E資格とは、ディープラーニングの知識やスキルを有しているか認定する AI エンジニア向けの資格です。AI エンジニアとして活躍したい方、転職を目指している方は取得しておくべき資格の 1 つです。
第 3 次 AI ブームといわれている昨今では、ビジネスにおける AI の実用性が向上しています。そのため、AI の導入を本格的に検討する企業が増えています。今後、AI を導入する分野がさらに広がることが予測されており、それに比例して、AI エンジニアの需要も増えていくことが予想されています。
そこで本ブログでは、AI エンジニアに必要不可欠なディープラーニングの知識や実装スキルを証明できるE資格について、難易度や取得費用、合格率などの概要と、取得するメリットについて紹介します。
<目次>
- E資格とは
- E資格を取得するメリット
- E資格受験者数や合格者数はどれくらい?
- E資格を活用して転職する 4 つの Step
- ポートフォリオの作成
- 情報収集
- 習得したスキル活用の解像度を上げる
- 応募・アプローチ
- E資格保持者は優位になる求人事例
- まとめ
- スキルアップAIの転職支援サービス「SkillUp AIgent」
1.E資格とは
E資格とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定する AI エンジニア向けの資格で、ディープラーニングの実装をリードできる人材を増やすことを目的に設立されました。
E資格では、ディープラーニングの理論を理解し、機械学習やディープラーニングを実装する知識やスキルがあることを認定します。E資格は、世界初の AI エンジニアを認定する資格ともいわれており、注目を集めています。
JDLA が認定する資格には、E資格のほかにG検定があります。E資格はディープラーニングを実装する AI エンジニア向けの資格なのに対し、G検定は適切に AI を事業に活用するジェネラリスト向けの資格です。
G検定は、ディープラーニングを事業に活用するためのAI に関するより基礎的な内容が問われるのに対し、E資格は、AI エンジニアや研究者など、AI に関連する業務や研究を通じての専門知識が問われます。
E資格について:https://www.jdla.org/certificate/engineer/
E資格取得難易度
E資格の取得難易度は非常に高いといわれています。合格率は約 7 割であり、一見合格しやすく感じられますが、受験者のほとんどはある程度の知識と経験を持っているため、数字以上に難易度は高いといえます。また、試験時間 120 分に対して問題数は 100 問程度出題されるため、1 問あたりに割ける時間は 1 分程度です。出題形式は多肢選択式ですが、ハイペースで問題を解いていく必要があります。
こうした理由から、E資格は難易度が高いといわれています。
E資格の受講料
E資格の受験費用は一般 33,000 円、学生 22,000 円(いずれも税込)です。また、E資格の受験資格として、JDLA 認定プログラムを試験日の過去 2 年以内に修了していることが求められます。そのため、E資格を受験するにはまず JDLA 認定プログラムを選択するところからスタートします。
JDLA 認定プログラムには、初学者からある程度ディープラーニングの知識がある人に向けたものまで、さまざまな種類が用意されています。各プログラムによって価格や受講形式、サポート体制などが異なるため、自分に合ったものを選びましょう。
JDLA 認定プログラム一覧はこちらをご確認ください。
2.E資格を取得するメリット
E資格を取得する最大のメリットは、転職活動で優遇されたり、高年収の仕事に転職できたりすることです。
就職・転職活動でのアピールになる
E資格は、AI に関する幅広く深い知識を持っていることを証明する資格です。自身の技術レベルを示せるため、就職や転職に役立つでしょう。
IT 企業を中心に知名度が高まっており、実務経験がない場合でも、E資格を持っていることで即戦力として採用される可能性が高まります。
今後、さらなる AI の普及に伴い、人材を探す指標としてE資格が求められるようになっていくことが予想されます。
高年収の求人に転職できる可能性が高まる
経済産業省が令和 3 年 2 月 4 日に発表した「我が国におけるIT人材の動向」によると、優秀なデジタル人材の新卒採用や中途採用を行う際、通常よりも高い報酬水準を設定する例が見られるようになってきています。新卒で年収 1,000 万円以上、30 代での転職で 3,000 万円以上を提示する求人が複数紹介されています。
これは、アメリカをはじめとした諸外国で AI やデータサイエンスなどに関する高いスキルを持つ人材の採用時に高額の報酬水準を提示する例が増えている流れを受けたものです。
出典:ダイヤモンド「新卒で年収3000万円も!激化する高度人材争奪戦」
また、調査結果の 1 つとして、デジタル人材の高額報酬の求人例が挙げられています。株式会社ビズリーチの調査によると、AI/人工知能/機械学習という単語を含む求人件数は前年比 2.2 倍の 19,959 件に増えており、最高提示年収は 4,000 万円と非常に高額です。これは 2018 年時点の調査結果ですが、年々市場が急成長し、求人数も増加している傾向が見られています。
このように、AI やデータサイエンスに関する高いスキルを持つ人材の求人数が増えており、高年収の求人に転職できる可能性は非常に高いです。
特に AI 関連産業は適用分野が広がることが予測されており、AI エンジニアの需要は右肩上がりに増えていくことが予想できます。売り手市場となる中、E資格をもっていればより優位に転職活動を進められるはずです。
AI 市場が世界だけでなく、日本でも市場成長している
IT 専門調査会社である IDC Japan株式会社が 2022 年 5 月 24 日に発表した「国内 AI システム市場予測」によると、2021 年の国内 AI(人工知能)システム市場は、エンドユーザー支出額ベースでの市場規模が 2,771 億 9,000 万円となり、前年比成長率は 26.3 %という結果が出ています。
2021 年〜 2026 年の年間平均成長率(CAGR)は 24.0 %で推移し、2026 年には 8,120 億 9,900 万円になると IDC は予測しています。
また、富士キメラ総研の「2020 人工知能ビジネス総調査」では、国内の AI ビジネスは 2026 年度に 2 兆円規模に拡大すると試算しています。これは、DX の技術要素として AI の利用が増加し、AI の実証実験から本格導入に至るケースが増えたためです。
また、製造業の現場や装置での活用が期待されるエッジ AI コンピューティングの搭載が期待されています。エッジ AI コンピューティングの国内市場は、2020 年度の見込みは 177 億円でしたが、2025 年には 565 億円まで成長するといわれています。
このように、AI 市場は、海外のみならず日本でも右肩上がりに成長していることがわかります。今後もその成長が続くことが予測できます。
3.E資格受験者数や合格者数はどれくらい?
E資格は 2022 年 6 月時点で、7 回試験が実施されています。この項目では、E資格の受験者数や合格者数の推移について見ていきましょう。
受験者数の推移
開催回別の受験者数、合格者数、合格率は次の通りです。
引用:日本ディープラーニング協会
『「E資格(エンジニア資格)2022#1」結果発表。(1,327名が受験し、982名が合格)』
2020#2 は延期になったため、2021#1 で受験者数が増えていますが、回を重ねるごとに受験者数は増加傾向で、7 回目となる 2022 年 2 月の受験者数は、2018 年の1 回目の 4 倍近くになっています。
合格者数と合格率
E資格の受験者数の増加に比例して、合格者数も増えています。また、合格率も、当初の 69.44 %から 2021 年以降は 75 %前後へと上がっています。
E資格と同程度の難易度である資格に「応用情報技術者試験」がありますが、応用情報技術者試験の 2021 年秋期の受験者数は 33,513 人(合格者数 7,719 人、合格率 23 %)であり、E資格の合格率と比較するとかなり少ないことがわかります。
参考:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20211217.html
業種別合格者数
2022 年 2 月の E資格の業種別の合格者数は次の通りです。
引用:日本ディープラーニング協会
『「E資格(エンジニア資格)2022#1」結果発表。(1,327名が受験し、982名が合格)』
合格者の職種は「ソフトウェア業」(247 人)が最も多く、次いで「情報処理・提供サービス業」(217 人)が多いという結果になっています。多くはないものの「卸売・小売業、飲食店」(5 人)や、「医療・福祉業」(20 人)の合格者もいます。
4.E資格を活用して転職する 4 つの Step
この項目では、E資格を活用して転職するステップを 4 段階に分けて紹介します。
難関資格であるE資格を取得し、転職やキャリアアップしたいと考える人は少なくありません。転職活動を開始する際、どのようなステップを踏めばよいのか事前にわかっていると、無駄なくスピーディに進めることができます。ぜひ活用してください。
①ポートフォリオの作成
転職活動の第 1 ステップは、ポートフォリオの作成です。ポートフォリオは Web デザイナーが作るイメージがありますが、最近ではエンジニアに対してもポートフォリオの提出を求める企業が増えています。ポートフォリオとは、自分の実績や力量、スキルなどがわかる作品集のことを指します。自分は何ができるのか、アピールできるように準備しておきます。
エンジニアがポートフォリオを作るメリットは次の 3 つです。
- プログラミングスキルを証明できる
- モチベーションや将来性の評価につながる
- 入社後のミスマッチを減らせる
ポートフォリオがない場合、企業は、履歴書と職務経歴書のみで採用すべきかどうかを判断しなければなりません。ほかの志望者との差別化が難しいうえ、履歴書と職務経歴書だけでは正しいスキルを証明できず、面接にたどり着けない、採用されないなどの可能性があります。運よく採用されたとしても、正しく評価されにくいため、厳しい待遇を提示されてしまうかもしれません。
ポートフォリオには、プロフィールを含めた自己紹介のほか、スキル、作品を明示します。また、エンジニアとしてのスキルを活かしてデザインや機能性に工夫を凝らし、個性あふれる魅力的なポートフォリオに仕上げると訪問者の心を掴めるはずです。
②情報収集
転職活動において、スキルを磨くことはもちろん、情報収集も非常に重要です。転職を目指すなら、環境や待遇など、自分に合った求人情報を収集すべきです。
未経験での転職を考えている場合、自分のスキルや価値を明確に伝えられるようにするため、応募先の企業がどのような案件を抱えていてエンジニアにどのようなスキルを求めているのか、しっかりと情報収集することが肝心です。
③習得したスキル活用の解像度を上げる
転職を有利に進めるには、習得したスキルを実務でどのように活用するのか明確にしておくことが何よりも重要です。E資格を持っていることで一定のスキルの証明はできますが、そこから、いかに現場で活躍できる AI エンジニアになるかが重要です。そのため、自身の持っているスキルが企業にどんな利益をもたらすのか、どんな貢献ができるのか言語化できるようにしておきましょう。
一方、E資格を取得したものの何をすべきか悩んでいるなら、E資格の取得のために学習した内容を復習して理解度を深めたり、専門スキルを高めたりするのがおすすめです。 興味を持って取り組んでいる領域があれば、継続してスキルを高め、スキルアップしていきましょう。
④応募・アプローチ
前述の 3 つのステップを踏まえて、応募していきます。「自分にはこれができる」ということを、客観的に証明できるように準備をしてきたため、相手にとって必要なスキルや能力、具体的に作れる物についてアピールしていきます。
エンジニア不足だからといって、簡単に転職できるというわけでも、E資格を持っているからといって即採用となるわけでもありません。情報収集によって掴んだ情報をもとに、相手にとって自分の何がどう役立つのかを客観的な視点で伝えましょう。
5.E資格保持者は優位になる求人事例
データサイエンティストや機械学習エンジニアの求人では、E資格を取得している求職者を優遇するケースが増えてきており、E資格が注目されている資格の 1 つであることがわかります。
そこでこの項目では、E資格保持者が優位になる求人をピックアップして例として紹介します。
データサイエンティスト
求人例:フルリモートでの勤務も可能な正社員の採用です。年収は 700 〜 1,000 万円を提示しており、業務内容はデータ分析、データ利活用、AI に関わる対顧客向けの上流プロジェクト(企画構想、PoC)の遂行や、データ利活用サービスの企画および推進に関するコンサルティング支援などです。
この求人では、E資格・G検定の有資格者を歓迎要件の 1 つに挙げています。
機械学習エンジニア
求人例:正社員での採用で、年収は 800 万円〜 1,000 万円の年俸制です。業務内容は、AI 技術を活用したソリューション企画と、サービス化の実行です。AI ソリューションを持つ各ベンダー、メーカーとのリレーション構築と、トレーニングやセミナーの開催、執筆など、AI 領域のマーケティング活動もするため、エンジニアとして後進の育成にも携われます。
この求人では、E資格の有資格者を歓迎要件の 1 つに挙げていました。
データアナリスト
リモートワークが可能な正社員かつ管理職の求人です。管理職での採用のため、年俸は1,200 万円〜 1,400 万円と高水準です。業務内容は、分析に関する最も複雑で新しい課題に対処する方法の開発と実行です。統計モデリングや最新の機械学習手法についての専門知識をマーケティングの成長、業務効率化、リスクの成果につなげる役割も担います。
歓迎条件としてE資格の有資格者を挙げています。
6.まとめ
E資格は、エンジニアが持つディープラーニングの知識やスキルを証明する資格です。取得には、資格を主催する JDLA 認定プログラムの受講が必須ですが、取得後は、転職活動の際、相手に対して自らのスキルを客観的に提示できるため、転職活動をスムーズに進められる可能性が高まります。
スキルアップAI では、E資格に対応したJDLA認定プログラムである「現場で使えるディープラーニング基礎講座」を開講しています。スキルアップAI の認定プログラムでは、知識と実践スキルが定着するように構成しています。実務経験が豊富な講師が実践的な知識を紹介しており、資格取得だけを目指したものではなく、実務につながる内容になっています。
主体的に学べるだけでなく、習得した知識をどのように実務で活用するかが身につくため、資格取得を通じて AI エンジニアとして活躍している自分の姿を想像しやすいです。
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