47
21

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

有限オートマトン

Posted at

むかし書いた有限オートマトン (FA; Finite Automaton) のメモ。

基本

  • 決定性有限オートマトン (DFA; Deterministic Finite Automaton)
    • 1 つの入力記号について、遷移先が一意に決定する。
  • 非決定性有限オートマトン (NFA; Nondeterministic Finite Automaton)
    • 1 つの入力記号について、遷移先が複数存在する。
    • 入力なしで遷移できる $\epsilon$ 遷移が存在する。

DFANFA は相互に変換できる。

NFA の作り方

正規表現 (拡張バッカス記法) から作成する

  • $a$
    • a
  • $ab$
    • ab
  • $(a \mid b)$
    • (a|b)
  • $\{a\}$
    • {a}
  • $\{(a \mid b)\}$
    • {(a|b)}
  • $\{ab\}$
    • {ab}
  • $\{(a \mid bc)\}$
    • {(a|bc)}
  • $a\{b\}c$
    • a{b}c
  • $a\{b\{c\}d\}f$
    • a{b{c}d}f

正規文法 (バッカス記法) から作成する

非終端記号は、規則の右辺の記号列に置き換わる(右辺の終端記号列を受理しようとしている)ので、これをオートマトンの状態とする。

  • $S \rightarrow a A$
    • S→aA
  • $S \rightarrow b S$
    • S→bS
  • $S \rightarrow c$
    • S→c

正規文法では 1 つの還元動作が起こるとき、全ての入力受理が起こることになるので、どの非終端記号における終端記号の受理であっても最終状態 $f$ へ遷移する。

  • $S \rightarrow a b S \mid c S \mid a A$
  • $A \rightarrow c A \mid b B \mid \epsilon$
  • $B \rightarrow a b B \mid d$

image013.gif

NFA から不用な ε を除去する

NFA には、存在しなくても受理できる記号列に影響を与えない $\epsilon$ が、存在している可能性がある。次の状態を満たさない $\epsilon$ 遷移は除去する.

  • $\epsilon$ 遷移の遷移元から $\epsilon$ 以外による遷移が存在する
  • $\epsilon$ 遷移の遷移先への他の状態からの遷移が存在する

image014.gif

上の図で現在受理可能な記号列は、$ac$、$af$、$df$ の 3 つであり、$dc$ は受理できない。しかし 2 と 3 を一つにまとめてしまうと下図のように $dc$ が受理できてしまう.

image015.gif

NFA から DFA を作る

$a \{b (c \mid \{d\}) c \} b$

image016.gif

NFA の状態遷移表を作成

状態\入力 $a$ $b$ $c$ $d$
$s$ $1,2,6$ - - -
$1$ - $3,4,5,f$ - -
$2$ - $3,4,5,f$ - -
$3$ - - $2,5,6$ $4,5$
$4$ - - $2,6$ $4,5$
$5$ - - $2,6$ -
$6$ - $f$ - -
$f$ - - - -

$(1,2,6)$、$(3,4,5,f)$、$(2,5,6)$、$(4,5)$、$(2,6)$ を DFA の状態と考える。

NFA の状態遷移表から DFA の状態遷移表を作る

状態\入力 $a$ $b$ $c$ $d$
$s,1,2,6$ - - - -
$1,2,6$ - $3,4,5,f$ - -
$3,4,5,f$ - - $2,5,6$ $4,5$
$2,5,6$ - $3,4,5,f$ $2,6$ -
$4,5$ - - $2,6$ $4,5$
$2,6$ - $3,4,5,f$ - -

$(1,2,6)\rightarrow 1$、$(3,4,5,f)\rightarrow f$、$(2,5,6)\rightarrow 2$、$(4,5)\rightarrow 3$、$(2,6)\rightarrow 4$ と置き換える。

状態\入力 $a$ $b$ $c$ $d$
$s$ 1 - - -
$1$ - $f$ - -
$f$ - - $2$ $3$
$2$ - $f$ $4$ -
$3$ - - $4$ $3$
$4$ - $f$ - -

image023.gif

状態数を最小化する

同一化アルゴリズム

  • 全ての状態を最終状態の集合とそうでないものの集合に分ける

  • 各集合の要素である $s$ と $t$ に関して,次のように分割する

    • $s$ または $t$ からある記号によって別の集合の要素へ遷移する場合
    • ある記号による遷移が $s$ または $t$ のどちらか一方にだけ遷移する場合
  • これを繰り返して、どの集合も分割できなくなったら終わる。そのときの各集合を 1 つの状態とする DFA が状態数最小の DFA である

  • 終状態の集合 $=\{f\}$ 分割の必要なし

  • それ以外の集合 $=\{1,2,3,4\}$

    • $b$ で分割: $A=\{1,2,4\}$、$B=\{3\}$
    • $c$ で分割: $C=\{1,4\}$、$D=\{2\}$
    • $d$ では分割できない
  • よって、$\{1,4\}$、$\{2\}$、$\{3\}$、$\{f\}$ の 4 状態である

image024.gif

47
21
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
47
21

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?