これは何
- 解析入門(下) (松坂和夫 数学入門シリーズ 6)の26章=ルベーグ積分の自分用まとめ
集合環, 集合体, σ環
- $X$の部分集合族$\mathfrak{R}$で、集合の和と差を取る演算について閉じているようなものを$X$上の集合環という
- $\mathfrak{R}$が加算和について閉じているなら**$\sigma$環**という
- $\mathfrak{R}$が$X$上の集合環($\sigma$集合環) で、$X \in \mathfrak{R}$なら$X$を**集合体($\sigma$集合体)**という
集合関数
- $\mathfrak{R}$を$X$の部分集合族とするとき、$A \in \mathfrak{R}$に$\mathbb{R} \cup \lbrace \pm \infty \rbrace$を対応させる写像$\varphi$を集合関数という
- $\varphi(A)$が有限の場合$\varphi$は有限、$\varphi(A)$が非負の場合$\varphi$を非負という
- $A, B \in \mathfrak{R}, A \cap B = \Phi$とするとき $\varphi(A \cup B) = \varphi(A) + \varphi(B)$となるとき、$\varphi$は加法的という
- $\varphi$が加算個の交わらない集合族$(A_n)$に関して$\varphi \left( \cup_{n=1}^{\infty} A_n \right) = \sum_{n=1}^{\infty}\varphi(A_n)$となるとき、$\varphi$は**$\sigma$加法的**という
区間と初等集合
- $\mathbb{R}^p$の開区間、閉区間の有限個の和集合として表される集合を初等集合という
- 初等集合全体の集合$\mathscr{O}$は1つの集合環をなす
- $\mathbb{R}^p$の閉区間$I= [a_1, b_1] \times \cdots \times [a_p, b_p]$に対して$m(I) = \prod_{i=1}^{p} (b_i - a_i)$と定義すると、$m$は有限、非負、加法的
正則な加法的関数と外測度
- 初等集合の集合環$\mathscr{O}$上の非負、有限、加法的な集合関数$\mu$が次の条件を満たす時、正則な加法的関数という
- 任意の$A \in \mathscr{O}$、任意の$\epsilon > 0$に対し、$F \in \mathscr{O}, G \in \mathscr{O}, F \subset A \subset G$かつ$\mu(G) - \epsilon \lt \mu(A) \lt \mu(F) + \epsilon$を満たす閉集合$F$、開集合$G$が存在する
- $\mathscr{O}$に属する開集合、閉集合を初等開集合、初等閉集合という
- $E \subset \mathbb{R}^p$に対し、$(A_n)$が初等開集合の列で$E \subset \cup_{n=1}^{\infty} A_n$となるとき、$(A_n)$を初等加算開被覆という
- $E \subset \mathbb{R}^p$、$(A_n)$を$E$の初等可算開被覆、$\mu$を正則な加法的関数とする時、下記を$E$の外測度と定義する
- $\mu^*(E) = \inf \left\lbrace \sum_{n=1}^{\infty} \mu(A_n) \mid
E \subset \cup_{n=1}^{\infty} A_n\right\rbrace $
- $\mu^*(E) = \inf \left\lbrace \sum_{n=1}^{\infty} \mu(A_n) \mid
- 正則な加法的関数というのは、初等集合専用の面積のようなもの
- 外測度というのは、一般の集合の面積を初等集合の面積で外側から近似したもの
- このままだと外側度は$\sigma$可算的ではないので、そうするためにもう一捻り必要
有限μ可測集合とμ可測集合
- $A, B \in \mathbb{R}^p$とするとき、$A \Delta B = (A-B)\cup(B-A)$と定義する
- $A, B$の距離を$d(A, B) = \mu^*(A \Delta B)$と定める
- $lim_{n \to \infty} d(A_n, A) = 0$となるとき$lim_{n \to \infty}(A_n) = A$とかく
- $lim_{n \to \infty}A_n = A$となる$(A_n)$が存在するとき、$A$は有限$\mu$可測という
- 有限$\mu$可測集合の可算和として表される集合を$\mu$可測集合という
μ可測集合全体の集合
- $\mu$可測集合全体の集合を$\mathfrak{M}(\mu)$で表す
- $\mathfrak{M}(\mu)$は$\mathbb{R}^p$上の$\sigma$環であり、$\mu^*$は$\mathfrak{M}(\mu)$上で$\sigma$加法的
ボレル集合
- $X$を任意の集合、$\mathcal{A}$を$X$の任意の部分集合族とするとき、$\mathcal{A}$を含む$X$上の最小の$\sigma$環が存在する
- これを$\mathcal{A}$で生成される$\sigma環$と呼ぶ
- $\mathbb{R}^p$の開集合全体の集合を$\mathcal{O}$とし、$\mathcal{O}$で生成される$\sigma$環$\mathcal{B}$をボレル集合族という
- 加算個の開集合の共通部分と加算個の閉集合の和集合はそれぞれボレル集合になる
- 前者を$G_{\delta}$集合、後者を$F_{\sigma}$集合という
- 任意のボレル集合は$\mu$可測である
零集合
- $\mathbb{R}^p$の部分集合$E$は$\mu^*(E) = 0$のとき、$\mu$零集合という
- 任意の$\mu$零集合は$\mu$可測である
測度空間
- $X$を一つの集合、$\mathfrak{R}$を$X$上の$\sigma$環があるとき、$(X, \mathfrak{R})$を可測空間という
- $\mathfrak{R}$に属する集合を可測集合、$X$を台集合という
- $(X, \mathfrak{R})$上の非負かつ$\sigma$加法的な集合関数$\mu$が与えられた時、$(X, \mathfrak{R}, \mu)$を測度空間という
- $\mu$を測度という
可測関数
- $A$を可測集合とし、$f$を$A$上の実数値関数とするとき、$A(f(x)>a) := \lbrace x \in A \mid f(x) > a \rbrace$が可測なら、$f$は$A$上で可測であるという
- $f$, $g$を$A$上で可測な関数とすると、その和と積も可測である
単関数
- $A$を可測集合、$A$上の可測関数$s$の定義域が有限集合のとき、$s$を単関数という
- $A$上の非負の実数値関数$f$に対し、その極限が$f$となるような単調増加単関数の列をとることができる
- 可測単関数$s$に対して$\int_A s d\mu = \sum_{n=1}^{\infty} \int_{A_n}s d\mu$となる
積分の\sigma加法性
- $\int_A f d\mu = \sum_{n=1}^{\infty} \int_{A_n}f d\mu$
- $\mu(A(f \neq g)) = 0$のとき、$f$, $g$は$A$のほとんどいたるところ等しいという
- $f$と$g$がほとんど至るところ等しければ、積分の値も一致する
- $f$が積分可能であることと$|f|$が積分可能であることは同値である
ルベーグの項別積分定理
- $lim_{n \to \infty}f_n(x) = f(x)$で$|f_n(x) \leq \varphi(x)|$となる積分可能な非負関数$\varphi$があるとき、$lim_{n \to \infty} \int_A f_n(x) d\mu = \int_A f(x) d\mu = $