(2016年時点での内容をアーカイブとして掲載しているため、一部の掲載内容が最新情報とは異なる場合がありますので、ご了承ください。最新のIBM Cloudのアップデート情報はIBM Cloud アップデート情報 や 柔らか層本をご参照ください。)
概要
SoftLayerは、EVaultというファイルベースのバックアップ・リストア・サービスを提供しています。 ここでは、EVaultの注文やエージェントのインストール、環境設定についてご説明します。
EVaultとは
EVaultは、Seagate社のサービスですが、SoftLayerのサービスとして統合されており、まるでカスタマーポータルの一部のようにご利用できます。 ファイルベースのバックアップなので、バックアップ対象のストレージには制限がありません。 サーバーにファイル・システムとしてマウントしていれば、LOCAL-DISK, SAN-DISK, iSCSI, NASどちらにも対応できます。
バックアップ対象のサーバーには、エージェントのインストールが必要です。 そしてEVaultの管理コンソールへの接続は、プライベート・ネットワークで行われるためにVPN接続が必須です。 EVaultのエージェントとEVaultのバックアックとのやりとりもプライベート・ネットワークで行われます。 料金体系は、月単位のパックアップ・ストレージの容量毎になっています。
次は、EVaultバックアップの特長です。
ファイルベースのバックアップ
リモート・データセンターへのバックアップ(災害対策)
ファイル暗号化
ファイル圧縮
バックアップの世代管理
バックアップの世代を指定したリストア
フィルタリング(フォルダ名及びファイル名)
UNIX/Linux/Windows対応
EVaultを導入するには
事前準備
事前準備としてセカンダリ・ディスクを追加したサーバーを1台用意するようにお願いします。 セカンダリ・ディスクの追加は、サーバーの注文時に行うことも、起動中のサーバーから行うことも可能です。 追加したディスクは、サーバーへファイル・システムとしてマウントしておく必要があります。
EVaultバックアップは、OS領域もバックアップできますが、今回はセカンダリ・ディスク配下のデータ・ディスクのバックアップを想定しています。
EVaultの注文
EVaultの注文は、サーバーの構成決定時、及び起動中のサーバーからも可能です。 メニューバーから「Devices」->「Device」をクリックし、サーバー一覧を表示します。 それからEVaultを注文するサーバー名をクリックし、「Device Details」画面を表示します。
「Device Details」画面が表示されたら、以下の図のように「Storage]タブの「Order Storage」でEVaultの「Add」をクリックします。
上記の「Add」をクリックすると、「Order EVault」画面が表示されますので、EVaultバックアップを保存するデータセンターとストレージのサイズを選択し、「Continue」をクリックして先に進みます。
EVaultの注文結果は、メニューバーの「Storage」->「Backup」をクリックし、「EVault Backup」画面から確認できます。 ここでユーザー名(SL289550-1)とパスワードをメモ帳に控えておきましょう。 ユーザー名とパスワードは、あとでエージェントのインストール時に必要です。 パスワードはEVaultのユーザ名の左端にある「三角マーク」をクリックすると、インターフェース情報などと一緒に表示されます。
EVaultエージェントのインストール
EVaultの環境設定では、事前準備として、バックアップ対象のサーバーにEVaultバックアップのエージェントをインストールする必要があります。 EVaultエージェントのインストールは、サーバーにログインし、手作業で実行します。
Linuxの場合
対象のサーバー上で、次のように実行します。 途中でEVaultのユーザ名とパスワードの入力が必要です。
# wget -N http://downloads.service.softlayer.com/evault/evault_manual.sh
# sh ./evault_manual.sh
RedHat based distribution detected.
Please supply the WebCC username for this server: SL289550-1
Please supply the WebCC password for this server: ********
RHEL based installation
…中略
Windowsの場合
対象のサーバー上で次のURLからインストール・パッケージをダウンロードして実行します。 必要な情報は、Linuxと同じです。 http://downloads.service.softlayer.com/evault/EvaultInstall.exe
管理コンソールへのログイン及び環境設定
EVaultのエージェント・インストールが終了したら、EVault一覧から該当するEVaultにログインし、管理コンソールから設定を完成する必要があります。 管理コンソールへのログインは、メニューバーの「Storage」->「Backup」をクリックし、EVaultの一覧から詳細情報を表示したあと、「WebCC」をクリックするだけです。 ログイン画面は表示されません。 そのまま管理コンソールが表示されます。
エージェントを登録した直後に管理コンソールにログインすると、下図のような状態です。 EVaultエージェントは警告状態になっています。 ここからEVaultエージェントの追加情報及びバックアップ・ジョブの登録を実行します。 EVaultを始めて扱う時は、赤枠の「This is a new Agent. I would like to configure」を使うと便利です。 ウィザード形式でエージェント設定及びバックアップ・ジョブ、両方の設定を一気に行うことができます。
赤枠の「This is a new Agent. I would like to configure」をクリックすると、EVaultの環境設定画面が表示されます。 ここから詳細な設定手順は、次にように簡略にまとめて説明します。
- 「Agent Configuration」で「Agent Description」のテキスト・ボックスに適宜内容を記述します。
- 「Agent Configuration」で「Advanced Agent Setting」ボタンをクリックします。 それから、次の4つのタブの設定を順番に実行します。
Retention Types:Daily/Weekly/Monthlyの3つのデフォルト・タイプから選ぶことができます。 バックアップ・ファイルの保存日数や回数などを指定します。 独自のタイプをカスタマイズして使うこともできます。
Open Files:通常のファイル・バックアップでは必要ありません。 データベース・バックアップなどを扱うためのプラグインを設定します。 プラグインは、別途注文が必要です。 何もなければ「None」で進みます。
Notification:ジョブ実行のステータスを送信する通知先情報(メールアドレス/SMTP/認証情報)を設定します。
Performance:バックアップ実行の優先順位とネットワーク帯域などを設定します。
- 「Advanced Agent Setting」の設定が一通り終了したら、「Save Changes」をクリックし、設定内容を保存します。
- 「Job Type Selection」では、ジョブ設定のために、次の3つの内容を入力します。
Job Name:<ジョブ名>
Job Description:<ジョブの説明>
Job Name Backup Source Type:「Local System」を選びます。
- 「Selection」では、バックアップ対象のフォルダーやファイルを設定します。 ワイルドカードを使ってバック対象のフォルダー及びファイル名でバックアップ対象をフィルターすることもできます。
- 「Options」では、暗号アルゴリズム(Encryption Type)を選択します。 暗号アルゴリズムを選択した場合は、パスワード管理に要注意です。 ここで入力したパスワードを忘れてしまうと、リストアしたデーターを読み取ることができません。 暗号化しない場合は、「None」で進みます。
- 「Schedule」では、バックアップの実行の周期とタイミングを設定します。 最短では、分単位まで設定可能です。 ファイル圧縮のオプションを指定することもできます。
- 「Register Agent」では、「Register to a Vault user a default profile」->「Available profiles」でデフォルトのプロファイル(ev-vault201.service.softlayer.com-1)を選択します。
- 「Destination」では、前項で選択したデフォルト・プロファイルのEVaultバックアップ先が表示されます。 特に異常がなければ「Save Changes」をクリックして設定内容を保存します。
ここまででEVaultバックアップの初期設定は一通り終了しました。
次の図をみると、EVaultエージェントの警告が消え、1個のバックアップ・ジョブがスタンバイ状態になっています。 そのままにしておくと、スケジュールに従ってバックアップ・ジョブが実行されます。 実行結果は、バックアップ・ジョブのステータスから確認できます。
次は、上記の管理コンソールで簡単に操作できる便利機能です。
バックアップ・リストを見るには
バックアップ・ジョブの右端の「History」をクリックします。
即時にバックアップを実行するには
「Run Backup」から行います。 数回、マウスをクリックするだけです。
バックアップを一時的に停止するには
バックアップ・ジョブの編集を開き、「Schedule」設定を調整します。 基本的に一時停止機能は存在しません。
バックアップ・ジョブを追加するには
「Add」->「Job」から行います。 前項のEVault環境設定の「4.Job Type Selection」以降と同様な設定を行う必要があります。
Process Monitor
バックジョブの失敗やエラーが発生した場合に一覧表示されます。
バックアップ・データーの総サイズを把握するには
バックアップ・ジョブ一覧の右側の[Original Size]を確認します。 ファイルを圧縮している場合、バックアップ先の空き容量を正確に把握することは困難ですが、大体の目安として利用できます。 もう一つ、バックアップ通知メールを設定している場合、通知メールの内容からジョブが処理したデータの総サイズを参照することができます。
EVaultのマニュアルを表示するには
EVaultの設定および操作中に、もっと詳しい情報が必要な場合は、画面右上のクエスチョン・マークをクリックすると、関連マニュアルが表示されます。
EVaultバックアップの場所について
EVaultバックアップの大きな特長の一つは、導入時にバックアップの保存先をローカル・データセンターにするか、リモート・データセンターにするかを選択できることです。
ローカル・データセンター(サーバーがあるデータセンター)
ローカル・データセンターを選ぶメリットは、データーの書込みと読込みが高速であることです。 データ・サイズが大きく長時間かかるバックアップの場合は、ローカル・データセンターを選ぶようにおすすめします。
リモート・データセンター(サーバーがある場所と異なるデータセンター)
リモート・データセンターを選ぶメリットは、データセンターの被災時にもデーターの安全性が保障できることです。 バックアップと同時に災害対策にもなる一石二鳥の効果が得られます。 ただし、ネットワークの遅延が懸念されるような場合にはおすすめできません。
時間指定の自動実行をするには
EVaultのバックアップ・ジョブは、基本的に登録した時点で、バックアップ周期と実行タイミングの設定に従って自動的に実行されます。 前項の環境設定の「7.Schedule」で実行周期とタイミングを設定します。
注意点として、EVaultのバックアップは、管理コンソール(WebCC)で登録したバックアップ・ジョブを通してのみ実行可能です。 サーバー側のスクリプトでEVaultのバックアップ・ジョブを実行することはできません。
補足:EVaultジョブ実行の通知メール
前項のEVault環境設定で「2.Agent Configuration」->「Advanced Agent Setting」->「Notification」を設定すると、バックアップの成功や失敗、エラーのタイミングでメールが送られてきます。 どのような状態でメールを送信するかは選択できます。
次の例示のタイトルから、ジョブ名とバックアップのタイプ、ジョブ実行結果のステータスが把握できます。 本文からは、さらに詳しい情報を得ることができます。
**BACKUP lnk-server-1-job-1 [DAILY]: completed successfully**
Agent: lhk-server-1
Job: BACKUP lhk-server-1-job-1
Retention: DAILY
Job start time: 25-Oct-2014 00:30:19 -0500
Job end time: 25-Oct-2014 00:30:20 -0500
Elapsed Time: 00:00:01
SafeSet: 00000010
Errors encountered: 0
Warnings encountered: 0
Files/directories examined: 115
Files/directories filtered: 18
Files/directories deferred: 0
Files/directories backed-up: 97
Files backed-up: 90
Directories backed-up: 7
Data stream bytes processed: 92,358,468 (88.08 MB)
All stream bytes processed: 92,358,716 (88.08 MB)
Pre-delta bytes processed: 160 (160.00 bytes)
Deltized bytes processed: 0 (0.00 bytes)
Compressed bytes processed: 0 (0.00 bytes)
Approximate bytes deferred: 0 (0.00 bytes)
Reconnections on recv fail: 0
Reconnections on send fail: 0