「大いなる力には大いなる責任が伴うこと」の由来は?
君はsudoコマンドのlectureを見たことがあるか?
UNIX系OSという世界の中で、あらゆることが可能なrootユーザーのように振舞える魔法のことば、
sudo
これを唱えたとき、MPが足りない 権限が足りなかったりすると
以下のような警告が表示されます。
あなたはシステム管理者から通常の講習を受けたはずです。
これは通常、以下の3点に要約されます:
#1) 他人のプライバシーを尊重すること。
#2) タイプする前に考えること。
#3) 大いなる力には大いなる責任が伴うこと。
[sudo] [貴方のユーザ名] のパスワード:
大いなる力...
1も2も、まぁ、わかります。
プライバシーは大事だし、
本当にsudo
で実行して良いコマンドなのか、一呼吸おいて考えることが出来ます。
気になったのは、3です。(アメコミ好きなそこの貴方、気になりますよね)
「大いなる力には大いなる責任が伴うこと。」
そう、スパイダーマンにも出てくる言葉です。
英語だと、
「With great power comes great responsibility.」
リピートアフターミー。
初出は、Amazing Fantasy #15 (August 1962)のキャプションから、
ということなので、1962年からあるんですね。
※wikipedia調べ(以下、特に記載ない情報はwikipediaによります)
※ちなみに筆者は原作を知りません。ごめんなさい。
sudoとスパイダーマンどっちが早かった?
では、Linuxのsudoの警告とスパイダーマン、どっちが早いでしょうか?
sudoの歴史は、下記のsudoのプロジェクトサイトに記載があります。
https://www.sudo.ws/sudo/history.html
A Brief History of Sudo
Sudo was first conceived and implemented by Bob Coggeshall and Cliff Spencer around 1980 at the Department of Computer Science at SUNY/Buffalo.
ふむ、作られたのは1980年のようですね。
当初から「大いなる力には...」と実装していたわけではないと思いますが、
スパイダーマン(1962年) < sudo(1980年)
この時点で、スパイダーマンが元ネタだろう、という推測が成立しました。
sudoにこのセリフが導入されたタイミングや「本当にネタ元なのか?」を調べるならば、
おそらく上記のsudoプロジェクトのコミットログやメーリングリストの履歴を読み込むのがベストでしょう。
が、追っていると年越してしまいそうなので、やめておきます。
(筆者が検索した限りでは、特定できませんでした。ダンジョンに繰り出す勇者を待ちます)
スパイダーマンのこのセリフの由来は、少しネットの世界を検索してみると、
フランス語のノブレス・オブリージュ「高貴さは(義務を)強制する」や
聖書に原典を求める説もあるようです。
原典に当たることの大切さ
rootユーザーは、絶大な権限を持ちますので、
パスワードを入力させるというステップを設けることで、ユーザーに自覚を持たせ、
一時的にその権限を付与する、というsudoの設計思想には普遍性を感じられ、感服いたします。
今回、ひょんなことから、sudoのプロジェクトのWebサイトまでたどり着きました。
コマンドのヘルプにはいつもお世話になっておりますが、
各プロジェクトの原典となるサイトを訪れることは、なかなかやりません。
実際、筆者もsudoの設計思想を考えたことが無く、良い機会になりました。
この記事を読んでくださった皆様も、ぜひ普段お使いのコマンドやツールの作者の意図や意志、
その歴史を、原典まで遡って、追いかけてみてはいかがでしょうか。