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アクセシビリティは現実を拡張する、あるいは現実を拡張しようとする試みはアクセシビリティの本質に近いのだなと思った話

Last updated at Posted at 2021-12-17

サイオステクノロジーの伊藤です。金融システムのUI設計などを専門にしています。
こちらはアクセシビリティAdvent Calendar 2021の参加記事です。

今年はあまり外向けにアウトプットできる活動は無かったのですが、たまたま見かけた海外のInclusive Design 24というイベントで、興味のあったVRなど拡張現実と障害というテーマの発表をみかけ、UDトーク協力をさせてもらいました。

柳川健二さんの「Can People with Disabilities Use VR? / 障害があってもVRを使えますか?」という発表で、発表そのものは日本語ですがUDトークによるリアルタイム多言語文字起こしを提供する意欲的なものでした。
50分程度の発表ですが、Youtubeで公開されていますので、ぜひご覧ください。

動画では字幕の多言語化や自動翻訳、キャプションの読み上げなどの事例を紹介しています。また、近視や老眼、色覚障害をVRで体験できるアプリ、リズムゲームを振動によるフィードバックで楽しむ聴覚障碍者の事例などが印象的です。
特にVRを使ってお年寄りに疑似的な旅行を楽しんでもらう事例などは、さまざまな障害を越えて世界にアクセスすることを可能にする技術としてのVRの可能性を感じさせるものでした。何より楽しそう。

柳川さんより「VRの可能性」として挙げられているのは以下の4つ。

  • 支援技術/医療
  • 障がい者の身体性の理解
  • 健常者と障がい者の架け橋
  • 情報格差是正

また、可能性以外に障害のある方がこうした技術を利用しようとしたときにおきる課題として、四肢が不自由な方はコントローラーの利用がそもそも難しい、動きに制約があるなどの課題にもきちんと触れています。
気になる方は動画をご覧ください。

障害のある方がVRを利用する場合に発生する課題については、実はW3Cも意識しており、2017年とちょっと古いものですが、Accessibility of Virtual RealityというWikiによるノートがあり、またWCAG3.0のドラフトEDITOR'S NOTEにも、以下のようにあります。

This guideline demonstrates how the WCAG3 structure can be used with emerging technologies such as virtual reality, augmented reality and other immersive web technologies (XR). Research in this area is ongoing and we expect to complete more details in future drafts.

この点についてはやはりこの分野の先進企業であるOculus(いまはMeta Questが正しい?)の開発者に向けたガイドによりたくさんの示唆がありましたので、これも動画を紹介します。

Designing Accessible VR Experiencesというこの動画では、アクセシブルなデザインがアプリに参加できるユーザーを広げることについて、様々な具体的な方法を紹介しています。

私が特に感銘を受けたのは字幕の重要性についての部分で、発話者とその発話された方向がついた字幕が、自分の視線に追従して表示されるものです。
このようにすると、ゲーム内でとても自然に誰がどの方向から話しかけてきたのか、聴覚が不自由であってもわかります。

拡張現実とWebがどこまで重なってくるのかまだわかりませんが、このビデオで紹介されたような手法は、W3Cのガイドラインにも盛り込まれていくのかなと感じました。

いずれ自分も体が衰え、目も耳も不自由となったとしても、このような技術の発展があれば世界にアクセスしつづけ、楽しく生きられるかもしれない。現実を拡張しようとする試みは、そのような可能性をもっていると思います。楽しみですね。(最後急にポエム)

では今年はこのへんで。
明日はゆうてんさんによる「フォーカスアピアランスの達成基準についての考察」です。
楽しみですね。

最後に、このキーワードで引っかかった人の一万人に一人でも何か心に残ったらいいなと思って叫んどきます。

メタバース!

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