VSCodeとChatGPTで開発していた自分がAIエディタであるCursorを使ってかなり生産性が向上したためこの記事を書きました。
Cursorの概要、機能、利点、注意点、モデル、料金、GitHub Copilotとの比較などを使ってみた感想を交えながら解説していきたいと思います。
自己紹介
アイレット株式会社で主にバックエンドとインフラを担当しています。
以前はChatGPTの無料プランで開発を進めていましたが、Cursorを知ってから無料プランと有料プランをそれぞれ試してみる事にしました。
Cursorとは?
アメリカのスタートアップ企業Anysphere社が開発したAIエディタです。
VSCodeをフォークして開発されているためVSCodeのUIや拡張機能をそのまま利用できます。
2023年7月にベータ版、同年12月に正式版がリリースされ急速にユーザー数を増やし注目を集めています。
2024年8月には6000万ドル(当時約87億円)の資金調達を受け、さらなる開発が加速しています。
無料プランでもプライバシーモードを設定できるため業務でも安心して使うことができます。
なぜCursorに興味を持ったのか?
自分がなぜCursorに興味を持ったかというと海外のTech系の記事まとめサイトdaily.devのトレンドで見つけた記事「スタートアップの創業者兼ソフトウェアエンジニアとして日々の仕事で使っている 4 つの AI ツール」の中でめっちゃおすすめ!!と書かれていたからです。
機能🚀
主な機能は2つあります。
1つはAIとのチャット機能で、もう一つは自動提案機能です。
チャット機能
特定のコードやターミナルの実行コマンドを選択してボタンをクリックするだけでAIとチャットで質問、エラー原因の調査、修正提案から反映までできます。
ワークスペース全体のソースコードを取り込んでいるため関連箇所のコピペなどは不要になります。
自動提案機能
マウスカーソルを当てるだけでその箇所の編集内容を自動で予測し提案してくれます。
エラーになっているところも修正内容を予測してくれます。
使い方
ボタンをクリックするかショートカット(ボタンに書いてある)で簡単に反映することができます。
反映させたら変更前後のコードが表示されて⌘Yと⌘Nボタンが表示されるため差分を比較しながら反映を取り込むか元に戻すか決めることができます。
使ってみてよかったこと🙆♀️
コピペが減った
ソースコード全体を読み込んでくれるので膨大なコピペする必要がなくなります。
ChatGPTを使っているときはコピペの範囲を考えて、フォルダの階層構造はこんな感じで、エラー文言がこれで、と説明を考える時間とコピペの時間が塵も積もれば山となっていたのですがそれがなくなるのは画期的だと思いました。
ファイルを跨いで提案してくれる
質問したいコードを選択してAIにチャットで質問すると、他のファイルも勝手に検索して全体を把握し他のファイルの修正内容も一緒に提案してくれます。
日本語のまま使える
OpenAIのモデルが多くChatGPTのように日本語のままAIとの会話がエディタ上でできます。
毎日のように新たなAIサービスが生まれていますが、日本語でそのままAI機能が使えるのは少ないので結構大事なポイントです。
AI機能の操作は覚えなくてもボタンぽちぽちで使える
AI機能にはチャットでAIに質問できる機能、次の編集内容を勝手に予測してくれる機能、エラーの修正内容を提案してくれる機能などがあります。
それらのボタン(ショートカットキーの説明付き)が表示されているので公式ドキュメントなどを見なくても使うことができました。
VSCodeのUIや拡張機能を使える
ダウンロードしたら最初にVSCodeで使用していた拡張機能をインストールしますか?のようなウィンドウが表示されるのではいを選択すると拡張機能がそのまま使えます。
UIはVSCodeに加えてチャット欄が右側のサイドパネルに表示されます。
無料でもAI機能が使える
まずインストールしてから14日間はproプラントライアルが使えます。
トライアル後、hobbyプラン(無料)になってもある程度の回数AI機能を使うことができます。
また従量課金制のAPIキーを使うことでライトユーザーは低コストでAI機能を使うことができるかもしれません。
注意点🚨
ピーク時は20秒くらい待った(無料の場合)
最初の1週間は無料で使ってみたのですが、基本的には爆速で返してくれます。ただしとある日の夜は回答が返ってくるのに最大20秒くらい待つことがありました。
VSCodeの拡張機能がCursorでは一部対応できていないものがある
CursorはVSCodeをフォークして開発したものなのでCursorで追加実装されたものとVSCodeの拡張機能がバッティングして正常に動作しないものがあるみたいです。
自分の場合はBlockmanでネストされたコード範囲を強調表示するようにしていたのですが、この拡張機能をオンにしていると選択したコードにハイライトが表示されないというバグがありissueに上がっていました。
会社のプロキシを使うとAI機能がブロックされる(解決済)
会社のVPNを使用している場合、AI機能がブロックされるという事象が発生しました。
エラー文言:
cursor if the problem persists please check your internet connection or VPN, or email us at hi@cursor.sh
これは公式サイトのよくある質問やフォーラムに解決方法が記載されていました。
解決方法はCursorの設定画面でCursor > General:Disable Http2
をオンにすることで正常に動くようになりました。
使用できるモデル💻
- GPT-4: OpenAIの大規模言語モデル
- GPT-4o: GPT-4より高速で優れている
- Claude 3.5 Sonnet: AnthropicのモデルでGPT-4oに張り合うスピードとコスト、能力はより高い
- cursor-small: Cursorの独自のモデルで軽量
- o1-preview: OpenAIの高度な推論を必要とするタスク向けモデル
- o1-mini: OpenAIのコーディングに特化したコスパの良いモデル
上記のうちGPT-4、GPT-4oは料金プランのプレミアムモデルとしてカウントされます。
Claude 3.5 Sonnetはプレミアムモデルの1/3のリクエストとしてカウントされます。
料金プラン💰
サブスクリプションでの月額制プランに加えて、APIキーを使用することで従量課金制にすることもできます。
月額プラン
インストールしてから14日間はProプランを無料トライアルすることができます。
(自分はインストール後に上記注意点のエラーで手こずってトライアル期間中にAI機能を試せなかったのでお気をつけください🥺)
項目 | Hobbyプラン | Proプラン | Businessプラン |
---|---|---|---|
料金 | 無料 | 月額20ドル | 1ユーザー月額40ドル |
プレミアムモデル使用(低速) | 50回 | 無制限 | Proプランと同様 |
プレミアムモデル使用(高速) | - | 500回 | Proプランと同様 |
cursor-small使用 | 200回 | 無制限 | Proプランと同様 |
自動補完機能(Tab) | 2000件 | 無制限 | Proプランと同様 |
組織管理 | - | - | 組織全体でプライバシーモードを適応 チーム請求 使用状況統計を表示する管理ダッシュボード |
APIキーを使用した従量課金制
各社のAPIキーによって使用できるモデルや回数、料金が異なります。
以下に各社のAPIキーを使用した場合の料金を抜粋しました。
日本語の1文字は約2トークンに相当するので1Mトークンは約50万文字になります。
1ドル150円で計算しています。
OpenAI APIキー
https://openai.com/ja-JP/api/pricing/ から一部抜粋
モデル名 | 料金 (1Mトークンあたり) | 円換算 (50万文字あたり) |
---|---|---|
GPT-4o | 2.50ドル (入力) / 10.00ドル (出力) | 375円 (入力) / 1,500円 (出力) |
GPT-4 | 30.00ドル (入力) / 60.00ドル (出力) | 4,500円 (入力) / 9,000円 (出力) |
Anthropic APIキー
https://www.anthropic.com/pricing#anthropic-api から一部抜粋
モデル名 | 料金 (1Mトークンあたり) | 円換算 (50万文字あたり) |
---|---|---|
Claude 3.5 Sonnet | 3.00ドル (入力) / 15.00ドル (出力) | 450円 (入力) / 2,250円 (出力) |
Claude 3.5 Haiku | 0.80ドル (入力) / 4.00ドル (出力) | 120円 (入力) / 600円 (出力) |
Claude 3 Opus | 15.00ドル (入力) / 75.00ドル (出力) | 2,250円 (入力) / 11,250円 (出力) |
Google APIキー
https://ai.google.dev/pricing?hl=ja#1_5flash から一部抜粋
モデル名 | 料金 (1Mトークンあたり) | 円換算 (50万文字あたり) |
---|---|---|
Gemini 1.5 Flash | 0.075ドル (入力) / 0.30ドル (出力) | 11.25円 (入力) / 45円 (出力) |
Gemini 1.5 Flash-8B | 0.0375ドル (入力) / 0.15ドル (出力) | 5.625円 (入力) / 22.5円 (出力) |
Gemini 1.5 Pro | 1.25ドル (入力) / 5.00ドル (出力) | 187.5円 (入力) / 750円 (出力) |
Azure APIキー
https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/cognitive-services/openai-service/ から一部抜粋
リージョンにより料金と対応有無が異なります。以下は米国西部リージョンの料金です。
モデル名 | 料金 (1Mトークンあたり) | 円換算 (50万文字あたり) |
---|---|---|
GPT-4o | 2.75ドル (入力) / 11ドル (出力) | 412円 (入力) / 1,650円 (出力) |
GPT-4o mini | 0.165ドル (入力) / 0.66ドル (出力) | 24.75円 (入力) / 99円 (出力) |
GPT-4(8K) | 30.00ドル (入力) / 60.00ドル (出力) | 4,500円 (入力) / 9,000円 (出力) |
o1 Preview | 16.50ドル (入力) / 66ドル (出力) | 2,475円 (入力) / 9,900円 (出力) |
o1 Mini | 3.30ドル (入力) / 13.20ドル (出力) | 495円 (入力) / 1,980円 (出力) |
CursorとGitHub Copilotの比較
機能やモデルに関してはどちらも随時開発しているのでどちらかにあるものは追随されていく可能性が高いです。
ちなみにGitHub Copilotを組織で使用するためには、Organizationのオーナーがサブスクリプションを契約する必要があります。
AIエディタを無料で使いたい方や個人で課金したい方はCursorを使ってみることをおすすめします。
特徴 | Cursor | GitHub Copilot |
---|---|---|
料金プラン | - Hobbyプラン: 無料 - Proプラン: 月額20ドル - Businessプラン: 月額40ドル - APIキー(OpenAI, Anthropic, Google, Azure)を使用した従量課金制 |
- Proプラン: 月額10ドル - Businessプラン: 月額19ドル - 学生や教師は無料 |
トライアル | 14日間のProプラン | 30日間のProプラン |
主な機能 |
共通機能: - インラインチャット - コード生成・補完 - コードレビュー - テスト生成 - 0からプロジェクト生成 独自機能: - 外部URL参照 - 自動デバッグ |
共通機能: - インラインチャット - コード生成・補完 - コードレビュー - テスト生成 - 0からプロジェクト生成 独自機能: - Commitコメント自動生成 |
モデル | - GPT-4 - GPT-4o - Claude 3.5 Sonnet - cursor-small 以下は2024年9月に発表 - o1-preview - o1-mini |
- GPT-4 以下は2024年10月末に発表 - GPT-4o - Claude 3.5 Sonnet - Gemini 1.5 Pro - o1-preview - o1-mini |
学習データ | 公開されているコードリポジトリ インターネット上のテキストデータ |
GitHub上の公開コード |
プライバシーモード | どのプランでも利用可能 | どのプランでも利用可能 |
まとめ
Cursorは無料プランでもAI機能を使うことができるので、まずはエディタをCursorに移行してみて便利さを体感してみてほしいなと思います。
またCursorは多額の資金調達に成功しているので今後のさらなる進化が楽しみです。