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公衆電話で封印されしインターネット接続の儀式を行ってきた

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この儀式は西暦2024年1月をもって封印されました。現在「補完策」なるものが提供されていますが、それがこの儀式に有効なのかは不明です。皆さん自身の手で確かめてください。

公衆電話からインターネットに接続できるらしい。その事実を知ったのは2024年1月21日だった。そして同じ日、その機能が無くなるのは2024年1月31日だと知った。

封印までの最期の10日間で公衆電話からのインターネット接続の儀式を行ってきた話。

序章

公衆電話を使ってインターネットに接続できると知ったのは2024年1月21日だった。

ダイヤルアップ接続という電話回線を使った接続方式で、これは一般人が初めてインターネットというものに触れられるようになった一番最初の接続方式と言っていいのだと思う。多くの人が自宅の固定電話の回線を使ってインターネットをしていた。現代では光ファイバーからのLANケーブルやWifi、移動端末なら4Gや5Gなどといったインターネットのための専用インフラが整えられているが、インターネット時代の最初期には電話のインフラを間借りしていた訳だな。

ダイヤルアップ接続と言えば接続を確立するときに出る「ピー、ヒョロヒョロ」みたいな謎の音が印象深い。このダイヤルアップ接続が現在でも公衆電話からできるという事である。

もやは消滅が近い古の技術だろうし、残っている間にやってみるか。そう思って調べると衝撃の事実、この公衆電話でのデータ通信は2024年1月から終了すると書いてあるじゃないか!

キャプチャ.PNG

これは固定電話網のIP化に伴う措置らしい。インターネットの技術に電話も乗せてもらうという構図、ダイヤルアップの時代とは立場が逆転してしまったようだ。

東京での終了は1月31日の模様。あと10日だと…。封印されるまでにこの儀式を何としてでも成功させねば!

儀式の道具集め

この儀式にはいくつかの道具がいる。

  • ノートパソコン
  • モデム
  • ダイヤルアップ接続の契約
  • 灰色の公衆電話

ノートパソコン

公衆電話に持っていくので必然的にノートパソコンになる。Windows11でもダイヤルアップ接続機能はあるようなので、特別な条件はない。私は持っていた5年位前のWindows10のノートパソコンを使った。

モデム

パソコンと電話線をつなぐための機器。USBの物が今でも市販されている。私はこれを購入。ついでにこれと公衆電話を繋ぐ電話線もいるので用意しておく。普通に固定電話を繋ぐのと同じケーブルである。

ダイヤルアップ接続サービスの契約

公衆電話からつながるダイヤルアップ接続サービスはもはや@niftyだけという事だったので、そこで契約。月額275円とお手軽だがこれとは別に電話料金がかかるうえ、速度は数十kbpsであり現代では実用に耐えない。むしろ今でも新規契約できるのがすごいと思ったが、どこかで需要があるのだろうか?

契約した後は提供されるログイン情報等に基づいてパソコンにダイヤルアップ接続の設定をしておく。

灰色の公衆電話

街なかから灰色の公衆電話を見つける必要がある。灰色というのが重要で、緑色ではダメである。灰色の公衆電話には緑のものにはない機能がいくつかついていて、そのうちの一つがデータ通信機能である。この機能がある公衆電話でないとモデムとの接続ができない。

灰色の公衆電話はかなり珍しいと言ってよい。街なかを探すと公衆電話自体は意外とたくさんあるのだが、ほとんどが緑である。灰色は建物の中にあることが多いらしく余計に見つけづらい。今回はネットで東京都庁にあるという情報を見つけたので、都庁に向かった。

2024年1月27日、封印まであと5日

最後の道具

この儀式が封印されるまであと5日、灰色の公衆電話があるという都庁へ向かった。家からここまで、意識して歩くと公衆電話は意外なほど沢山あったが、全部緑色。灰色の公衆電話は緑に換えられたり、そもそも公衆電話自体撤去も進んでいる。都庁のものが今もある保証はない。恐る恐る都庁の公衆電話ブースに入る。

IMG_3988.jpg

するとそこには

IMG_3981.JPG

あった。灰色の公衆電話。これで儀式の最後の道具がそろった。

儀式の実行と想定外

公衆電話とパソコンをモデム及び電話線を介してつなぐ。人生最初で最後の経験だろう。なんだかヤバいことをしている気分になる。

IMG_3982.JPG

公衆電話を操作して10円玉を入れる。後はパソコンのボタンを押すだけ。「ダイヤル」ボタンを押すと…繋がった、のか?

阿部寛のホームページを開いてみる。

IMG_3984.JPG

おお、表示された!!!

ただ一つだけ問題があった、ダイヤルアップ接続音を聞いてない!いろいろ試したが結局あの「ピー、ヒョロヒョロ」音を聞くことはできなかった。

「ピー、ヒョロヒョロ」音を聞くために

調べたところ、どうやらあの音はWindows7以降で鳴らなくなったらしい。Windows XPなら鳴っていたとの情報を手に入れた。

Windows XPか。実は家に古いXPのノートパソコンがあるのだが、HDDが壊れていて起動しない。しかもこのHDD、昨今のSATA接続ではなくIDE接続なので交換するのも容易でなく、放置していた。

仕方がない、復活させるか。

という事で急遽秋葉原に行って機器を購入、SATAのSSDを変換器を挟んで無理やり取り付けてできたのがこれだ。

IMG_20240203_190732.jpg

2024年1月28日、何も悔いはない

翌日再び都庁に向かう。今度はWindows XPのパソコンを持って。このパソコンは2006年の物、今のと比べてデカいし重いので運ぶのも一苦労だ。

パソコンを公衆電話とつなぐが、昨日とは少し違う。なんとこのパソコンにはモデムの機能が内蔵されているのだ。2006年にはまだダイヤルアップ接続も一般的だったということだな。なので公衆電話とパソコンにある電話線の接続端子を直接つないでセットアップ完了だ。

運命の時、「ダイヤル」ボタンを押す。

キターーーーーー

IMG_3994.JPG

Windows XPで「ピー、ヒョロヒョロ」音を聞いてホームページを見るという古のインターネットを自分で体験することができたというのは感慨深い。

何度も接続して音を聞いたり、初めてテレホンカードを使ってみたり、他にもいろいろ楽しんだ最期の記念に、Xに公衆電話から投稿してみることにした。現代のサービスであるXはダイヤルアップでは重すぎて開けなかったので、いったんテザリングでXのサイトを表示してからダイヤルアップに切り替えることにした。切り替え後文字を打って、投稿ボタンを押す。

ダイヤルアップ接続音も聞けたしXへの投稿もできたし、もうこれでやり切ったな。そうやって灰色の公衆電話のもとを後にした。

3日後の2024年1月31日、この日をもって公衆電話のインターネットへとつながる扉は封印された。

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