🎯 対象読者
この記事は、以下のような方に向けて書いています:
- 初めてライトニングトーク(LT)に挑戦しようとしている方
- 登壇経験はあるが、もっと伝わる話し方を模索している方
- 質問対応や空気づくりに不安を感じている方
実際に登壇・参加を通して得た気づきを中心に、「伝わりやすいLT」に近づくためのヒントを共有します。
📑 目次
- 1. はじめに
- 2. ライトニングトークとは
- 3. LT登壇のメリットとは
- 4. 質問されるのは“伝わった”証拠
- 5. 空気づくりは最初のライトな問いかけから
- 6. 批判される立場になって見える景色
- 7. 感情を無視した質問は逆効果になることも
- 8. おわりに:伝える側として大切にしたい姿勢
1. はじめに
📝 登壇の機会を何度かいただく中で、「伝えるって難しいな」と感じる場面が何度もありました。
資料をしっかり作っても、うまく伝わらなかったり、質問が来なくて不安になったり…。
とくにライトニングトーク(LT)のように短時間で話す場では、「空気づくり」や「相手の反応の受け止め方」も、内容と同じくらい大事だと実感しています。
今回の記事では、私がLTを通じて得た学びや気づきを紹介しながら、より伝わる登壇をするために意識していることをまとめてみました。
これからLTに挑戦しようとしている方や、経験を活かしてもう一歩ステップアップしたい方の参考になれば幸いです。
2. ライトニングトークとは
⚡ ライトニングトーク(Lightning Talk/LT)とは、5〜10分程度の短いプレゼンテーション形式の発表スタイルです。
勉強会や技術イベントなどでよく取り入れられており、「手軽にアウトプットできる場」として多くのエンジニアに親しまれています。
🔹 特徴
- 時間が短いため、1つのテーマに絞って伝える形式が基本
- スライドもシンプルにまとめることが多く、準備のハードルが低い
- 終了後に簡単な質疑応答があることもあり、参加者との交流のきっかけにもなる
🔹 扱われるテーマの例
- 最近学んだ技術や使ってみたツールの紹介
- 業務で得た気づきや、ちょっとした工夫
- チーム開発やキャリアに関する考え方の共有 など
「しっかり話すこと」よりも「伝えたいことを持っているか」が重視される場なので、初心者でも参加しやすいのが魅力です。
3. LT登壇のメリットとは
🌱 ライトニングトーク(LT)は、5〜10分程度の短い持ち時間で行うプレゼン形式の登壇です。
気軽に参加できる一方で、「発表なんてハードルが高そう…」と感じる方も少なくないと思います。
ですが、実際に登壇してみると、多くのメリットがあることに気づきました。私自身が感じたメリットは、次のようなものです:
-
✅ アウトプットを前提に学ぶことで、理解が深まる
→ ただ聞くだけ・読むだけよりも、「伝えるために整理する」ことで本質的な理解が進みました。 -
✅ 短時間なので準備のハードルが低い
→ 長時間の発表と違い、テーマを絞って話せるので、最初の一歩としてちょうどいい形式です。 -
✅ 質問やフィードバックをもらえることで視野が広がる
→ 発表後に「自分はこう捉えた」という意見をもらえるのは、想像以上に貴重な体験でした。 -
✅ 話す経験そのものが、自信につながる
→ 小さな登壇でも、回数を重ねるうちに緊張のコントロールや伝え方のコツが身についてきました。 -
✅ キャリアや評価につながるチャンスもある
→ 発表内容をQiitaやSpeaker Deckにまとめれば、ポートフォリオとしてアピールできますし、職場やコミュニティ内での認知にもつながります。
登壇は「伝える側」になることで見える世界が変わります。
聞き手だったときには気づかなかった視点や、伝える難しさ・面白さに出会えるのもLTの魅力です。
4. 質問されるのは“伝わった”証拠
💬 登壇後に質問が来ると、少し緊張しますよね。
「ちゃんと説明できるかな」「的確に答えられなかったらどうしよう」と不安になることもあると思います。
でも、ある登壇のあと、質問が飛んできたときの会場の空気や反応から、ふと気づいたことがありました。
「質問が出るってことは、それだけ話が伝わっていたということなんじゃないか?」
確かに、内容がまったく理解されていなかったら、質問すら出てこないはず。
むしろ質問が来るというのは、「聞き手が興味を持ち、内容を受け取ってくれた」証拠なんですよね。
それ以来、私は質問をもらったときにこう考えるようになりました。
- 「お、ちゃんと伝わってたみたいで良かった」
- 「理解が深まる場にできてよかった」
質問にうまく答えられなかったとしても、それで登壇の価値が下がることはありません。
“伝える場を作れた”ということ自体に、自信を持っていいと思います。
5. 空気づくりは最初のライトな問いかけから
🎈 LTでは時間が短いため、いきなり本題に入ってしまいがちですが、私は最初の一言や質問の仕方に少しだけ工夫をしています。
それは、会場の空気をほぐし、聞き手の心理的ハードルを下げるための“ゆるい問いかけ” です。
私が実際に行っているのは、以下のようなアプローチです:
-
🎨 作品系の内容であれば、製作者(登壇者)がこだわりを持っていそうな部分にあえて触れます。
「ここのこういう部分、オシャレですね!」などと感想から入ることで、
登壇者が自然にこだわりポイントを話しやすくなる空気を作ります。
よく「質問ではなく感想になってしまいますが……」という枕詞を添えて話し始めています。 -
🔍 マイナーな技術分野であれば、「そもそもなぜこの分野に興味を持ったのでしょうか?」と質問します。
登壇者自身の言葉で語ってもらいやすくなり、その後の話に熱がこもることが多いです。 -
❓ 用途が明確でない技術紹介では、「これはどんな場面で使われる想定ですか?」と聞くようにしています。
全体像がつかみやすくなり、他の参加者にとっても理解しやすい空気が生まれます。
「ゆるい質問」で空気が変わる
こういった質問は、あえて突っ込んだ内容にはしていません。
むしろ「誰でも思いつきそうな質問」を最初に投げかけることで、
周囲に「こういうことでも聞いていいんだ」と伝わり、会場の質問しやすい雰囲気づくりを狙っています。
(効果があるかどうかはさておき、そういう意図でやっています!)
短いLTの中でも、こうした “ゆるく開かれた一言”が会場の温度を少し変えることがあると感じています。
空気が和らげば、発表や質疑も、ずっと良いものになると信じています。
6. 批判される立場になって見える景色
🔍 聞き手として他人の発表を見ているとき、「ここはこうすればもっと良くなりそうだな」「自分だったらこうするのに」と思うことはあるかもしれません。
私自身も、以前はそう感じることがありました。
ですが、実際に自分が登壇してみて、気づいたことがあります。
登壇者は想像以上に多くのことを考えている
限られた時間の中で、
- 何を伝えるか
- どこを削るか
- どの順番で話すか
といったことをギリギリまで調整して、ようやく発表にこぎつけています。
その上で、緊張の中話し、質疑にも対応する――
登壇者の立場に立ってみると、ただ聞いているだけでは見えなかった大変さや工夫が見えてくるようになりました。
「批判される側」に立って初めて分かることがある
登壇経験を通して得られた一番の気づきは、
人前で話すことは、それだけで十分チャレンジであり尊敬すべき行動だということです。
もちろん改善点を伝えることが悪いわけではありませんが、
その前に「まずは自分も登壇してみる」「登壇者の努力に敬意を払う」――
そんな意識が自然と芽生えるようになりました。
体験が自分の言葉に厚みを与える
聞き手の立場からだけでは見えなかった景色は、
自分自身のコミュニケーションにも変化をもたらします。
たとえば、他人の発表へのコメントが以前より丁寧になったり、レビューでの伝え方に気を配れるようになったり。
一度でも批判される立場に立ってみると、その後の言葉選びや接し方が変わる。
それもまた、登壇という経験の大きな価値だと思います。
7. 感情を無視した質問は逆効果になることも
🤔 LTの質疑応答では、「鋭い質問」や「本質を突く指摘」が歓迎される場面もあります。
しかし、その鋭さが強すぎたり、感情を無視した聞き方になってしまうと、
登壇者の熱意や場の空気に冷や水を浴びせてしまうこともあると感じています。
ある発表後の質疑で、技術的に妥当な質問であっても、
登壇者の気持ちを考慮せず淡々とぶつけられた瞬間、会場の空気が一気に固まったことがありました。
そのとき私はふと思いました。
鋭い質問をしたからといって、自分の評価が上がるとは限らない。
むしろ、登壇者の感情を無視すれば評価は下がることもある。
発表というのは、話す内容だけでなく「その人自身の言葉」や「伝えたい思い」が込められていることが多いです。
そこに対して、冷静すぎるほどの分析的視点だけでぶつかると、共感の余地がなくなってしまうんですよね。
相手を尊重する“あたたかい問いかけ”を意識する
質問をする際には、「これが本当に登壇者の話を深めるための問いかけになっているか?」と、
一度立ち止まって考えるようになりました。
- 技術的に正しいかどうかを問うだけでなく
- その人の経験や思いを引き出せる聞き方になっているか?
質問もまた、登壇者との「コミュニケーション」の一部です。
相手の感情や空気を汲んだ質問ができると、お互いにとって気持ちの良いLTになると感じています。
8. おわりに:伝える側として大切にしたい姿勢
🌟 ライトニングトークは、ただ知識や情報を発信する場ではなく、
“誰かに何かを届ける”という行為そのものに価値があると感じています。
発表内容の完成度だけでなく、
- 空気を和らげるひと言
- 相手の感情に配慮したやり取り
- 伝えたい思いを自分の言葉で届けること
そういった細やかな部分が、発表全体の印象を大きく左右することがあります。
私はこれまでのLTを通して、
「内容が良ければ伝わる」だけではなく、
“どう伝えるか”と“どう関わるか”もまた、伝える側としての姿勢に含まれていると思うようになりました。
完璧な発表でなくてもいい。
誰かの心に引っかかるひと言があれば、それだけで価値のある登壇になる。
そう思えるようになったこと自体が、自分にとっての大きな変化だったと思います。
この記事が、これからLTに挑戦する方や、
伝えることに少しでも悩んでいる方のヒントになれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!