量子コンピュータの世界では、不確実性と重ね合わせは重要な概念です。
今回は、この不確実な量子状態の揺らぎと干渉波の様子をThree.jsとWebSocketを用いてリアルタイムに視覚化しました。
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プロジェクト概要
このプロジェクトは、以下の技術スタックで構築されています。
• Three.js:3D空間での波動の視覚化
• WebSocket:Pythonサーバーからリアルタイムデータを送信
• Python:干渉波の計算処理
システム構成
[ Python (WebSocketサーバー) ] ---> [ WebSocket ] ---> [ JavaScript (Three.js) ]
- Pythonが干渉波の計算を行い、リアルタイムデータをWebSocket経由で送信
2. JavaScript (Three.js) が受け取り、3D空間に波動を描画
3. UIで周波数や位相を変更し、干渉パターンの切り替えも可能
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実装詳細
WebSocketサーバー (Python)
Python側で2つの異なる波動を生成し、それらを干渉波としてWebSocketで送信しています。
import asyncio
import websockets
import numpy as np
import json
波動関数の定義
def wave_function(x, t, k=1, omega=1):
return np.sin(k * x - omega * t)
干渉波の定義
def interference_wave(x, t, k1=1, omega1=1, k2=1.5, omega2=1.2):
wave1 = wave_function(x, t, k1, omega1)
wave2 = wave_function(x, t, k2, omega2)
return wave1 + wave2
WebSocketの処理
async def wave_data(websocket, path):
while True:
t_values = np.linspace(0, 10, 100)
x_values = np.linspace(-5, 5, 100)
data = []
for t in t_values:
wave_points = [{"x": float(x), "y": float(interference_wave(x, t))} for x in x_values]
data.append({"time": float(t), "points": wave_points})
# JSONデータを送信
await websocket.send(json.dumps(data))
await asyncio.sleep(0.1) # 100msごとに送信
サーバーの起動
start_server = websockets.serve(wave_data, "localhost", 8765)
asyncio.get_event_loop().run_until_complete(start_server)
asyncio.get_event_loop().run_forever()
批判や反論への対応
このプロジェクトに関して、いくつかの批判や反論が考えられます。それぞれに対する対応策も示します。
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1.「これは単なるクラシカルなシミュレーションに過ぎないのでは?」
• 反論:
これは正しい指摘です。このプロジェクトは量子シミュレーションをクラシカルな手法で可視化しています。しかし、重要なのは量子の不確実性や干渉の概念を直感的に理解することです。
実際の量子計算では複雑な位相干渉が生じ、それを視覚化することでアルゴリズムの動作が見える化されます。今回はその概念モデルを目に見える形にしたものです。
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2.「実際の量子状態はもっと複雑ではないか?」
• 反論:
確かに、量子ビットの重ね合わせや多体干渉はさらに複雑です。しかし、このプロジェクトは単一の振幅と干渉を単純化して示しています。
次のステップとして、多体量子ビットの干渉やショアのアルゴリズムの視覚化を計画しており、段階的に拡張していく方針です。
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3.「WebSocketのレイテンシーが視覚化に影響するのでは?」
• 反論:
WebSocketのレイテンシーは10ms〜20ms程度で、リアルタイム表示に大きな影響はありません。
さらに、データ送信の最適化を行い、バッファリングと非同期処理で滑らかな動きを実現しています。
将来的には、WebRTCの導入も視野に入れ、さらなる高速化を目指します。
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今後の展望
• 記録と再生機能の追加
• データのエクスポートと再現
• 多体量子の干渉シミュレーション
• YouTube向けのデモ動画の公開
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GitHubリポジトリ
このプロジェクトはオープンソースとして公開しています。
Quantum-Visualizer on GitHub
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最後に
量子の不確実性を視覚化することで、複雑な量子挙動が直感的に理解できるようになりました。
次は、これを分散処理や多重干渉のシミュレーションに拡張する予定です。
ぜひ、次回の進展もご期待ください