軸(行と列)に異なる要素を配置し、各領域における新しいアイデアを生み出す手法。中でも「クリエイティブマトリクス」がよく使われ、各軸に異なるカテゴリーを設定してテーマを組み合わせることでアイデアを出す
- やり方・ルール
- テーマの選定:アイデアを出したいテーマを設定する
- 軸の設定:縦軸と横軸に異なる要素を設定する(関連性があるが異なる視点を持つ要素が望ましい)
- アイデアの生成:各領域に対してアイデアを出す
- メリット・デメリット
- メリット:ビジュアルで分かりやすい
- デメリット:軸の設定によってアイデアの質・量が大きく変わる
- こんな人・チームにおススメ
- 評価基準(=軸)が明確な活動
- 体系的なアイデア出し、アイデアを構造化したい場合
- 参考
5. シックスハット法

- 概要
- 6色の帽子が象徴する異なる思考スタイル(客観・感情・否定・肯定・創造・俯瞰)を用いて、多角的な視点からアイデアを生み出し、問題解決を図る手法
- やり方・ルール
- 各参加者は、指定された色の帽子をかぶり(イメージしながら)、その役割に沿って各人が数分間意見を述べていく
- 白色の帽子:客観的・中立的な視点。客観的なデータや事実に基づく分析
- 赤色の帽子:感情的・直感的な視点。感情や直感に基づく意見表明
- 黒色の帽子:否定的・消極的な視点。リスクや問題点の指摘
- 黄色の帽子:肯定的・楽観的な視点。メリットや可能性の探求
- 緑色の帽子:創造的・革新的な視点。新しいアイデアや解決策の提案
- 青色の帽子:俯瞰的・統括的な視点。議論全体の管理と整理
- 各参加者は、指定された色の帽子をかぶり(イメージしながら)、その役割に沿って各人が数分間意見を述べていく
- メリット・デメリット
- メリット:多角的な視点からの検討が可能。感情と論理を適切に分離できる
- デメリット:6つの視点全てを扱うため時間がかかる。各役割の理解と実践に慣れが必要
- こんな人・チームにおススメ
- リスク管理や新商品の開発など、複雑な問題に対してのアイデアに有効
- 参考
6. オズボーンのチェックリスト

- 概要
- 特定のテーマや問題に対して、9つの視点(転用・応用・変更・拡大・縮小・代用・再配置・逆転・結合)からアイデアを引き出す手法
- やり方・ルール
- 9つの視点に沿って順番に問いかけながら、意見を出し合う
- 転用 (Put to other uses):既存のアイデアや製品を他の用途に転用できるかを考える
- 応用 (Adapt):他の分野や状況からのアイデアを適応させる方法を探る
- 変更 (Modify):現在のアイデアや製品の特性を変更することで新しい価値を生み出す
- 拡大 (Magnify):アイデアや製品の規模や範囲を拡大する方法を考える
- 縮小 (Minify):アイデアや製品を小型化することで新たな市場を開拓する
- 代用 (Substitute):既存の要素を別のものに置き換えることで新しいアイデアを生み出す
- 再配置 (Rearrange):要素の配置や順序を変えることで新しい視点を得る
- 逆転 (Reverse):通常の考え方を逆転させることで新しいアイデアを発見する
- 結合 (Combine):異なるアイデアや要素を組み合わせて新しいものを創造する
- 9つの視点に沿って順番に問いかけながら、意見を出し合う
- メリット・デメリット
- メリット:体系的なアイデア発想が可能、検討漏れ防止。既存製品・サービスの改善に効果的
- デメリット:9つの視点全ての検討に時間がかかる。チェックリストに縛られすぎる危険性
- こんな人・チームにおススメ
- 新商品開発、既存製品・サービスの改善を目指すチーム
- 参考
使い分けのコツ:マトリクス図で整理してみた
6個のアイデーション手法をマトリクス図「縦軸:参加人数」と「横軸:アイデアの出し方」で整理してみました!これで各手法の特徴が一目でわかりますね
- それぞれの特徴
- 【右上:数人×強制発想】みんなでガッツリアイデアを出したいとき
- ブレインライティング、シックスハット法、クレイジー8は、チームの力を最大限に活かせる
- 【左上:数人×自然発想】自然な対話からアイデアを見つけたいとき
- ブレインストーミングは、チームの知恵を自然に引き出せる
- 【右下:一人×強制発想】網羅的に一人で集中してアイデアを出したいとき
- マトリックス法、オズボーンのチェックリストは、個人作業でも使える強い味方
- 【左下:一人×自然発想】じっくり考えてアイデアを見つけたいとき
- 今回ご紹介したアイデーション手法にはなし
- 【右上:数人×強制発想】みんなでガッツリアイデアを出したいとき
まとめ
いかがでしたか?今回ご紹介したアイデーション手法は、世の中に数多く存在する中の一部ですが、皆さんのアイデア出しに少しでもお役に立てれば幸いです😊
まずは気になる手法から試してみることが大切です!
アイデアに行き詰まったときは、この記事を思い出して、ぜひ活用してみてください。
きっと新しいアイデアに出会えるはずです👋
We Are Hiring!