方針
面白いと思い,調べても出てこない内容はメモ程度に記述しておく.
調べたら出てきそうな内容はキーワードだけメモしておく.
本編
第2章 問題解決
問題解決のプロセス
問題解決のプロセスは3つに分けられる.
- 問題の定式化 : 問題の対象となる世界から,問題の本質的な部分を抽出し,何らかの記法に従い,形式的記述を求める.「何らかの記法」が数式の場合,「形式的記述」は連立方程式・微分方程式・論理式に基づく表現などになるが,AIの分野では記号的表現を用いる場合が多い.
- 形式的処理 : 得られた形式的記述を形式的に処理して解を求める.このとき,問題の対象となる世界に依存しないため,コンピュータ内部の世界は一つの計算モデルと捉えることができ,それは数式モデルでも記号処理モデルでもニューロモデルでもなんでもよい.
- 問題の対象となる世界での解釈 : 上の解を解釈して問題の対象となる世界での解を求める.求めた解の妥当性や意味の検証がされる.
問題の定式化法
- 状態空間法.またの名は古典的プランニング.
- 問題分割法.分割統治法と同じ発想.
- 手段目的解析.
第3章 探索
ブラインド探索
小さい木向け
- 深さ優先探索
- 幅優先探索
- 反復深化探索
ヒューリスティック探索
大きい木向け
探索を行うときに,なんらかの付加情報を用いて探索すると効率が良い.その付加情報を定量的に表現するヒューリスティック関数$h(x)$を用いて表す.ヒューリスティック関数$h(x)$は「状態$x$が目標状態にどれだけ近いと考えられるか」という状態$x$の良さの評価値を与える.良い評価値に近づくような探索を行えば,効率の良い探索が行えると考えられる.
- 山登り法,または勾配降下法
- シミュレーテッド・アニーリング法
- 最良優先探索(ダイクストラ法,A*アルゴリズム)
- 実時間A*アルゴリズム(Korf, R. E. (1990). Real-time heuristic search. Artificial intelligence, 42(2-3), 189-211.)A*アルゴリズムと違い,初期状態からのコストではなく,現在状態からの実際のコストを考慮している.つまり,探索の履歴を評価しない.
ゲーム木の探索
- ミニ・マックス法
- α-β法
第4章 知識表現
エキスパートシステムは特定の問題領域に対して成果をあげた.
知識処理の3フェーズ
- 知識表現.例えば,プロダクションルール,セマンティックネット,フレーム理論(Minsky),形式論理(論理推論,論理的推論)など.
- 知識利用,または推論機構.演繹推論だけでなく,帰納推論,アブダクション,仮設推論,類推など高次推論も含む.
- 知識獲得.知識の獲得には帰納的な手法,洗練化には演繹的な手法を用いるが,大量の知識を獲得するには限界があり,知識獲得ボトルネックとなっている.近年は機械学習で自動的に知識獲得しようとしている.
オントロジー
共通の概念を用いて,それぞれの問題領域を記述することで,異種知識の共有や再利用が行えるようになる.
ドメインオントロジー,タスクオントロジー,上位レベルオントロジー,言語的オントロジーに分類できる
応用例として,セマンティックWebとLinked Open Data(LOD)がある.
第5章 プランニング
STRIPSプランニング
状態探索空間を扱う.
STRIPSプランニングの入出力と手続きは以下の通り.
- 入力
- オペレータ : 環境モデルを変換する規則.環境への行為を記述したものである.
- 初期状態 : 現在の状態の環境モデル.
- 目標状態 : 目標である状態の環境モデル.
- 出力
- プラン : 初期状態を目標状態に変換できるようなオペレータの系列.
- 手続き
- 与えられた初期状態を目標状態に変換できるようなプランを探索する.
半順序プランニング
プラン探索空間を扱う.
全順序ではなく半順序で記述する.
半順序プランは以下の要素から構成される.
- プランステップ
- 因果リンク
- 順序成約
半順序プランニングのアルゴリズムに必要な概念を記述する.
- 脅威ステップ
- 完全なプラン
- 無矛盾なプラン
半順序プランニングの入出力と手続きは以下の通り.
- 入力 : STRIPSと同じ
- 出力 : 完全で無矛盾な半順序プラン
即応プランニング
STRIPSプランニングや半順序プランニングは古典的プランニングで,完全なプランを生成するが,処理に時間がかかる.また,現実世界で確実に実行されるという前提がある.
即応プランニングは実世界において目標達成することに重きをおいたプランニング.
直接判定可能な条件部で記述された即応ルールを用いる.
第6章 推論
演繹・帰納・アブダクション
- 演繹 : 「大前提」+「小前提」→「結論」
- 帰納 : 「小前提」+「結論」→「大前提」
- アブダクション : 「大前提」+「結論」→「小前提」
常識推論
常識推論は不完全な情報・知識をもとに,常識からもっともらしい結論を導くためのものである.
- デフォルト論理 : 「逆の情報が成り立たないとき,常識的な結論を導け」という一階論理のルールを追加する.
- サーカムスクリプション : 「記述されていること以外考慮しない」という概念を定式化して追加する.別名,極小限定
- 自己認識推論 : 「推論者自身の知識や信念に従って非単調な推論を行うもの」をモデル化する論理.
- 閉世界仮設 : 「知識ベースから導くことのできないものは,その否定が成り立つ」というもの.
仮説推論
仮説の選択と利用に重きをおき,一階述語論理に基づく演繹的な検証を導入した枠組み.
類推
ある問題に対して,他の問題との間に成り立つ構造の類似性を見出すことによって解決するというプロセスをモデル化した推論.
ベイジアンネットワーク
不確実性をともなう推論を行う.グラフを用いる.真偽値(0と1)ではなく,確率で表す.
第7章 機械学習
主に以下の学習がある.
- 帰納学習
- 演繹学習
- 発見的学習
- 類推学習
- 強化学習
- 概念形成
- 統計的機械学習
帰納学習
学習させたい概念(目標概念)の例がシステムに与えられ,学習システムはそれをもとに概念学習を行う.
ある概念を論理表現や記号などで記述したものを概念記述と呼ぶ.
概念記述は木やグラフで表すことができる.
代表的な手法はバージョン空間法である.
バイアス(偏見)によって効率的な学習を行えるが,問題領域によってバイアスは変わるため,バイアスを扱うのは難しい.
説明に基づく学習 : EBL
EBLの一つに「説明に基づく一般化 : EBG」がある.
EBGは以下のようなシステムである.
- 入力
- 目標概念
- 訓練例
- 領域理論
- 操作基準
- 出力
- 操作可能な概念記述
- 手続き
- 説明の生成
- 一般化
- マクロ化
決定木の帰納学習
データから決定木を自動生成すること
代表的なシステムはID3がある.ID3は情報量(エントロピー)をもとに単純な木を生成する.
強化学習
時間遅れがある評価に基づいて学習を行うこと.
代表的なアルゴリズムはQ学習,バケツリレーアルゴリズム,利益共有法がある.
Nearest Neighbor法
あるテストデータのクラスを最も類似した学習データのクラスとすること
サポートベクターマシン
正データと負データからの距離を最大にして真ん中を通る識別関数を解析的に求めることができ,さらにカーネルトリックにより,非線形の識別関数も学習可能であるアルゴリズム.
相関ルールの学習
主に相関ルールとアプリオリアルゴリズムがある.
クラスタリング
トップダウンのクラスタリング手法の一つはk-means法
ボトムアップのクラスタリング手法の一つは階層的クラスタリング
第8章 分散人工知能と進化的計算
分散人工知能
- 黒板モデル
- 契約ネットプロトコル
進化的計算
- 遺伝的アルゴリズム
- 遺伝的プログラミング
- 進化的学習
- 分類子システム(遺伝子としてコーディングされたルールを遺伝的アルゴリズムを用いて,ある評価関数の値を高くするようなプロダクションシステムを自動生成する.)
- ピッツバーグアルゴリズム(一つのプロダクションシステムを個体として扱うもの)
第9章 エージェントと知的インタラクティブシステム
エージェントアーキテクチャ
エージェントの抽象モデルは「センサ部」「エージェントプログラム」「知識・モデル記述部」「アクチュエータ部」がある.
ヒューマンエージェントインタラクション
人間とエージェント間のインタラクションデザインを目的とする研究分野である.
知的インタラクティブシステム : IIS
- インタラクティブ機械学習 : 人間と機械学習システムが協調して学習を行う枠組み.5秒以内に学習結果を返す高速な学習,少数訓練データからの学習,分類結果・学習状態の見せ方が課題.
- ユーザ適応システム : 主にユーザインタフェースの分野において,ユーザである人間にシステム側から適応するシステムの最も基本的なものの一つ.MRUアルゴリズム,MFUアルゴリズム,またはその組み合わせ.
IISでは,人間に適したタスクの洗い出し,人間の能力を引き出すインタラクションデザイン,人間のタスク実行結果を最大限に生かすアルゴリズムなどが中心的な研究課題となる.
参考文献
馬場口 登,山田 誠二,人工知能の基礎 第2版,オーム社,2015,ISBN978-4-274-21615-2
感想
第7章までの記憶はあるけど,第8章からの記憶はない.
深層学習系の話はほとんどでてこないため,深層学習のことを勉強したいなら他の本を探した方が良い.
人工知能に関わる歴史的な流れをかいつまんでみたいのであれば読んでみると良いと思う.