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人間の脳における学習と機械学習における学習

Last updated at Posted at 2021-10-21

こんにちは。スキルアップAI編集部です。
本ブログでは、人間の脳における学習と機械学習における学習の違いについて考えてみます。

<目次>
1.人間の脳における学習
2.機械学習における学習
3.まとめ
4.参考文献
5.おわりに

1.人間の脳における学習

人間の脳では、どのように学習が行われるのでしょうか?
私たちの記憶は、「大脳皮質」に保存されていると考えられています。大脳皮質に新しい記憶ができるまでの流れを図1に示します。記憶を作るときに重要な働きをするのが、脳の内部にある「海馬」という部位です。海馬には視覚や嗅覚などの感覚情報が集められてきます。集められた感覚情報は、海馬によって、大脳皮質へ書き込まれます。これが記憶です。記憶を読み出す際にも、海馬は必要とされます。
ただし、一定期間(最大で数か月程度)が過ぎれば、海馬の助けが無くても大脳皮質にある記憶を読み出せるようになります。 なお、体の動かし方など、言葉にできない記憶については、小脳に保存されることもあると考えられています。

図1. 脳の記憶の流れ
(参考文献[1]より引用)

海馬や大脳皮質など、記憶を司る脳の領域では、図2のように神経細胞が複雑なネットワークを形成しています。ここで大事なことは、ある特定の記憶が1つ1つの神経細胞に保存されているわけではない、ということです。現代の科学では、神経細胞どうしの繋がり方やつなぎ目の大きさのようなネットワークの構造自体が記憶であると考えられています。

図2. 「記憶前」の脳の中 (参考文献[1]より引用)

神経細胞どうしのつなぎ目部分はシナプスと呼ばれます。脳がある物事を記憶すると、一部のシナプスが大きくなったり、新たなシナプスができたりします。逆にシナプスが小さくなることや無くなることもあります。シナプスの変化の例を図3に示します。
シナプスの状態は、基本的に固定化されません。同じことを繰り返し学習すると、シナプスが大きくなり、神経細胞どうしの繋がりが強化されます。こうなると、記憶を忘れにくくなります、逆に、学習しないと、シナプスが小さくなり、神経細胞どうしの繋がりが弱まります。こうなると、覚えたことを忘れてしまいます。
シナプスには、このように柔軟に変化するという性質があり、この性質はシナプス可塑性と呼ばれます。

図3. 「記憶後」の脳の中 (参考文献[1]より引用)

2.機械学習における学習

機械学習では、どのように学習が行われるのでしょうか?ここでは、機械学習の代表的手法であるニューラルネットワークの学習原理を紹介します。
ニューラルネットワークは、人間の脳の神経細胞を参考にして考え出された手法です。ニューラルネットワークの一例を図4に示します。この図における〇は、ノードと呼ばれるものであり、人間の脳における神経細胞に当たります。ノードとノードは、線で結ばれています。この線はエッジと呼ばれ、通常、各エッジに重みと呼ばれる変数が設定されます。

図4. ニューラルネットワークの一例

重みは、学習の過程で、繰り返し調整されることで最適な値になります。最適化された重みは、人間の脳でいうところの記憶にあたりますが、人間の脳のシナプスのようには変化しません。つまり、ニューラルネットワークにおける重みというのは、固定化されたものであり、人間の記憶のように強化されたり、薄れたりするものではないということです。もちろん、学習のさせ方を工夫することにより、それに相当することを疑似的に実現することは可能ですが、それを行なったとしても人間の脳の仕組みと同じになるわけではありません。

3.まとめ

人間の脳では、覚えたことを忘れるということが起きます。忘れるというのは、必ずしもマイナスなことでなく、必要な情報だけを覚えておけることにつながります。これより、人間の脳は、非常にコスパの良い情報処理をしているといえます。
一方、ニューラルネットワークでは、一度学習したことは基本的に忘れません。学習したことを忘れさせたい場合には、新しいデータを用いて追加の学習を行う必要があります。

この点が人間の脳における学習と機械学習における学習の大きな違いです。人間の脳には、大事でないことを自然に忘れていくという仕組みがありますが、今のニューラルネットワークにはそういった仕組みがありません。 今後、ニューラルネットワークにおいて、「自然に忘れていく」仕組みが実現されれば、より人間に近い学習を行えるようになるかもしれません。

4.参考文献

[1] Newton別冊,脳とは何か,2019年発行

5.おわりに

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