はじめに
前回に引き続き、Orchestratorで廃止されるクラシックフォルダーについてです。
今回は、クラシックフォルダーからモダンフォルダーへの移行ツールの紹介です。
前回の記事はこちら
移行ツール
Orchestratorには、クラシックフォルダーをモダンフォルダーに移行してくれるツールがあります。
このツールは、Cloud版とオンプレ版の両方に実装されています。
オンプレ版OCを使う場合は、最新のv22.10にバージョンアップしてから使用すること推奨します。
UiPath公式ドキュメントには、ロボットが2,000台を超える場合の移行は、パフォーマンスの観点から移行ツールの使用を避けるべきと書いてあるので、大規模運用している場合は注意しましょう(大規模運用している方が、こんなにギリギリで対応するとは思いませんが)。
使い方
[テナント] > [設定] からクラシックフォルダーセクションの「移行を開始」ボタンを押します。
あとはウィザードに従い、進めていきます。
「②有人プロセスを実行するユーザー」と「③無人プロセスを実行するユーザー」では、移行対象のロボットに関連付けるユーザーアカウントを指定します。
割り当てが可能なユーザーアカウントは、「Allow to be Automation User」ロールを持っているユーザーであり、アカウント(Windows OSにログインするID)が移行対象のロボットに設定されているアカウントと同じものである必要があります。
また、「③無人プロセスを実行するユーザー」で割り当てができるユーザーアカウントは上記に加え、「ロボットアカウント」となります。
設定内容は途中で保存しておくことができます。
設定がすべて終わると、移行完了となります。
検証結果
移行ツールを使用した結果です。リソース別にそれぞれ見ていきます。
フォルダー・ロボットグループ・ロボットの移行
移行前後の関係性は以下の通りです。
クラシックフォルダーは、1対1でモダンフォルダー(第一階層)に移行されます。ロボットグループはモダンフォルダーの第二階層に移行されるのですが、ロボットグループが1つしかない場合は移行されません。
モダンフォルダーではロボットは、テナントレベルでの管理となるため、モダンフォルダー以下にロボットが作成されることはありません。代わりにフォルダーへのアクセス権が付与され、ロボットがフォルダーにアクセスできるようになります。移行はロボットグループに属するロボットが対象となるため、ロボットグループに属さないロボットは移行後のフォルダーにアクセスできません。
第一階層のフォルダー名ですが、元のフォルダー名に「Migrated」が付与されています。同一名称のフォルダーを作成できない制約のため仕方ないですが、移行前の名称に戻したいのであれば、移行元のクラシックフォルダーを削除する必要があります。
第二階層のフォルダー名は、元のロボットグループのままです。
フォルダーのアクセス権は、第一階層のフォルダーでは、元のクラシックフォルダーに設定されていたユーザーが設定されます。第二階層のフォルダーは移行時(「②有人プロセスを実行するユーザー」と「③無人プロセスを実行するユーザー」)に設定したユーザーにアクセス権が付与されます。さらに標準ロボットを移行する場合は、ロボットに紐づくマシンにもアクセス権が付与されます。
アセットの移行
移行前後の関係性は以下の通りです。
第一階層のフォルダーに移行させず、第二階層のフォルダーにそれぞれ移行されます。さらに、移行元のアセットと移行されたアセットは、それぞれリンクによって繋がります。
リンクによって繋がっているので、1つのアセットを変更すると、リンク先すべての値も変わります。
ロボット毎にアセット値を設定する場合は、移行前のロボットグループに従い、移行後のサブフォルダーにそれぞれ分割されて移行されます。
おわりに
長くなりそうなので、プロセス、トリガー、キュー、ストレージバケットの移行結果は、次回の記事とします。