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OKRを事業部規模で導入してみた話

Last updated at Posted at 2020-12-19

この記事について

これはSupershipグループ Advent Calendar 2020の20日目の記事です。

この記事では、以下の項目を記述します。

  • OKRについての説明
  • 事業部規模でOKRを導入してみた結果とその振り返り

はじめに

こんにちは。sinoue1106です。大学院博士後期課程で博士号を取得後、2018年4月から(いちおう)新卒で広告系企業のデータサイエンティストとなったものです。入社1年目の時に、事業部全体でOKRを導入しようというお話になり、その導入と運用の主導を任されました(当時の弊事業部は、データビジネス領域のビジネス/エンジニア/データサイエンスの部署で編成されており、40名ほどの従業員から構成されてました)。2年前の話ではありますが、この奮闘記録をqiita記事で公開したいと思います。

OKRとは

OKRとは、「Objective and Key Result」の略で、チャレンジングな目標を立ててチームで生産性を上げていく目標設定のフォーマットの一つです。AppleやGoogleでも取り入れられていると言って話題になってました。

OKRでは、目標であるObjective (O)と、それを達成したとみなせる指標のKey Result (KR)を、組織全体/各部署/チーム/個人の単位でそれぞれ設定します。また、次の図のように階層構造ごとに紐づける必要があり、上の階層のKRを達成するためのOを紐づける必要があります。
OKR_structure.png

OとKRは以下のようなルールに従って設定します。ここで重要になってくるのが自信度という考え方です。自信度10を「楽勝楽勝!」、自信度1を「絶対無理!」としたとき、自信度5(「できるかも、いやできないかも...いやできるかも..」)になるように設定します。また、設定したOKRに関して、下記のようなルールでスコアリングを実施します。OKRの設定とスコアリングについて、ビジネスと技術部署の例を下のスライドで示しています。
OKR_setting_scoring.png
OKR_example.png

OKRの運用では、部署やチーム内で、短い期間(一週間など)でスコアをモニターします。設定したOKRは四半期(3ヶ月)でまわし、最終的なスコアが60-70%以上で成功とみなし、振り返りを実施し、次の四半期のOKRを設定して繰り返します。

OKRの特徴は、生産性の向上に目的をおいており、チーム全体に公開され、それらの目標は報酬に紐付けないことです。報酬に紐づけてしまうと、チャレンジングな目標設定ができないと考えるからです。よく比較されるフレームワークとしてMBOというものがあります。こちらは、報酬の決定を目的とした目標設定で、上司との間で設定し、基本的に公開されることはありません。もともと弊社でも後者のフレームワークをベースに従業員の目標設定がされています。

OKR MBO
目的 生産性の向上 報酬の決定
公開範囲 全社 本人と上司のみ
スコアリング シンプルな算出ルール 組織によって様々
達成基準 60-70% 100%
レビューの頻度 1 or 3ヶ月に一回 半年 or 1年に一回

事業部全体へOKRを導入

OKRフレームワークの導入と設定、運用を事業部全体でやってみました。当該年度のQ3とQ4で2回OKRを実施しました(それ以降は組織変更のため、事業部全体での運用は廃止)。下に、設定と運用の実施したスケジュール感を示してます。事業部全体/各部署/個人のOKRを設定を順番にやっていくため、全体でfixするまではかなりの時間がかかってしまいます。Q3では全体のOKR設定でいっぱいいっぱいではありましたが、Q4では設定を完了し、実際に運用まで持っていくことができました!
OKR_schedule.png

Q4の運用後、事業部のメンバの方々全体にアンケートを実施しました。その結果が下に貼ります。
okr_questionaire1.png
okr_questionaire2.png

OKRの意義については、多くの人が、「チャレンジングな目標設定とそれへの集中という意味で意義があったと感じられたようです。一方で、OKRの大目的である「生産性の向上」という部分では意義あったと思う人はいなかったようです。

個人的にも、OKRやって一番よかったと思う点は、「本来、目指すべき目標に集中できていない状況を気づけるようになった」ということです。OKR導入するまでは、目標を一度は設定するものの、取ってきた仕事の案件数により忙しい状況などは、目標を見失って翻弄されるときが多々ありました。OKRでモニタすることによって、現在ゴールに向かっていないことを定量的な指標を元に、気付くことができました。そして、どうすれば対策をすればいいかチームで考え、それを解決するアクションに繋がりました。

今後も続けたほうがいいかという質問には、回答者にバイアスある可能性もあるものの、続けたほうがいいと思う人の割合のほうが大きかったです(導入から運用まで頑張ったので、この結果は救われました)。

OKR導入やってみて感じた課題点

上記のようにいい効能もありましたが、事業部全体で運用してみて思う個人的な課題点を以下に挙げます。

OKRと報酬に関連する目標設定の2つ両立

従業員に対価を支払う会社として、どうしても、報酬に関係する目標設定(MBO)は必要で、その2つの目標設定のきりわけが最後まで曖昧でした。この切り分けが難しいです。

チームによってOKRとの相性が異なり

ビジネスの部署では、目標に集中という意味でOKRは相性良さそうな印象でした。一方、相性のよくない部署もあり、特にスクラム開発チームでは相性が悪い印象でした。彼らは、日々のデイリースクラムで常に現状を軌道修正しながらリリースに向けてアクションするからです。それぞれのチームごとにあったOKRの形/向き合い方を模索しないといけないと感じました。

組織全体でのOKRのピラミッド構造の調整

上のKRと下のOを、過不足なく紐づけるのが難しかったです。
このような調整で、OKR設定完了までにかなりの時間を要しました。事業部単位でやる場合、3ヶ月単位での運用が無理あるように感じました。
逆に、チーム単位や小さな会社(従業員数人~10人規模)ではうまくまわりそうに思いました。

最後に

OKRの概要やイケてる企業での実績はよく聞いたものの、実際に導入してみることで、いろいろと気づいた点やマネジメントの難しさを実感することができてよかったです。あれから2年経ちましたが、私は現在グループリーダを務めております。弊チームは6名ほど小さな単位ですが、目標に向かったチームビルディング強化に重きをおきたい思いがあるので、来期からOKR導入を検討しております。このアドベントカレンダーをきっかけに、OKRについて改めて振り返ることができてよかったです。前回の実施では「生産性が上がった」と実感できた人がいなかったのが悔しいですが、これが実感できる運用になるよう頑張ります。これが成功した時にはまたノウハウをシェアしたいと思います。

最後になりますが、【Supership】ではプロダクト開発やサービス開発に関わる人を絶賛募集しております。ご興味がある方は以下リンクよりご確認ください。
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是非ともよろしくお願いします。

参考文献

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