ARで売り場シミュレーション?3D画像を使いスーパーの売り場で挑戦
こんにちは、スーパーで働くsimoです!
私は畜産部門を担当していますがシーズンごとや新商品が出るたびに「売り場のレイアウト」を変更するという作業があります。「新しい商品をどう陳列したらお客様に魅力的に見えるだろう?」と考えることがよくありました。
そんな時、ふと思いついたのが まだ「何も置いていない売り場」に「まだ作ってもいない商品」をAR(拡張現実)を使って仮想的に並べてみたらどうだろう? というアイデアでした。
売り場変更の課題
・商品を並べ替える手間や時間が大幅にかかる
・商品ごとに大きさや数量が違い、様々なパターンを試すのは大変
・実際に置いてみて初めて分かることも多い
・生鮮品を扱っているため、温度帯の制約がある
この記事では、私が実際に使用した、スマートフォンの3DスキャンアプリWiDARを使用し、3DモデリングツールBlenderで加工・結合、そしてAR表示サービスPlanaARで表示させるまでの一連のプロセスと残念な結末を解説します。
目次
挑戦!3DスキャンでAR売り場シミュレーション
はじめに(挑戦の背景と課題)
・使用ツールと目指す目標
・3Dデータ作成(スキャン〜加工・結合)
・AR表示の実際(PlanaARでの表示と結果)
・失敗からの学びと今後の展望
使用したツール
WIDAR 携帯アプリ、対象をスキャンするだけで3D化できます。
Blender 3D画像を並べ替えたり、結合したりできる。 この機能の存在が今回の山場といっても過言ではない、とにかく重要なツールでした。
PlanaAR 作成した3DモデルをARを表示できるサービスです。
目指した最終成果
今回の挑戦で、最終的に以下の目標を達成したいと考えていました。
・効率化: 実際に商品を並べ替えることなく、効率的に様々な陳列パターンを試せるようにする。
・視覚共有: 陳列のイメージを関係者と視覚的に共有し、具体的な議論ができるようにする。
・教育活用: 新人スタッフへの陳列教育にも活用できるようにする。
作業1:3Dデータを集めるWiDAR使用
まず、売り場に並べたい商品の3Dデータを用意します。今回は、手軽に3DスキャンができるiPhoneアプリWiDARを使用しました。
スキャンした商品:
牛タンとサガリの盛り合わせを3Dスキャンしました。
スキャン手順のポイント:
WiDARアプリを起動し、スキャンしたい商品を様々な角度からゆっくりと撮影します。
商品全体がしっかりとデータに取り込まれるように、60枚から100枚ほど写真を撮るように周囲を回り込むようにスキャンするのがコツです。
作業2:3Dモデルを加工・結合する-Blender活用
WiDARでスキャンしたデータは個別のファイルになっており、またサイズや色が適切でない場合もあります。そこで、3DモデリングツールBlenderを使って、これらのモデルを加工しAR表示できるように結合しました。
Blender 3Dモデリングソフトウェアを使いスキャンデータのインポート、サイズや色彩の調整を行います。
私はこの時点で今回の実装企画が構想から外れていくのを感じました!
当初の構想は「スマホの画面に映るAR(PlanaAR)上でリアルタイムに3Dオブジェクトを挿入や配置したりして架空の売り場を作る」というものでした。しかし、AR上での挿入や配置はBlenderでしか設定できず、PlanaARは設定済みのオブジェクトを表現する機能しかなかったのです。
グリッド設定がとても大事!実際の売り場が「180cm x 80cm」のサイズを想定していたため、そのサイズ感を意識してグリッドを設定しました。これにより、モデルを配置する際の目安になります。
冷蔵ケース上にARを表現
モデルの配置と複製で売り場に見立てて商品を配置していきますが、3D空間での操作はとても難しく、きれいに並べるのが大変でした。
インポートし、サイズ調整したモデルを、売り場のグリッドに合わせて配置します。Blender上で、商品の位置、角度、間隔などを細かく調整し、実際の売り場に近いレイアウトを作成しました。
すべてのモデルの配置が完了したら、ARサービスで読み込めるGLB形式でエクスポートします。
作業3:PlanaARでAR表示する
Blenderで作成した売り場全体の3Dモデルを、PlanaARにアップロードしてAR表示させます.
1.BlenderでエクスポートしたGLBファイルをPlanaARにアップロードします。
2.モデルの設定画面で「AR配置場所」を「床」に設定します。これにより、現実の床面に売り場のモデルが表示されるようになります。
3.作成したオブジェクトを設定、とても簡単にできます。
4.PlanaARが自動生成するQRコードをスマートフォンで読み込めば準備完了です。
作業4:いざARで売り場に表現!そして残念な結末…
スマートフォンのカメラを起動し、現実の空間を認識すると、Blenderで作成し3Dモデルが出現します、まずは自宅で練習してみました。
AR独自のフワッとした感じでオブジェクトが空中に浮遊しています。
たくさん並んでいるのを見ると具合が悪くなってきます。
実際の売り場に落とし込んでみましょう。
そして、実際の売り場に落とし込んでみましょう。
とても残念な結果!
3DスキャンデータからBlenderでの加工、結合。PlanaARでAR「現実に情報を重ねる」ことはできましたが、構想していたスマホを見ながらリアルタイムでオブジェクトを挿入や移動をして仮想売り場を作ることはできませんでした。PlanaARにはBlenderのような機能がなく事前に作成したオブジェクトを表示することしかできなかったのです。
成果とまとめ:ARで実現する新しい売り場シミュレーションに向けて
今回の挑戦を通じて、AR(拡張現実)を使って、「まだ何も置いていない売り場」に「まだ作ってもいない商品」を仮想的に陳列、売り場をシュミレーションすることに挑戦しましたが結果としては失敗に終わってしまいました。
各ツールが持つ機能を事前に調べずに作成に入ったのが敗因です、AIに確認するなど対処法はあったはずだと反省しています。
しかし、WiDAR、 Blender、 PlanaARというツールを組み合わせることで、商品の3D画像の取得やAR表示シミュレーションを簡単にできること、そしてそれを使って新しいコミュニケーションができる可能性を感じました。
例えば、
1.「お肉の出来栄えコンテスト」! 自分の作成した商品を3D画像で取り込み、会議で共有し腕を競い合うなんて面白いかもしれません。
2.季節ごとの商品展開や、イベント時の特別陳列のシミュレーション
等もBlenderで完結できるのであればARとして面白いと思います。
3.デジタルサイネージや店舗ホームページを利用した商品紹介にAR技術を使うなど新しいプロモーションを行う。
デジタルの勉強はこれからも続けますが今回の失敗は自己嫌悪になりました。 何かを作るときには「企画」がとても大事なことを痛感しました。
この失敗記事が、ARや3Dモデリングに興味がある方、特に小売業で働く方々の業務改善のヒントになれば幸いです。
参考文献
Qiitaコミュニティガイドライン
Blender公式サイト
PlanaAR公式サイト