(2016年時点での内容をアーカイブとして掲載しているため、一部の掲載内容が最新情報とは異なる場合がありますので、ご了承ください。最新のIBM Cloudのアップデート情報はこちらを参照してください。)
概要
サーバーをオーダーするにあたり、知っておと役立つ考慮点をご紹介します。
サーバーの種類
開発中のアプリケーションのため、所用能力の見積もりが難しいといった場合に、仮想サーバーは柔軟に対応できます。サーバーが稼働した後でも、CPUコア、メモリ、ディスクの追加をカスタマーポータルの操作で実行できます。この変更に際して、OSの再起動が発生することが考慮点です。
仮想サーバーのCPUコアの動作周波数は2GHz以上とされていますが、実際に割り当てられるものは、2GHz以上のCPUモデルの中から、その時点で空いているCPUモデルが割当られることが考慮点です。 言い替えると、仮想サーバーは、個々に均一の性能ではない可能性があるということになります。
仮想サーバーを本番サービスで利用する際の懸念点として、物理リソースを共有している他ユーザーが負荷の高い処理を行うと悪影響を受ける可能性のあ る事が挙げられます(noisy-neighbor問題)。このような懸念点を回避するために役立つのが、「プライベート・ノード」です。注文時のコンピューティング・インスタンスの項目で、「プライベート・ノード」と表示された項目で選択できます。これを選択すると、他ユーザーと、仮想サーバーのホストである物理サーバーが、共用にならないように配置が決定されます。
物理サーバーはハイパーバイザーを介さずに直接ハードウェアのリソースを利用できるため、仮想化のオーバーヘッドがありません。また専有して利用できるので、必要な処理性能を確保するために、複数の仮想サーバー上にCPUコア数をたくさん割当てるよりも、物理サーバーの選択が得策となるケースがあることが考慮点です。 例えば、物理サーバーを選ぶことで、少ないサーバー数とCPUコア数で、目的の処理性能を得られるために、コストを大幅に削減できるなどの効果が期待できます。
物理サーバーも1時間単位で利用できる構成がありますが、この場合、月単位に比べて選択できる構成が限られるところが考慮点です。この時間単位で利用できる物理サーバーは、物理と仮想の選択に迷う時の検証に活用することができます。
データセンターごとの考慮点
元来、SoftLayerの仮想サーバーや物理サーバーなどの個々の利用料金は統一され、米国以外のデータセンターを選択した場合に「Surcharge」(割増料金)が発生していました。しかし現在では、選択したデータセンターごとにサーバーやシステムのオプションの料金が表示されるようになっています。
利用者とデータセンターの地理的な距離が離れるほど、反応が鈍く感じられるようになります。 この理由は、光ケーブルを伝わる通信の時間が延びていくためです。 快適な反応速度を得るためには、利用者からできるだけ近いデータセンターを選ぶことが良いでしょう。 例えば、利用者が東京にいるとすれば、東京、香港、シンガポール、サンノゼ から選択すると快適に利用できます。 試しに、ロンドンやアムステルダムを選ぶと反応が鈍いことがわかると思います。
OSごとの考慮点
CentOS,Ubuntuなどの無料で配布されるLinuxに対して利用料金は発生しません。 そして、これらのソフトウェアをアップデートするためのサーバーは、プライベート・ネットワークに配置されているため、インターネットと隔離した状態でも、ソフトウェアの追加と更新を受けることができます。
レッドハット社の配布するLinux(以下RHELとする)は、ソフトウェアの更新のために、サブスクリプション・サービスを購入する必要があります。 しかし、SoftLayerで利用する場合には、OSの利用料金に含まれるため、個別に購入する必要はありません。 そして、プライベート・ネットワーク上のリポジトリ・サーバーから、ソフトウェアのアップデートを受けることができます。 注意点としては、直接レッドハット社へ問い合わせはできません。 質問がある場合には、SoftLayerのチケットで対応してくれます。
マイクロソフト社のWindows系OSについても、個別にライセンスを購入する必要はなく、OS利用料金に含まれます。 同様に、プライベート・ネットワーク上のWSUSサーバーから、ソフトウェアのアップデートを受けることができます。 質問がある場合には、RHELと同様に、SoftLayerのチケットで対応してくれます。
Linux系
Linux系のOSには、Minimal Install, LAMP Installという表記があります。 Minimalの意味は、最小ファイルセットに限定したインストールを表しています。 一方、LAMP Installは、Apache Httpサーバー、MySQL、PHPを加えた構成でインストールを意味しています。 このLAMPは、OSSを利用したウェブ・アプリケーションで最も良く利用されるプラットフォームで、Linux,Apache,MySQL,PHPをとってLAMPと表しています。
Debian GNU/Linux
Debian GNU/Linuxはボランティアの集まりであるDebian Projectが主導しフリーソフトウェア・コミュニティによって開発され世界で広く用いられています。 無料で利用できるLinuxディストリビューションの1つです。
Ubuntu Linux
Ubuntu Linuxは英Canonical社が支援するフリーソフトウェア・コミュニティによって開発されているLinuxディストリビューションです。 Ubuntu Linuxは無料で利用できます。サポートやトレーニングが必要であれば、有償で提供されています。
Red Hat Enterprise Linux (RHEL)
Red Hat Enterprise Linux (RHEL)は米Red Hat社が開発する商用Linuxディストリビューションです。 充実したサポートやソリューションを提供するなど、ビジネス用途に用いられている商用Linuxディストリビューションとして多く利用されています。
RedHat Update Instructions http://knowledgelayer.softlayer.com/procedure/redhat-update-instructions
CentOS
CentOSはCentOS Projectが開発している無償のLinuxディストリビューションです。 Red Hat Enterprise Linuxと機能的な互換性を保ちつつ、無償でビジネス用途にも利用できることを目指しています。
Windows Server系
マイクロソフト社がサーバー用途に開発したOSで、最新の製品だけでなく、過去にリリースされた製品も利用することができます。
Windows Server 2012 R2 Standard Edition (64bit)
Windows Server 2012 R2 Datacenter Edition (64bit)
Windows Server 2008 Standard Edition SP2 (64bit / 32bit)
Windows Server 2008 Datacenter Edition SP2 (64bit / 32bit)
Windows Server 2008 Enterprise Edition SP2 (64bit / 32bit)
Windows Server 2008 R2 Datacenter Edition (64bit)
Windows Server 2008 R2 Standard Edition (64bit)
Windows Server 2008 R2 Enterprise Edition (64bit)
Windows Server 2008 Standard SP1 with R2 (64 bit)
Windows Server 2003 Enterprise SP2 with R2 (64 bit / 32 bit)
Windows Server 2003 Datacenter SP2 with R2 (64 bit / 32 bit)
これらエディションごとの機能の詳細な違いは、以下のマイクロソフト社のウェブサイトを参照ください。
ライセンス早わかりガイド 仮想環境とライセンス http://www.microsoft.com/ja-jp/server-cloud/windows-server/licenseguide/Hyper-V-02.aspx
Windows Server 2008 R2 エディションの違い http://www.microsoft.com/ja-jp/server-cloud/local/windows-server/2008/r2/editions/features.aspx
Comparison of Windows Server 2003 Editions http://technet.microsoft.com/en-us/library/cc758523%28v=ws.10%29.aspx
プリインストールされるWindows Server OSは、英語モードになっています。 日本語表示が必要には、次のURLを参照願います。
言語パックをオンラインで追加する http://technet.microsoft.com/ja-jp/library/dd744278
マイクロソフト ウィンドウズのアップデート方法 (英語) http://knowledgelayer.softlayer.com/procedure/microsoft-windows-update-instructions
Vyatta 仮想ルーターOS
Vyatta社がオープンソース方式で開発したソフトウェア・ルータです。 「Vyatta Community Edition」(後の「Vyatta Core」)というサポートなしの無償版と「Vyatta Subscription Edition」というサポートがありウェブベースの独自GUIを備えた有償版が提供されていました。 Vyatta社は2012年末にBrocade Communications Systems社に買収され、「Vyatta Core」は開発中止、Vyatta Subscription EditionはBrocade Vyatta 5400 vRouterと改名され商用製品となっています。
仮想サーバーで利用できるVyattaは、「Vyatta Community Edition」です。 後継として「VyOS」のプロジェクトが立ち上げられ、コミュニティによって開発が継続されています。
仮想サーバーのディスク
仮想サーバーでは、「LOCAL」ディスクと「SAN」ディスクが選択できます。
「LOCAL」ディスクは、ホストとなる物理サーバーの内蔵ディスクをRAID10で構成したものを仮想ディスクです。 SANよりも高速で安価ですが、仮想サーバー1台につき、2ドライブまで、最大容量400GB(First Disk 100GB,Second Disk 300GB)の制約があります。
「SAN」ディスクは、多数の物理ディスクからRAID5のディスク・アレイによって、大容量でI/O分散化されたストレージ・プール形成し、これを論理的に分割した論理ディスクとして提供するもので5ドライブまで利用可能です。 これによって、高い信頼性と高速なアクセスを実現できます。しかし、複数のユーザーの共有環境であるため、競合による性能の変動が懸念されます。
利用できるまでの待ち時間短縮
注文に際して、監視のオプションを選択すると利用できるまでの待ち時間が延びることが考慮点です。 開発や検証作業では、監視する必要性は少ないと思いますので、これらを外しておいた方が、短い待ち時間で使えるようになります。